騎士団はネタの宝庫
エリーは今、領都の騎士団鍛錬場に居る。今日は月に一度の一般公開日、薄い本のネタ探しだ。
うほ~いるいる、ここもイケメン多いよなぁ。
学校と違って年齢も様々、イケメンの種類も様々、妄想もはかどるというもの。他にも出会いを求めて見学に来ているお嬢様方に交じってキラキラした目で眺めていた。すると、
「あれ?エリーちゃん?」
「ん?あ、フランクさん!騎士様だったの?」
エリーにとっては常連さんといってもいい若い男性が話しかけてきた。フランクは何度かエリーが治療したことがあるが、騎士様とは知らなかった。エリーがフランクと話してみると、他にも治療を受けた人がけっこうチラホラいるようだ。フランクが指す方を見ると、皆手を振ってくれた。
そんな様子をジッと見つめる視線は一つや二つではなかった。
翌日学校へ行くとさっそく囲まれた。
「エリーさん、わたくし前々からあなたとお話ししてみたかったんですの。」
「「「「「わたしも」」」」」
騎士様とお近づきになりたいお嬢様方はもれなくエリーのお友達になった。
それからエリーは騎士団に行く時はお友達と一緒に。お目当ての異性がいる場合はさりげなく相手をお勧めしたりと、なかなかのホストぶりを発揮した。おかげでくっついたカップルも多数。
「エリーさんには感謝しますわ。」
政略結婚もあるが、それは主に嫡男の場合が多い。兄弟姉妹が多くなると自分で探さねばならず、それは騎士団にいる男性たちも同じこと。鍛錬を見にきてくれる女性たちは気になるが、話しかける勇気ときっかけがなかったのだ。
エリーは自分のことは売り込まず、完全にサポートに回っていた為、いまだフリーである。
いや~、いいねいいね~、どんどんくっついてイチャついてくれたまえ。そしてネタを提供してくれたまえ~。前世であれこれ世話を焼くおばちゃんがいたけど、こんな感じだったのかな、やべぇ、仲人楽しい!
表向きは他人のために奔走するエリーの態度はいじらしく、人気はウナギ登りだった。