私の理想
「さあ、行きましょう。」
春になり、私はコルゲン王子を連れて冒険者ギルドに行った。私は髪を染めて、周りに与える印象を変えて、普通の冒険者を装った。そうでもしないと、彼に被害が及ぶかもしれない。
「クソババア。」
ここ最近、王子は魔物料理を食べさせていたのでますます凛々しくなったが、口が悪くなった。
ぶち殺すぞ。てめえ
「やっぱ姉御は美人っすね!」
まあ、大目に見てやる。私は優しいからな。これくらいで怒ったりはしないのだ。
今日から、コルゲンは一流冒険者の私の下で任務をコンプリートしてもらう。A級まで育ったら卒業だ。それまでは私が鍛えてあげなくてはならない。
「それで、今日はAランクの依頼を受注するわよ。」
こいつには早く独立してもらう。最初は素敵な王子だと思ったが、性格が屑だ。私は付き合うならもっと性格が良い人を選びたい。面食いであることは認めるが、今のこいつはうざい。
「それで、俺が最強になるための依頼なのか?」
「てめえが最強になれるわけがないだろ?それは私だよ。」
こいつがなるのは100年早い。まあ、ガキの戯れ言は放っておこう。
「なあ、いくつかあるけど、どの依頼にする?」
ドラゴン討伐はこいつには無理だ。すると、どの依頼がベストだろうか?
「この依頼にしようかしら。」
「よさげだな。」
選んだのはワイバーンの討伐依頼だ。ワイバーンは畑に出没し、食べ物を食い荒らし、家畜をさらう害獣だ。だが、空を飛べるので殺すのは難しい。
「あなたは私が依頼を受ける間に収穫の手伝いをしなさい。」
「は?」
「私の仕事ぶりを見て、参考にしてね。」
理想では5年ほどかけて王子の力を高める予定だ。だから、まだ戦わせない。
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文句を垂れる王子と最近は執事から戦士にジョブチェンジした王子の部下を連れて、農場に行った。
ヘルシーな食生活で王子をシェイプアップして、冒険者に仕上げる。そしたら、お別れにするのだ。
「ワイバーンがいるぞ。」
ちょうど、ワイバーンが農場にやって来ていた。
私は剣を抜き、ワイバーンにむけて投げつけて、殺害した。
「ギャオオオオオ。」
トカゲが断末摩の悲鳴を上げた。そして、動かなくなった。
「ま、私はワイバーンを持ち帰るから、あなたは収穫を手伝いなさい。」
「ちょい、待て。」
一足先に私は帰ることにした。
その日の夕方、くたくたになった王子と従者が帰ってきた。しっかりと今日も運動させられたので、よかった。




