鳥篭
貴方はもうすぐ死ぬ、と目の前の老婆は言います。
ああそうですか。
遂に、遂にこの檻から抜け出すことができるのか。
いやー、今まで長かった。
中学から受験させられて、高校を退学し、今や23歳ただのフリータ。
長かったなー。
感慨に浸っている僕を置いて、老婆は言います。
実に羨ましいね、と。
ああそうだろう、そうだろう。
さぞ羨ましいことだろう。
生い先が長いのやら短いのやらわからない老婆とは違って、僕はもう死が確定しているのだから。
いつ死ぬのかと不安に駆られる人生なんて過ごしたくはない。
今度は悦に浸っている僕をしり目に老婆が笑います。
御馳走様、と。