光は領都へ、闇は王都へ
エリーは頑張った。これはレベルを上げねばならぬと、目に着くケガを治療していく。と言っても最初から大ケガは治せない。小さな切り傷や擦り傷から、だんだんと大きなケガを。
ダグも狩りの腕を上げていく。意識することで、より気配を消すのがうまくなった。他には風もうまく使えるようになり、接近せずとも仕留めることが可能になった。
そんなある日、平和な村に衝撃が走る。
ある盗賊団が領都からもほど近いこの村を、アジトにしようと狙ってきたのだ。光属性も手元に置いておけば役に立つ。まだ子供が小さいうちに調教してやろうと、鼻息荒く乗りこんで来たのだ。
早速盗賊団はエリーの両親を人質に取り、村を蹂躙しようと計画を立てていたが…。
狩りの途中で見慣れない集団を発見したダグは、気配を消してこっそり様子を窺っていた。そして計画を知ると、急ぎ村に戻り、皆に知らせた。
「おい、ホントにここか?」
「へい、間違いないです。」
「何で誰もいねーんだ?」
「お頭、この辺の家みーんな誰も居ませんぜ?」
「どうなってんだ?って、うわっ!」
「みな、かかれっ!」
「「「「「おうっ!」」」」」
あっさり盗賊団は捕縛された。
「ダグ、お手柄だな。ありがとう。」
エリーは思った、さすが攻略対象者ね!(←だから違うって)
へへ、とダグも嬉しそうだった。
二人が頑張っているので、周りの子供たちも頑張る。村の大人たちも負けてはいられないと、村の団結は今まで以上に高くなっていたのだ。
盗賊団の移送とともに、領都に村の様子も伝えられる。領主はエリーに十歳になったら領都に来て学ぶといい、と書簡をくれた。喜ぶエリー。
一方ダグも同じく、十歳になったら王都に来るよう書簡が来たのだ。隠密行動が評価されたらしい。
「ダグやったね!」
「あぁ、エリーも。」
二人、笑顔でハイタッチした。