舞い踊るフランス人形の君
高い天井、青い壁、灰色のカーテン、青い床。
そして、毛布とベッドのあいだに体を挟むルイ。
暗い部屋の中、ベッドに置かれたパソコンの光が目立った。
「ナオトのやつ…」
アリーナ067 そう大きく書かれたソフト。天才開発者と呼ばれたアサノ ナオトの新作だろう。
だが、そのゲームをプレイすることにおいて1つ装置が必要ということのだった。
「ルイ、起きている?」
ドアの前からこもった母の声が聞こえた。
「うん、起きてる。」
「よかった、これ書庫に置いてあったんだけど何か知らない?」
母の手に乗る丸くて真ん中にLEDライトのようなものが埋まっているものはパソコンに映る装置と全く同じものだった。
「母さん、それ貸して?」
「あ、ええ。」
その装置はルイの手からパソコンの横に移る。
「それで、何?それ」
「ゲームのやつみたい。」
母は納得したように頷いた。
「ああ、そうなのね。ならルイの方が詳しいか。」
水滴が目立つコップを机の上に起き、手を振って母は部屋から出たていった。
「えっと…ここのスイッチを押して…」
その瞬間、意識がプツリと切れた。
目を開くと数字の置物のようなものが沢山置いてあった。するとゲームのコマンド入力画面のようなものがルイの目の前に現れた。
『名前を 入力 してください』
レトロチックな字でその画面に指示が映った。
「えっと…ルイでいいのかな」
『ルイ でよろしいですか?』
その文章とともに、はいといいえも現れる。
「えっと…はい」
『ルイ さん この3人のキャラクターの 中から1人 選んで ください。』
すると画面ではなくルイから3mほど離れた場所に3人の少女が出現した。
すると少女は次々と
「金髪の赤ずきんだ!」
「誇り高き壁ですわ」
「…舞い踊るフランス人形」
ルイは再び画面に視線を戻した…がこそこそと話し声が聞こえた。
「何が舞い踊るフランス人形…ですわ。あなたは選ばれる筋合いなどありませんのよ!」
「…申し訳ございません。」
ルイは少し癪に触り少女たちの方を向いた。
「おいおい、何言い合いしてるんだよ。君たち」
「兄ちゃんごめんな、こいつら…ちょっと仲が悪いんだ」
金髪の赤ずきん そう名乗った少女が申し訳なさそうに手を合わせてルイに謝罪し、2人の少女の方を向いた。
「どうだか、最弱の彼女はこのような扱いを受けるべきではないのかしら。」
「最弱?」
舞い踊るフランス人形と名乗った少女はとても暗い顔をしていた。
「…俺決めた。この子にする」
ルイは最弱の少女の方に手を伸ばした
「…?!」
「俺ルイ。君、舞い踊るフランス人形って言うんだよね。呼びずらいから名前変えてもいい?」
そう言うと位置が固定されていた入力画面がルイの前に移動した。
「今日から君の名前はエトワールだ!」
エトワール と名付けられた少女の瞳は今までにない程の輝きを見せた。