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泣き顔②  作者: Klory
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君の泣き顔が見たい

次の日。

彼女は喧嘩していた友達に謝って、無事仲直りしたみたいだ。教室で前より仲良くしている所を見た。

心の中でおめでとうと呟く。

帰り際彼女に昨日はありがとうと言われた。僕は上手い慰めも言えなかったし、無力さを感じていたのだが彼女にはそれがありがたかったみたいだ。

彼女は少し泣いていた。でもそれは昨日と違って、とても嬉しそうな涙だった。

…それを見ても僕は昨日みたいに興奮しなかった。

どうやら僕は泣き顔全てに興奮するのではなく、悲しくて泣いていたり、辛そうな顔で泣いているのに興奮するみたいだ。しかも、彼女の泣き顔だけに。昨日、自分の性癖がどんなものか知りたくて色々なドラマや漫画の泣き顔を見てみたが、全く興奮しなかった。

今話題の美人女優から、顔の醜さを売りにしている女芸人まで、様々な顔の女性の泣き顔を見たけれどなんともなかった。

彼女の顔や体型は全く好みではないのだが…よく分からない性癖だ。


彼女とはあれからLINEでよく話すようになった。その日あったことや楽しかったこと。面白かったこと。

彼女は友達が多いみたいで、常に誰かと一緒にいる。彼女は喜怒哀楽が激しいみたいで、表情がコロコロ変わる。よく笑うし、そういう所が見ていて飽きないから友達が多いのだろう。

僕は友達が多くもなく少なくもない、漫画やゲームで言う所の「モブ」というものだろう。そんなんだから、女の子と話すこともあまりなかった僕にとって、女の子と話すことは珍しいことだ。

しかも自分の性癖にグッとくる女の子と話しているのだから、不思議な縁はあるものだと思う。

まぁ、学校で話すことはないし、LINEもなんとなく続いている感じだから、いつかLINEですら話さなくなるのだろう。


彼女の泣き顔を最初に見てから3ヶ月が経った。これと言って何も無い日々が過ぎていった。彼女とはまだLINEが続いている。だいぶ砕けた口調で話せるようになったし、仲良くなったと言っていいだろう。

たまに通話もするようになった。通話をするのは、彼女の悩みを聞いたりする時だった。彼女は友達が多い分、人間関係がこじれて悩むことも多かった。

彼女は小さな悩みでも大きく捉えてしまうようで、よく泣いている。僕は彼女が悩みがあるというとすぐ通話を提案した。

彼女には悩みは口で話したほうがすっきりするとか言って丸め込んだが、本当の理由は自分のためだ。

LINEの文章では泣いてるかどうかなんて分からない。でも通話なら泣き顔を見ることは出来なくても、泣き声を聞くことはできる。

彼女の泣き声から彼女の泣き顔を想像すると、僕は興奮することが出来た。彼女が泣いている時に僕は黙ってそれを聞いているが、彼女はそれを自分のペースに合わせてくれていると思っているが、本当はもちろん違う。ただ僕が彼女の泣き声に聞き入って興奮しているだけだ。彼女と通話した後、僕は必ず自分を慰めた。通話していない日もほぼ毎日慰めている。

…1度だけ、彼女が大泣きしている時に通話中だというのに自分を慰めた。あの時の興奮と言ったら、今までにないくらいだった。

彼女はぼくの親切心を信じて通話してくれているのに、僕はそれで自分の性欲を満たしているのだから、少し良心が痛む。でも彼女に興奮するのは止められないので、本当に僕は辛抱のない人間だと自責する。

今までそんなに何かに興奮した事がなかったのもあって、ここ最近の僕は変態のようだ。

変態になった僕には、1つ不満があった。もう彼女の泣き声だけでは満足しないのだ。

自分の記憶や想像の泣き顔は飽きてしまった。3ヶ月ほどずっとそうしているのだから、そうなるのも当然だ。なんとかして彼女の泣き顔を見たい。どうすれば見られるか、そればかり考えている。考えて考えて考え続けて、僕はある考えに至った。

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