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天使と悪魔   作者: 333
天界編
2/70

第2話 オウム

 魔法円陣まほうえんじんから離れた森に到着。

記憶があれば住んでいた場所へ行きたいけど

残念ながら全く思い出せなかった。


 住まいは木の穴に決めて数日、

くまも出没しないし追っても来ない。

標高ひょうこうが高いのか動物や人も訪れない湖は

飲み物の確保と日光浴のパラダイスだ!


 今日も吞気のんきに寝転がっていたら

目の前にブワッと巨大なあみが!?


「やった~! 上手うまくいったぞ!!」


 いや~! バタバタ暴れてもビクともしないよ。

終わった、たぶん登山者か研究員だろう。


 その人間は私を網に入れたまま

器用に虫かごへと移動させた。

 ずっと羽根をつかまれていたので

どんな人に生けりにされたか判明はんめいせず、

虫かごからそっと狩猟者しゅりょうしゃを確認すると――


 そこには金髪パーマ青目の美少年が

ニコニコ上機嫌じょうきげんな様子で此方こちらを見ている。


「やあ! めずらしい生き物だ。

特にハート型の尻尾しっぽが可愛いぞ~!」


 皆んな尻尾好きねぇ、ともかく

今は逃げるすきうかがうべきだわ。


 古い小屋には机と椅子いす、ベッドのみ。

そのボロボロな机の上に虫かごを置いて

私を取り出しなわくくり付けた。

 グルグル首に巻かれ、

先端せんたんかごに結ばれたので逃げられそうもない。


「しかし何の動物だろう、

こんなの見たことがないぞ?」


 サイコパスだったらどうしよう……

恐怖きょうふでプルプルふるえていたら

彼はおもむろにグイッと尻尾を引っ張る。

体中に電気が走り、ビリビリ痛い!!


「あわわ、やめてぇ~死んでしまうわ!!」


「うわあ! この動物はしゃべれるのか!?」


 つい声を上げてしまったけど悪魔とは言えない。


「君は何者?」


「ええと、オウムの突然変異とつぜんへんいかもね」


「ふうん、一応羽根はえてるし

オウムなら人間の言葉を話せるか……」


 まぁ、素直に信じてくれたわ~

これぞ人をだます悪魔の力なのかしら?


 彼の他には誰もいないようで、

縄を切れば逃げるチャンスはありそう。

ハサミは……机の中があやしいわね。

色々思考しこうしてる間に質問タイムが始まる。


「君は何を食べるの?」


「食べ物は必要ないの。

綺麗なお水だけで生きていけるわ」


「へぇ~うのに便利だね」


 悪魔を飼うなんて趣味が悪い、

でもオウムだと思ってるなら仕方ないか。


「ねぇ、私をどうするつもり?」


「僕のペットにするつもりだよ」


 どうやら解剖かいぼうや実験はされないみたい。


「あのう、貴方あなたの名前は?」


「旅人に名前なんか無いさ、

それより君の名前を考えなきゃね!」


 腕を組み真剣しんけんに悩んでいる姿は

王子のように美しく、とても旅人には見えない。

かたくなに名乗なのらないのも気になるし、

 ――しばらく彼を観察してみようかな。

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