第7話 治療
「ガブリエル、ラファエル! なぜ此処に?」
嘘でしょ!?
あの四大天使、死者を蘇らせるガブリエルと
悪魔憑きを治療するラファエルの
有名な大天使さまに会えるなんて!!
あわわ、黄金の輪と沢山の羽根が神々しいよぉ~
「まあ、本当に可愛らしい子。
うふふ、カマエル達のペットを救いに来たの」
20~25才位の美女ガブリエルは
女性用の丈長ローマ服を優雅に着こなし、
金髪ロングパーマを揺らして微笑む。
「アコは僕だけのペットだぞ!」
あう、私はまだペット扱いなのね。
「どうしてアコの正体がバレてるんだ?
――まさかウリエルに聞いたのか!?」
興奮状態のカマエルに、
丈の短いローマ服を着て足元には
細い皮バンドで編上げたサンダル姿。
12~15才位のそばかすを持つ
茶髪パーマのラファエル少年が欠伸する。
「ふわぁ、もう五月蠅いなあ。
スペシャリストを甘く見ないでくれ、
だいたい悪魔憑きを治せるのはオレだけだ!」
ラファエル少年は背伸びする年頃みたい、
わざと乱暴な言葉を使っても可愛いだけだ。
「説明は後! さぁラファエルの家に行くわよ」
ガブリエルが仲裁に入り、
言われるままにラファエル少年の自宅へ。
天使の家はカマエルを含めて
皆んな丸く白いドーム型に住んでいる。
遠くから見ると『かまくら』みたいで面白い!
ガラクタだらけのカマエル宅と違い、
ビーカーやフラスコが整然と並べられて
まるで本物の実験室にいるよう。
瓶から出された私はちょこんとテーブルに座り、
ラファエル少年に謎の薬を塗られつつ話を聞く。
「君たちが天界に来た時から知ってたぜ~
ずっと動向を監視してたけど
悪意を感じないし、寧ろ困ってるようだから
ガブリエルを呼んで治療しに来たんだ」
「何故、ガブリエルを呼んだ?」
「彼は死者蘇生の天使だぞ、
万が一の為に此処にいた方が安全だろ?」
彼? こ、この美女が男性なの!?
「私の能力が必要ないなら帰るわ」
ガブリエルが指を鳴らそうとした瞬間、
彼女(彼?)の腰にすがりつくカマエル。
「済まない、どうか助けてくれ!
頼む、ラファエル、ガブリエル!!」
「最初からそうすれば良いの……勿論助けるわよ」
優しく微笑むガブリエル。ふわぁ、美人だわ~
「じゃあ治療を始める!
だがサイズまでは変えられないぜ、
オレが出来るのは悪魔から人間にすることだけだ」
「それで十分です。よろしくお願いします」
ラファエル少年に色々塗られたあと、
緑色の苦過ぎる薬湯を飲み干す。
全ての治療が終わると眠気に襲われた。
たぶん薬湯に眠り作用も入っていたのだろう、
薄れゆく意識の中でカマエルの優しい声が響く。
「よく頑張ったね、アコ。ゆっくりお休み」