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天使と悪魔   作者: 333
天界編
6/70

第6話 ビン

「しっかりしろ、アコ!

今すぐ地上へ行くぞ、必ず助けるからな!!」


「やれやれ、慌てん坊な2人だ」


「許さない、お前を魔界まかいとす!」


「おっと、話しは最後まで聞け。

取りえず君は此処ここに入るんだ」


 羽根をヒョイとつかまれて安っぽいビンの中へ。

怒っていたカマエルも興味深々(きょうみしんしん)でガラス瓶を見つめた。


「ウリエル、このビンは?」


「この中は時間軸じかんじくから切り離されている。

要するに、時間の流れを遅くする効果があるのだ」


 つまり、この中なら安全ってこと?

カマエルはホッとしてガラス瓶をコツンと叩く。


「アコ、苦しくない?」


「全然、むしろ居心地が良いわ」


 まるでんだ森の中にいるみたい。


急遽(きゅうきょ)用意した割にはいい代物しろものだろう?

さて、悪魔なのに清浄な空気をまとっているのは

誰かが君を勝手に召喚(しょうかん)した結果と言える」


 まさか魔術に失敗したってこと?

誰も弱小悪魔なんか呼び出さないよね、

ムキッー! 無理矢理転生させた上に大失敗してるじゃない!


「どうどう、君には小さなカップを用意しよう」


 ウリエルが手を振ったら何とミルクジャグが現れた。

すご~い、マジシャンみたいよ!

はあ、ミルクが美味しい……水以外でもいけるわ。


「うぷぷ、単純な悪魔だ。

見ろ、ハート型の尻尾しっぽが上機嫌に揺れてるぞ」


「いいから話を続けろよ、ウリエル」


「転生術は色々と問題があり封印されたはずだ。

しかも私の管轄外かんかつがいで……有り得ないだろう?」


「ウリエルの目からのがれるには魔界しか考られない。

だとすると、アコは悪魔の生贄いけにえとして呼び出されたのか?」


 うそぉ~、私ってイケニエだったの!?


「いや、わざわざ転生させたんだ。

生贄なんて些末さまつなことの為に大掛おおがかりな魔術は駆使くししない」


「じゃあ他に何がある?」


「さあな、ともかく術者の特定が先決だ。

魔界にいて大魔術を発動できるのは……」


 ウリエルは足を組み替えて考え込む、

それを見ながらカマエルが質問する。


「そもそも、なんで転生させたんだ?」


「資料には転生者からの魂は極上ごくじょう

高位クラスが生まれると書いてあったな」


 2人の天使はビンの中にいる私を見つめた。


「うぷ、アコは高位悪魔こういあくまに見えないぞ?」


「フッ、極上の魂か……コレは大失敗だろう」


 分かるよ、笑いたいのをこらえてるんでしょ?

ウキッー! どうせ最弱な悪魔ですよ

小っちゃな悪魔ですよ、召喚者めぇ~許せん!!


「因みに、君は何処どこで生まれたんだ?」


「う~ん、日本人だった事しか覚えてないの。

気付いたら小さな悪魔でブラック会社にいたわ」


「ふむ、転生術のせいで記憶が飛んだか……

まあ誰かが地上のみならず、

天界をも荒らそうとしてる可能性が高いな」


 んん~? きなくさい話しになってきたよ!?


「その時は、僕が一掃いっそうする!」


「さて、私も断罪人だんざいにんの仕事を始めよう。

高位悪魔を探してお仕置きをしなくてはな、

……くくく、捕らえて断罪するのが楽しみだ」


 黒く笑うウリエルに寒気がする。

この天使は間違いなくドSだよ~

話し合いも終わりカマエルと外へ。


「この状況に落ちた原因は分かったけど、

今のところ私は小さい悪魔のままね」


「ごめん、期待させて更に小さくした」


「いいのよ、ビンも貰えたし

死なずに済むなら万々歳(ばんばんざい)よ!」


「いや、時が遅くなるだけで

寿命じゅみょうはどうなるか分からない」


「うぐぅ、もう一度ウリエルと話せないかな?」


「それは無理だな、今頃地上へ向かっている」


 あゝ犯人を探すと言ってたもんね、

カマエルと立ち尽くしていたら

そこに長身美女と"そばかす顔"の少年が現れた。

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