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巻き込まれ宇宙人の異世界解釈 ~エリート軍人、異世界で神々の力を手に入れる?~  作者: こどもじ
七人の子編

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大義名分


 ダンが改めて名乗りを上げたあと、しばらく硬直してから、ようやくランドルフが口を開いた。


「まさか……首領殿は、神の使いか、神そのものだとそうおっしゃるのですか!?」


「しかしそれなら……魔性の森の急速な発展も頷けます。あの急に現れた白い塔といい……近頃の東大陸では不可解なことが起きすぎる」


 ランドルフの言葉に、フリックも同調する。


「残念ですが私は神そのものでも神の使いでもありませんよ。こことは別の星から来た、ただの人間に過ぎません。ただ……私の世界では皆さんの世界より圧倒的に文明が発展している。それこそ千年以上の開きがあるほどに。それがこの技術力の違いとして現れているだけです」


「千年……いやそれ以上とは、とても想像が付きませんぞ。つまり首領殿は、我らの遥か未来の知恵を持っておられると言うことですな?」


 ランドルフの言葉に、ダンは深く頷く。


「そして宇宙人(私たち)の視点から見て、奴隷制というのは酷く野蛮で未開な制度であると言わざるを得ません。私が最初に降り立ったのが魔性の森で、最初に出会ったのが、ここにいるシャットとリラの二人でした。彼女たちの父親は奴隷狩りによって命を失い、そして今もなお帝国によって数多くの異種族たちが脅かされています。それらを受けて、私は間接的ながらも帝国と対峙をすることに決めたのです」


「そうよ、帝国は最悪の国よ! ダンがあんたたちのことなんかやっつけてくれるんだから!」


 シャットがランドルフにびしっと指を突き付けながらそう宣言する。


「おい、殿下を他の帝国の連中と一緒にするのはやめろ! 殿下は俺たちのことを助けてくれたんだぞ!」


「何よ! あんたたちだって奴隷にされてたんじゃない! それをちょっと優しくされたからって絆されちゃってバカみたい! 帝国人なんてどいつもこいつも一緒よ!」


 そう言って、シャットとランドルフが助けた獣人(ライカン)たちが激しく口論を始める。


 ――しかしそんな中、ある者が声を荒らげた。


「やめよッ!」


 ランドルフがそう大声を上げると、言い争っていた両者ともが口を噤み、船内はシンと静まり返る。


 そして次の瞬間――ランドルフはその場に片膝を付いたあと、シャットとリラの二人に深々と頭を下げた。


「殿下!?」


「帝国の皇子として、お主らの父と家族を奪ったことを深く謝罪する……。帝国は悪の国、確かにそうかも知れん。皇族として今の国の在り方を深く恥じ入るばかりじゃ」


 ランドルフはそう口上を述べたあと、自身の味方をしていた獣人たちにも頭を下げた。


「お主らもすまんかった。我は助けたのではない。帝国が犯した罪を、自身の罪悪感を誤魔化すためにほんの少しだけ(あがな)っただけに過ぎん。庇われる資格など元よりないのだ」


「殿下、皇族ともあろう者が軽々しく頭を下げられませんよう……」


 そうフリックに言われて、ランドルフはようやく顔を上げる。


「ふう……謝罪も好きに出来んとは、皇族とはなんとも不自由なものじゃな」


「な、なによ、そんなしおらしくして……。帝国の奴なら、それらしくしなさいっての……」


「シャット、帝国の在り方と、彼個人の思想はまた違うよ。少なからず帝国にだって彼のような人間はいる」


 ダンはそう言って窘めたあと、ランドルフに視線を向ける。


「私は元々、人間の国家に関しては積極的に介入するつもりはありませんでした。帝国内の奴隷とされた異種族を助け出し、ロムールを影から支援して魔性の森を護る防波堤にしようと考えていたくらいです。……しかし、殿下に会って私の考えは変わりました」


「ほう……それが、先ほどの話に繫がるのですかな?」


「――ええ、殿下。もしあなたにそのつもりがあるのなら、私が殿下を皇帝にして差し上げます。殿下のように調和を重んじ、奴隷制に否定的な考えを持つ人物が君主になれば、我々にとっても良い結果が得られるからです」


 ダンがそう言うも、ランドルフは難しい顔で考え込む。


「……確かにそう言って頂けるのは我も光栄ではあります。しかし、ことはそう容易く運びますまい。我が国はこれでも大国です。兵を集めればまだ万の軍勢が出てきますぞ。また、我が父ラスカリス二世と、上二人の兄も未だ健在。これらをひっくり返して我が皇位に着くなど……」


「ははは、ごもっともです。いきなりそんな事を言われても、そちらも信じることは出来ないでしょう。なのでまずは、こちらの出来ることをそちらに示しましょう」


 ダンはそう言うと、ノアに向かって話し掛ける。


「ノア、今はどの辺りだ?」


『――現在、ロムール王国領上空二千メートル、ステルス飛行を実施しています。国境ティグリス川まで、あと二分以内に到着します』


「!?」


「あ、ノアさんの声だ」


 突如として天井から響く声に、ランドルフたちは驚いて身構え、勝手知ったるシャットとリラの二人は平然と受け止めた。


「エヴァにも伝えてくれ。ビットアイを総動員して連れてこいと。今回の戦争には直接武力介入することにした。出来るだけ人死にを出さずに、帝国側に心底恐怖を与えるような、演出を交えた示威行動を行う」


『――了解しました』


 ダンの指示に、ノアは言葉短かくそう答える。


 それを呆然と眺めるランドルフたちを乗せながら、船は姿を隠したままティグリス川の上空へと辿り着いた。

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