第5話 下僕
「はあ、私達だけでは無理じゃない?」
ここ3日、図書館に通っているけど
転生の仕組みさえ見つからない。
「全く、ウリエルは働き過ぎなんだよ!」
バタンと本を閉じて机に突っ伏すカマエル。
「私の仕事に文句を言わないでくれ、
それで探してる本は見つかったのか?」
ウリエルが本棚からスッと現れたので
カマエルは驚きつつも私を虫かごへ。
「ほっとけよ!」
「ふむ、その悪魔のことが知りたいのだろう?」
ウリエルの言葉にビシッと固まる私たち。
「い、い、今、なんて言った!?」
「ここは図書館だぞ、静かにしろ。
その動物が気になり調べただけだ……
悪意を感じさせないとは貴重な実験体だな」
あゝ私は此処で殺されるのか――
全身の力が抜けてパタリとうつ伏せに倒れる。
「どうしたアコ?
まさか正体がバレたら死ぬのか!?」
「籠を揺すらないでカマエル、
私はショックで立ち上がれないのよ」
動けない状態で虫かごを揺するから
顔がズリズリ擦れて痛い。
「やはり喋れるのか、意思疎通も完璧だ。
おまけにノミの心臓か……ふふ、面白い」
「冗談はよせ、ウリエル。
アコは騙され易く、馬鹿で間抜けな子なんだ!」
うう、もう立ち直れないかもしれない。
「くくく、ピクピクしてるぞ。
君の言葉も相当刺さっているようだ。
悪魔の正体を調べてる内に
色々と解明出来たが知りたくないのか?」
ショックを忘れてガバッと起き上がる。
「知りたいです!!」
何も分からず振り回されているのだ、
いい加減ヒントの一つも欲しい!!
「私の下僕になるなら教えても良いが」
嘘でしょ? ペットから下僕に格下げなんて……
「いい加減にしろ!
アコは僕のものだ、絶対に渡さないからな!」
「おお怖い、君に逆らう訳ないだろう?
私の仕事にケチをつけたから少々揶揄ったのだ」
笑顔で席に着くウリエル、
カマエルは不機嫌になりつつも私を籠から出す。
「ふむ、やはり小さいな」
その言葉にカマエルがすぐさま反応して
乱暴に掴み、ウリエルから遠ざけた。
「いや先程より小さくなった気がしてね、
天界にいると魔力が浄化されてしまうのか?」
そう云えば前より目線が低く感じるよ、
嗚呼~どんどん小さくなって消えるんだわ!
もう終わりなのね……再びパタリと倒れ込む。