思い出のぬいぐるみはネコ?クマ?
つい先日、幼馴染みのユウキとケンカした。
本当にくだらない理由だ。
私達は家が隣同士だったから、良く遊んでいた。
ユウキは昔は中性的な男の子でぬいぐるみ遊びが好きだった。
私の実家の庭の木の下で、お互いお気に入りのぬいぐるみを持ち寄って遊んでいた。
ぬいぐるみの名前は私は[ミーコ]、彼は[トンちゃん]と呼んでいた。
ケンカの理由はここからだ。それは[お互いの持っていたぬいぐるみがネコだったのか?クマだったのか?]である。彼はクマだったと言い、私はネコだったと反論し、やがてムキになりケンカに発展。
「じゃあさ、何だったらお前の自宅の物置小屋に確か預けたはずだから見に行こうぜ?もし、クマだったら晩飯奢りな?」と私も「じゃあネコだったら、ユウキが奢ってよ?高い夕飯ね?良い?」と自宅に至る。
母に事情を話して、物置小屋からぬいぐるみが入った段ボールを引っ張り出す。
部屋に持っていくとふんぞり返ったように座るユウキ。
「ほら!早く開けなよ。間違いなく俺が勝ちだけどな?」余裕のある顔が腹立つ。
「じゃあ、開けるよ?いっせーので見ない?」私の提案に頷く彼。少しホコリを被った段ボールを丁寧に開ける。蓋に手を掛けて彼を見ると少し緊張してる。
「いくよ?いっせーのっせ!」と2人で覗く、そして「あ!」とふたりの声がハモる。
中には[クマのミーコ]と[ネコのトンちゃん]のぬいぐるみが入っていた。2人とも間違ってなかった。
しばらくぬいぐるみを見つめていた2人は肩から力が抜け、その場にへたり込んだ。そしてどちらからともなく笑ってしまった。
その後、彼女の実家の食卓で肩を並べてる2人がいたのは言うまでもない。