表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使と悪魔   作者: 333
天界編
4/70

第4話 名前

 天界は何処どこ彼処かしこも眩しく

小さな島がいくつも浮遊ふゆうし、

その周りにのついた大きな船が浮かんでいる。


「君が消滅しょうめつしなくて良かった」


「ちょと、絶対大丈夫って言ったよね!?」


「さてと、あそこが天界図書館だよ」


 悪魔が天使にだまされた!

虫かごと水筒すいとうを斜め掛けにして図書館へ入るのは

ひどくシュールな気もするが

天使は堂々とした態度で扉を開ける。


 館内は丸いドーム型の建物ながら

隅々までビッシリ本がまっていた。

皆んな飛べるから階段は必要ないのだろう。


 人間界や天界の本がコーナー別にされ、

見上げるほど大量な蔵書ぞうしょを前に

何処から手を付けていいのか全く分からない。


「ダメだ、気持ち悪くなってきた」


 頼みのつなである天使はグロッキー状態。

私は大きな本のページをめくりつつはげます。


「まだ数冊だけよ、頑張りましょう」


「読書は苦手なんだ」


「じゃあ何が得意なの?」


「う~ん、闘いかなぁ」


 ぎゃああ~、危ない天使がいるよ!


 本の上で震えていたら20~25才位の

茶髪クセ毛に緑目の青年が話しかけてきた。


「君が図書館にいるとは驚きだ。

地上へ行くと豪語ごうごしていただろう?」


「いま帰ったところさ、じゃあな」


 慌てて私を虫かごに入れる天使。


「待て、その紫色の物体ぶったいは何だ?」


「地上で見つけた突然変異とつぜんへんいのオウムだよ」


「地上にはこんな面白い動物がいるのか?

私もつかまえてみたいものだ……

くくく、非常にめずらしくて可愛い」


 急いで帰り支度を整え、

何も返事をせずに退出する私たち。

 そっと虫かごからのぞくと

青年はずっと此方こちらを見つめていた。


「危なかったな、奴はウリエル。

原始げんしからの天使で断罪人であり預言者でもある」


四大天使しだいてんしのウリエル様なの!?」


「へぇ~、意外と物知りだね」


 どこかで読んだ知識だけどね、

ウリエル様と知り合いなら

この天使の正体も分かりそう。


「貴方は七大天使しちだいてんしなんでしょ。

闘いが得意なら……カマエルかしら?」


「凄いな、君は一つのヒントだけで当てた!」


「だけど本からは何も得られなかったわ」


「そうでもないさ、

あのウリエルでさえ正体をあばけなかった。

つまり、君は悪魔ではないと証明されたんだよ!」


「それは嬉しいけど、じゃあ何者なの?

 ――もちろんオウムではないわよ!」


「チッ! 君は可愛くないな」


 くだらない冗談を回避したら舌打ちされたよぉ~

悪い天使だわ! もう気をつかうのも馬鹿らしい。


貴方あなたのこと、名前で呼んでもいい?」


「別に構わないよ」


 すんなり応じて拍子抜ひょうしぬけしてしまう。


「ずっと名前を隠すから

絶対に呼ばれたくないと思っていたわ!」


「う~ん、特には……

ただ旅人気分で名無ななしがいいかなぁと」


 私の気遣きづかいを返して欲しい。


「ええと、君のことは――アクでいいか」


 ちょっと、最悪のネーミングセンスだよ~


「それはイヤだわ」


「じゃあ、君が決めて」


「そうね……アコはどうかしら?」


 悪魔の子、略してアコ。

うう~ん、私のセンスもパッとしないなぁ。


「アホでもいいな」


 その名前だけは断固拒否する!


「アコに決定!! よろしくね、カマエル」


「ああよろしく、アコ」


 やっぱり名前があるとしっくりくるわ!

名無し同士なんてやっぱり他人行儀たにんぎょうぎだもの。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ