王都にて
ダグが王都に呼ばれて半年。暗部になるべく魔法習得に励んでいた、そんなある日。王太子殿下がお忍びでやってきた。
なっっ!なんで~!?
「君がダグだね、あぁお忍びだからそのままで構わないよ。実は君にぴったりの任務があってね、まかせられるかどうか調べていたんだが大丈夫そうだと思ってね、ぜひ引き受けてもらいたくて私が出向いたというわけ。」
これ絶対断れないやつー!王太子自らって、どんな任務よー!内心ダラダラしながら顔には出さない。どのみち暗部になるのだ、断る選択肢は存在しない。
「そんな大変な話じゃないよ。十二歳になったら学園に行くだろ?私の弟のことは?」
「はい、光属性であると。」
「うん、そうだね。ダグと同じ年だし、護衛をお願いしようと思ってね。城の中と違って騎士が付いて行くことはできないからね、君には護身術と礼儀作法も習得して欲しいんだ。」
「…何か懸念事項があるのですか?」
「いや、今のところは危険なことはなにもないよ。ただね、弟はえらい人見知りでね、属性が分かってから注目されるようになって常に緊張してしまってね、…よく転ぶんだよ。」
「は?転ぶ?」
「そう、転ぶ。護衛騎士であれば受け止められるけど、同じ年の貴族のボンボンではムリだろう?その点君は気配を消して側にいられるし、受け止めてくれると思ってね。それ以外は普通に学園生活を楽しむといいよ。」
良かった、変な任務じゃなかった、とダグは安心して請け負った。