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天使と悪魔   作者: 333
天界編
7/70

第7話 治療

「ガブリエル、ラファエル! なぜ此処ここに?」


 嘘でしょ!?

あの四大天使しだいてんし、死者をよみがえらせるガブリエルと

悪魔憑あくまつきを治療するラファエルの

有名な大天使さまに会えるなんて!!

あわわ、黄金の輪と沢山の羽根が神々しいよぉ~


「まあ、本当に可愛らしい子。

うふふ、カマエル達のペットを救いに来たの」


 20~25才位の美女ガブリエルは

女性用の丈長ローマ服を優雅に着こなし、

金髪ロングパーマを揺らして微笑ほほえむ。


「アコは僕だけのペットだぞ!」


 あう、私はまだペット扱いなのね。


「どうしてアコの正体がバレてるんだ?

 ――まさかウリエルに聞いたのか!?」


 興奮こうふん状態のカマエルに、

丈の短いローマ服を着て足元には

細い皮バンドで編上あみあげたサンダル姿。

12~15才位のそばかすを持つ

茶髪パーマのラファエル少年が欠伸あくびする。


「ふわぁ、もう五月蠅うるさいなあ。

スペシャリストを甘く見ないでくれ、

だいたい悪魔憑あくまつきを治せるのはオレだけだ!」


 ラファエル少年は背伸びする年頃みたい、

わざと乱暴な言葉を使っても可愛いだけだ。


「説明は後! さぁラファエルの家に行くわよ」


 ガブリエルが仲裁ちゅうさいに入り、

言われるままにラファエル少年の自宅へ。


 天使の家はカマエルを含めて

皆んな丸く白いドーム型に住んでいる。

遠くから見ると『かまくら』みたいで面白い!


 ガラクタだらけのカマエル宅と違い、

ビーカーやフラスコが整然せいぜんと並べられて

まるで本物の実験室にいるよう。

 瓶から出された私はちょこんとテーブルに座り、

ラファエル少年に謎の薬をられつつ話を聞く。


「君たちが天界に来た時から知ってたぜ~

ずっと動向どうこう監視かんししてたけど

悪意あくいを感じないし、むしろ困ってるようだから

ガブリエルを呼んで治療ちりょうしに来たんだ」


何故なぜ、ガブリエルを呼んだ?」


「彼は死者蘇生ししゃそせいの天使だぞ、

万が一の為に此処ここにいた方が安全だろ?」


 彼? こ、この美女が男性なの!?


「私の能力が必要ないなら帰るわ」


 ガブリエルが指を鳴らそうとした瞬間、

彼女(彼?)の腰にすがりつくカマエル。


「済まない、どうか助けてくれ! 

頼む、ラファエル、ガブリエル!!」


「最初からそうすれば良いの……勿論もちろん助けるわよ」


 優しく微笑むガブリエル。ふわぁ、美人だわ~


「じゃあ治療を始める!

だがサイズまでは変えられないぜ、

オレが出来るのは悪魔から人間にすることだけだ」


「それで十分です。よろしくお願いします」


 ラファエル少年に色々塗られたあと、

緑色の苦過ぎる薬湯やくとうを飲み干す。


 全ての治療が終わると眠気に襲われた。

たぶん薬湯に眠り作用も入っていたのだろう、

うすれゆく意識の中でカマエルの優しい声が響く。


「よく頑張ったね、アコ。ゆっくりお休み」

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