壱
一定の評価。
尊敬の眼差しは、遥か彼方画面越し。
目で見るは動画、全て知った気になれる。目を閉じて想像出来る、それは空想。
坊さんの服着たサラリと流れる黒波を携えて、横に控えるは魑魅魍魎。
大きな目は弓なりに。笑っているようにも嘲笑にもみえる。その他大勢とは雰囲気から違う。
早朝の暗い空気と、他人の死んだような顔。
女はその顔顔を首を曲げ、品定めする様に覗きみる。
見られた方は気味悪がってその場を離れようとするが、満員の電車ではそれも難しい。
ニタニタと白い歯を見せると、飽きたのか、スっと真顔で居るのか居ないのか分からないほどの存在感となった。
少し離れた場所では、文明の利器の最新版を片手に誰にもみられないように体に寄せつつ、面白くないけど、苦痛じゃない誰かの誰かによる、人生に影響が全くない情報を文字という形で体感している少年。
精々が、話の種。
日が沈めば忘れる記録。即ち他人事。
世界で中に怯える人が居ようが、飢えに苦しもうが、遠く離れた目に見えない場所。
少年は見た。
奇妙な女を。薄らとみえる普通じゃない被り物をした従者を。
少年は思った。アレは見てはいけない。
しかし、人間の愚かしい部分。
知らないを自分の関与しない場所で見る、愉悦。
人間の隠れた卑しさ。
その卑しさで、少年は女の立ち振る舞いを観察してしまった。
何も起こらなければ変な人が居たと面白おかしく話せる内容。
自分が関与しなければ。




