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第36話 哀れなる『種属特性』

宜しくお願いします|д゜)チラッ


 宙空に座していた黒点が


  《《ドクンッ》》


 胎動する。


 そのさらなる上空で展開されていた魔法陣に描かれた五芒星も、その波動に合わせるようにして鈍色の光を明滅させていた。それら鼓動と光はとてつもないプレッシャーを発して大気を震わした。体表がジンジンと痺れるほどだ。


 真球だった輪郭をジワリと滲ませる黒点。

 曖昧になったその輪郭は突如に破裂。

 耐えきれぬほど大量に孕んでいた邪悪、ぶち撒ける。

 闇。闇と言う名の不定形。薄くのびるようにして拡大していく。

 液状にも見える黒が勢力圏を拡大していく。


──使い古された言い回しだが。


──世界は闇に包まれた。


キマイラにとってドーム状に自身を囲う『闇の膜』の向こう側は、感知及ばぬ隔界となり果てた。

この魔法を発動させたレマティアも闇の向こう側へと存在を消してしまってその所在は掴めない。



キマイラは夜よりも深い闇を境に世界から完全に隔離されてしまったのだった───。







──慣性にまかせ余った勢いそのままに巨樹に手を衝く。


 もう限界だった。

体当たりするような勢いでそのまま巨樹にもたれかかる雄字。

もはや自身の体重をすら支えきれぬほどに消耗していたのだ。

巨樹にもたせたばかりの背をそのまま、ズルズルと地に向けて降ろしていく。

そしてへたり込むようにして胡座をかいた。


()……父さん大丈……」


その身を案じてシンが声をかけながら伸ばした手が不意につかまれる。途端、抜けていく力。そのまま操作された。雄字による武道的な動き、その作用であるのだろう。そして、


チョコン。


座らされた。雄字がかいた胡座の上にスッポリと収まる形に。

 最初キョトンとするしか無かったシンだが、尻の下にフニャとしつつも微妙微弱な弾力もつ何かを感じて思いだす。

今、雄字は全裸であったなと。


思い出せば当然


『オイオイこの尻の下に感じるモノは何だ?』


となる。そうなれば当然、


「うぉい!」


発する声が荒くなりもするというものだった。


「コラバカ息子…!今だけはおとなしく、してろ!」


咎めてくる父を心中で咎め返す。


(いや同じバカ息子ならお前の股関にぶら下がってる方を先に気にしろよ!なんか尻の下がグニっとして気持ちわりーんだよ!その上生あったかくてさらに気持ちわりーよ!こんなんでジッとしてろとかソレどんな拷問だよ?つかこの体勢を強要するんならせめて服を着てからだろーがよ!この、、、バカ親父!)


……という長文のクレームを、振り返ってすぐ目の前にある雄字の顔に送るジト目に、込めに込めて訴える。


「あ?文句あるなら母ちゃんに言え。つかもうあとはレマティアに任せときゃ大丈夫なんだっ。あの魔法は発動した本人に似てマジで(たち)悪いんだっっ。だからいくら俺が馬鹿強くてもアレの範囲内でお前を庇い切るのは無理なんだっっっ。だからお前はここでジッとしてるしかねーんだっっっっ。どんなに俺のことが嫌いでも、今は我慢するしかねーーーんだっっっっっ!この、馬鹿息子っっっっっっ!!」


 ガサツパイセンたる雄字なりの……これは、一応親切である、のだろう。諭しているつもり、なのであろう。

 力にまつわる何もかもを絞り尽くした状態にムチ打ってつばを撒き散らしてまくし立てる。シンの反抗に先んじて釘を刺す。剣法家らしく見事なる『後の先』。


 仕方なく、(全く納得いかないが、)シンは捻っていた首を正常な方向へ戻した。そして尻の下の感触や顔面に飛沫(しぶ)いた雄字のつば以上に気にかかっていた母の安否を確認しようと視線を遠くに戻す。(全く納得いかないままに。)


 レマティアは無事だった。だがそれでも不安は残る。レマティアの前方にある巨大な半球、黒いドーム状の結界からあまりにも凶悪な気配を感じ取ったからだ。


 結界を中心にして世界の輪郭がまるで蜃気楼のように歪んで見える。そのまま周囲の存在全てを幻であったかのように消してしまいそうな。そんな気配だ。

 この森の支配者である巨大な樹々達も、あのドーム状からは少しでも逃れようとして幹をたわませ黒の結界から距離を置こうとしているかのようにも見えた。

 そのように目が錯覚してしまうほどの禍々しさがあの黒いドーム状から発せられていて、きっと自分はそれに怯えているのだろう。過剰なほどに。

 だが、もし、錯覚ではなかっら?

あの黒の結界が、錯覚した以上の災禍をもたらすとしたら?あの黒い半球はたわめられた力が飽和寸前の状態を表していて、今にも暴発してこの世界を破壊の力で飲み込んでしまうのではないか?そうなればレマティアは?家族はどうなる?等々、考え始めれば切りが無い。そしてどの考えも不吉なものとなってしまう。見れば見るほど不安を駆り立てられる存在に見えた。

 地球では見たこともなかったからだ。あのような、『可視化された力の塊』というものを。シンにとってあれは『人が手にしてはならぬモノ』、その象徴であるように見えた。


 だがしばらくの時が経ったのち、それは杞憂に終わる。レマティアがこちらへと振り返ると同時に、黒のドームはひび割れ、パリンという音も立てずに儚くも粉々に割れて、さらに粉々となり、粒子の単位まで分解された後はキレイサッパリ消え失せてこの世界から身を引いた。その様子を振り返り確認することもせずレマティアは悠然として歩いてくる。


「はは……っな?いい女だろ?お前の母ちゃん…」


雄字は呟いた。


「…え?うん。」


先程の『質悪い』発言を無かったことにしていきなり自然な感じで惚気けてくるリア獣雄字、マジウザい。と思いつつ


「確かに、カッコいい」


『まあ怖い感じは否めないが、確かにそれは事実であるから』とその惚気けを認めて()()つつ


(父さんも、まあ、カッコよかったよ……)


と、今世の父の功績も心の中で認めて()()。『やる』という言葉は何の役にも立っていない自分が使うには偉そうに過ぎるとも思うのだが、雄字は前世の親友でもあるのだ。どうしても照れくさい感覚が付き纏う。照れくささを振り切るようにして立ち上がる。



「あ。オイこら待てシン……ってオイ!………って、()つつ………」



 背後には自分を呼び止める声。それも振り切る。

痛んで身体の自由が利かない雄字を置き去りにしてシンは駆け寄るのだった。



「あらあらシン……♪」



 これは感動的な場面。



戦闘の緊張を溶かして思わず破顔する。『これは強敵にトドメを刺した者の役得』とばかり、駆け寄ってくるシンを迎え、

抱き締めようとするレマティア



「………ってアラ!?……もうッ!シンのイケズっ!」



 ……であったがシンはそれも華麗にスルー。シンが駆け寄ったのは黒のドームが在った場所。


 キマイラがどうなったのか確認するためだ。あの魔物は本当に倒されたのか。両親を信じられないわけではなかったが、どうしても不安が残ったからだった。

 あのキマイラアグリゲートとの戦闘が、こんなにもあっけない幕切れで終わるとは、何故か到底思えなかった。 


 目的地に到着して見てみれば、そこには焼け焦げた跡も、無惨な死体も、血の跡も、何もなく、無。



 ……ただただ、生命の痕跡が、無い。



 ドームの内側であった場所には、あの半球型の対となる半球型の穴。まるでアイスクリームをよそう時に使うあの半球型のスプーンで抉られたような深いクレーターが出来上がっており、



 ……正に、何も『なくなって』いた。



 そのクレーターの内側側面、露わになった地層に目を凝らしてみれば、地中に這い回っていたのであろう巨樹の根がクレーターの形状に沿って抉られた断面を見せていた。


 あの怖ろしいキマイラという存在は『無くなって』いた。

完全に。

大地諸共抉り取られて、

この世界から跡形もなく消え失せてしまっていた。


(これが……魔法か……スゲーな……。流石は超越者にして伝説級の冒険者ってやつか……って言葉にして思うと改めてスゲーわウチの両親。……コレはもしかして『転生先の両親は世界最強でした』とかいうテンプレですか!?)


 両親のステータスを思い出しながら禄に事情も知らず心の中で両親の強さランキングを言い当ててしまうシンなのであったが、その時。



「………?これ……なんで?……レベルが…上がってない。………っ」



 レマティアが自身のステータスから不穏を感じ取り、




「シン……ッッ!!」




まだ危機が去っていないことを慌てて我が子に報そうと大声を上げる。


 その声にただならぬ雰囲気を感じたシンはクレーター内部を除きこんでいた顔を慌てて上げる。素早く上げた反動にしては違和感のある感触があった。



 プルっ



何かへばりついている、と感じた。そのへばりついた『何か』が、揺れたのだ。


シンの口元、


その付近の、


()()(ほほ)に─────














──怖ろしい、恐ろしい、畏ろシイ……!


黒のドーム状、レマティアの究極魔法【餓星崩誕】が生み出した結界の、ギリギリ外に逃れた()()は命からがら逃げ切れたことに安堵しつつ恐怖していた。


 ()()とは、元キマイラアグリゲートだった者のことだ。


 あの魔物はしぶとくもレマティアの魔法範囲外にのがれていたのだ。人知れず。




一体、どうやって?




《キマイラアグリゲートの正体》




 あのレマティアの【鑑定】ですら、読み切れなかった。この、キマイラアグリゲートの正体。

 元々の()()は、この森限定で数百年を周期に突然変異的に発生する……ステータス上、種属名すら与えられない不安定な生命体。種属というカテゴリからすら異端とされる種属であった。

 よってこの森に永く生きる上位捕食者達ですらもその存在を知る者は皆無。


 永い周期を経てやっと発生できたとしても、あまりにも脆弱なる上に、個体数は数十と極端に少なく、この生存という見地から見て劣悪過ぎる環境である場所では成体(?)となるまで生き残るということができなかったためだ。


 何度目かの周期にあたる52年前、ソレはいくつもの奇跡的な偶然に助けられ、授けられていた“なけなし”の中にあった一つである


『種属特性』


というものを、初めて、発揮することに成功した。その『種属特性』とは、



【融合する】というもの。




『種属特性』とは、スキルに分類されない能力のことを言う。

生物的に根源すぎる特性、というものであるらしい。


 例えば他の殆どの種属が持たない、人類特有の種属特性の一つには、【言葉を話す】もしくは【会話をする】というものがあると定義されている。

 その有用性は『意志の疎通』にとどまらす『文明の発明、発展、交流、折衷、継承……』と多岐に渡って活躍していて、引いては種の保存にまで大変な影響力を持つ能力であるのにかかわらず、当たり前過ぎてかどうか解らないが、ステータス上には反映されない。だか、重要な能力だ。

 それと同じように、『生きる上でスキル以上に有効な能力であるにもかかわらず、ステータスに反映されない』という能力が各種属にはあるとされる。

不死属の魔物が持つ【死ににくい】というのもそうだろう。

この世界の学者はそれを便宜上、『種属特性』と呼んでいる。

 確かにステータスにその生命体の概要全てを記載するとなると膨大過ぎる情報量となってしまう。これは当然の仕様(?)であるのかもしれない。


 この【融合する】という『種属特性』は、倒した相手と融合し、融合する度に


『レベルアップに関係なくステータスを高める』か、

『命をストックする』か、


そのどちらかを選ぶことが出来るというもの。この魔物の源型に種属名が付かないのも、融合して他者の命を取り込む度に種族名が変わってしまうためであったのかもしれない。

 ただ、融合して強くなるたびに『その強さを収める器として必要となる命の大きさ』も大きなものとなるため、その度に蓄えられていた数多の命は、その器形成の材料として消費されてしまう。そうなれば許容される死の回数も減ってしまうということになった。

 よって無限に命をストックするということは、『この森で生き残るための強さを得ること』との兼ね合いもあり、なかなか困難なことでもあった。

 それでも敵を倒す度に【融合する】を繰り返せば、

『通常のレベルアップ以上のステータス向上』か、

『破格の不死』のどちらかを手に入れることができるのだ。

 これ程の種属特性を持って生まれるのだからあまりの脆弱性ゆえに最初期の生存が困難であり、永い周期を経て発生しては絶滅を繰り返すという宿命を課せられていたのも、頷ける話。

 でなければ、この世界の生物は()()によって全て食い尽くさていたことだろう。

 キマイラアグリゲートの高い知力も、この、『強さと不死のバランスを調整する』という高度な頭脳作業を伴う困難過ぎるサバイバルを繰り返すことで身についていったものであった。キマイラの強者としての自負心の裏にはこのように、意外な下積み時代があったということだ。


 キマイラアグリゲートはそうやって52年という歳月をかけて力と命を蓄えてきたのだった。


 それを捨てた。断腸の思いであったことだろう。


 レマティアの魔法の業火に焼かれる寸前、その培ってきた力と命の殆どが詰まっていた肉体を切り捨てて分体を作り出し、極小まで存在を薄めたその分体に本体を切り替えることで、脱出したのだ。あの黒い結界から。


 いや、これは戻ったという方が正しい。元の姿に。


その姿とは、丸く小さな粘体。とある魔物に酷似した姿。


『黒い小さなスライム』と読んでほぼ差し支えない姿。


 無数の口や6本もある脚、頭頂の触手など、このキマイラアグリゲートを特徴付けていたものは沢山あった。だが、実際にその不死身の肉体の本体は何であったかと言うと『体表を覆うコールタール状』であったとは、流石のレマティアも読み切れるものではなかったのだ。 


 キマイラアグリゲートという魔物を辞め、今や種属名すら持たない元の脆弱に戻った()()は、まだ勝負を諦めていなかった。いや、諦めるという選択肢はもう許されていなかった。


 本当は『もうこのような化け物達には関わりたくない』というのが本音であったが、この場を逃げきったとしてもきっと別の場所で瞬く間に呑み込まれてしまう。この森の暴力に。

52年間生きてきた経験則がそれを厭でも教えてくれた。


 恐ろしい。嫌で厭でしょうがないが、チャンスは今しかない。あの二足歩行達が自分が消滅したものと勘違いして油断している、今しか──。


 そうして【融合する】相手をどの個体にするか迷っている最中に、あの二足歩行達三体のうちの一体が近寄ってきた。今や小さくなり過ぎて移動速度に難があったので、()()は有り難くも近寄ってきてくれたその個体を【融合する】相手に決める。

 【融合する】にはまずは相手を倒さねばならない。三体のうち一番小さな個体が相手であるとはいえ、今の()()は掌サイズ。普通に挑んで勝てるわけがない。

 だが方法がないわけではなかった。キマイラアグリゲートであった時に()()()見て知っていたのだ。あの平べったくも硬い鋼の塊を振り回していた個体が空中で、喘ぐようにして大きく呼吸をしたのを。

 きっとこの種属は生きるためには呼吸を必要とする種であるのだろう。そう理解していた。であれば、殺すのは簡単だ。口から侵入し、体内へと続く大気の通り道を完全に塞いでしまえばいい。


───おお。


口元に近付いてみれば……感じるぞ。漂うこれは……。


ナン………、なのだ……。


この恐ろしいほどに巨大な


 魔力……?こんな魔力が、あるのか…


用心しつつも『相手は一番小さな個体』と思い侮っていたのだが………

………これは思わぬヒロイモノというやつであったかも知れな───────

















   ぷっ……





   




   ちゅん!















「うええ。なんだコレキタネーな……母さんこの黒いのなんだか分かる?」


頬と掌にべっとりと潰れてコビリついた()()の死骸をシンはレマティアに見せた。


「うーん。生き……物?……みたいね。でも、死んじゃってる?のかしら?【鑑定】でもステータスがうまく読みとれないわ………というか、種属名すら記載されてないってどういうことなのかしら?……珍しいわ……コレって新種かしら?」


「新種??ヤバイんじゃないのソレ??」


前世見た映画などで得た知識がそうさせるのか『新種』と聞いてなんだか不穏を感じてしまうシン。


「いやもしコレが魔物なら新種なんてそう珍しいことじゃないから安心し………いえ……ちょっと待ってシン。自分のステータス、今見れる?状態欄のトコとか何か変わった所は……ない?」


 何故だが【鑑定】持ちであるはずのレマティアですらシンのステータスは読みとれない。であるが、自分で見る分には問題無いはずだと当たりをつけレマティアはシンに聞いてみる。


「ちょっと待って……いや……相変わらずだね。別に変わったとこはないけど……。」


 レマティア、一応の安堵。


『この不吉な色……それにここは最悪の迷宮……この黒い何かが、生後まだ間もない我が子の健康に害を及ぼさないとは、限らない。もしやなんらかの害があるというなら、状態異常が表記されるはず。』


……と思い聞いてみたのだが。

状態欄に何も記載されていないというなら、まあ、おそらくは大丈夫なのであろう。


 だがシンが言ったのは『相変わらず』


……である。


つまりシンの状態は相変わらずの『混乱』状態であった。

つまり『混乱』状態をもはやデフォルトとして認めてしまっているシンなのである。哀れである。


「種属すら解らないのは……もしかして生き物ですらないパターン……?」



害がないことは解った。だが結局の所この、『黒い何か』が何であるのかは解らない。


「……でも、どうやら素材表記もされないみたいだし……てことは素材にもなれない物質?……こんな鑑定結果初めて……ホント何なのかしら?」


(気味悪いわ……)シンの不安がレマティアにも伝染しそうになったが


「……でも……そうね……多分、だけど……自然発生したばかりの……スライム……みたいなもの?の……赤ちゃん?……てとこじゃ、ないかしらね?」



 ………レマティアは適当なことを言った。



キマイラアグリゲートがどうなったのかあまりにも気になっていたからだ。もしキマイラが死んだなら自分のレベルは相当数上がっているはずであるのに、しかしその兆しもない。


 一方のシンはレマティアから聞き慣れたあのモンスターの名を聞いて、感慨深く掌を見ていた。


「…おお……。コレが、スライム………。」


 RPGではプレイヤーが最初に倒すモンスターとして定番であるスライム………何というか、感慨深いものがあった。

 と同時に、確かにレベルやステータスなど、ゲームと共通する部分が多くあるこの世界に転生した……とはいえ、だ。まさかそんな定番の設定までも無意識に踏襲してしまった運命の数奇さに呆れたというのも、シンにはあった。


 ……のだが。


「……ってうわ臭え!すんげぇ臭えしコビリついてとれねえ!母さん助けてこれ取ってお願いスゲー臭えの俺死んじゃう!」


そんな諸々はすぐ吹き飛んだ。それほどに臭い。


「あらあ…シン。もうお父さんのガサツ口調伝染(うつ)ったの?………ホント手に負えないわねあのガサツ菌……。」


 いつの間にかなんとなく使っていた異世界言語。その口調はシンが前世進太郎であったころ使っていた日本語、その口調というか、ニュアンスに、やはりなんとなくで波長を合わせ使っていたものであるのだが……。



  言うに事欠いて


  


  “菌”ときた。

  なんだかもう、酷い言われような父なのである。



雄字に対する『あんなに頑張ったのにね』的不遇は今も継続して発動されているようだった。





………雄字。





…………可哀想。





──かくして、ともかく、まあ、なんだ。


流石は、うん。シンくん、主人公………と、言ったところ。


…………『ってイヤイヤイヤそれはどうだろう!?』って?


……うーん確かになんだか釈然としない……いや。


ともかく……と、も、か、く!


あれ程に苦戦した強敵、キマイラアグリゲートは滅んだ。




その死因は、




(哀れにも)




『シンの平手打ちによる圧死』




なのであった。




………………………………







………雄字。






…………可哀想。






『あんなに頑張ったのにね(笑)』

ヒーローという存在に課せられたこの『種属特性(笑)』。




……名を冠するならば【不遇である】?

いやこの場合は、【不憫である】?だろうか。




………中々に、強烈なものであるのかもしれない。




次回!


第一部第一章最終話!


『最強バ家族の今後』!


次回もオモシロカッコいいぜ!


この煽り知ってる人何人いるのか……私のバカッ



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