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バアル3

「これが……そのドラゴン?」


ウロコは額に冷や汗を浮かべながら言った。


彼女の目の前には、巨大なクモの姿をした生物の姿があった。


「そうだが。何か問題でも?」


ウロコの隣に立つアンドロマリウスが尋ねた。


「いや、だって私の知ってるドラゴンとは随分かけ離れた見た目をしているものだから」


「アホ。さっき言っただろ、ドラゴン達は皆、悪魔のような姿に変化してしまったと」


「なるほど……そういやそんな話してたような」


「はぁ……こいつでホントに大丈夫なのか?」


「ん? 何か言ったかしら?」


「何でも……なくねぇなぁ!」


アンドロマリウスは突如、ウロコの体を突き飛ばした。


「いった! ちょっといきなり何……」


ウロコがそう言いかけた次の瞬間、二人の目の前にクモの悪魔の巨大な足が降り落ちて来た。


「……あっぶな」


ウロコはその場で腰を抜かした。


「ふん。ボッーとしてるからだ。こいつもさっき言ったはずだぞ、悪魔と化したドラゴンとは戦闘になるってな」


アンドロマリウスが言った。


「そういやそうだっけ? それよりも……」


「……ん?」


ウロコはアンドロマリウスに右手を差し出した。


「何のマネだ?」


アンドロマリウスが尋ねた。


「助けてくれてありがとうね。アンドロマリウス」


ウロコが笑顔で言った。


「……この状況でふざけた奴だ。礼なら、こいつの前から生き延びてから言え」


アンドロマリウスは右手でウロコの右手をつかむと、彼女の体を引き上げた。


「それはごもっとも。で、どやってこの人……じゃない、このドラゴンを止めるわけ?」


ウロコが尋ねた。


「方法は……ただひとつだ」


そう言うと、アンドロマリウスはウロコの右手を自身の口元に当てた。


「お前とアタシが……ひとつになることだ」


「……へ?」


次の瞬間、アンドロマリウスはウロコの手の甲に噛みついた。


「っ!? いったぁあああ!!」


噛みつかれたウロコは吠えた。


「ちょ、ちょっと! またしても突然何すんのよ! 血が出ちゃったじゃないのよ! アンドロマリウス! ……アンドロマリウス?」


ウロコは周囲を見回したが、そこにアンドロマリウスの姿はなかった。


「あれ? どこ? ……お手洗いにでも行ったの?」


『なわけあるか!』


突如、ウロコの手の甲からアンドロマリウスの声が響いた。


「わっ!? ……傷口から声?」


ウロコは自身の右手の甲に視線を落とした。


彼女の甲の傷痕は、何かの紋章のように変化していた。


「……これは?」


『そいつは契約紋。アタシとお前の間で契約が成立した証明だ』


「……やっぱり、手からアンドロマリウスの声がする。あなた、私の傷の中にいるの?」


『……厳密には違うが。まあ、そういうことにしておこう』


アンドロマリウスはコホンと咳払いをした。

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