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元王子の活躍

「シャバの空気は上手いぜ。」


 学園にいる間は毒を盛られ、悪口を言われ、噂ではレイプ魔の豚屑だと言われていたらしい。ひどいな。基本スペックは弟が勝るが、実は顔面偏差値に大きな差はない。


「アルシュタット王国に来てみたけど、すごいことになってるな。」


 郊外の町の冒険者ギルドで情報を集めに行ったが、鮮血の虐殺騎士がタイガー盗賊団を壊滅させたらしい。単独で皆殺しにするとは、さすがである。


 俺は仮にもアリアの婚約者だ。週末に彼女をストーキングしたこともあって、彼女に冒険者の顔があることを知っている。


「でも、あいつは弟と結婚しなかったんだな。」


 美男美女で見た目も釣り合うし、いい縁談だと思ったけどな。俺のことがまだ好きとかいう理由からなのか?


「照れるね。」


 世間では俺は死んだことになっている。本当に死んだのは俺の身代わりのハンゾウである。あいつは俺に化けるために隠密の癖にむちゃくちゃデブになった。あいつの人生は報われないとつくづく思う。バカだと思う。俺は悲しいという感情が欠落しているので、なにも感じない。だから、あいつの死を悼むものは皆無である。


「おバカさんは忘れて、アリアを追いかけますか。」


 あいつが通る道は鮮血によって彩られる。だから、追いかけるのも難しくないと思う。


「まあ、それよりも王族の残党を保護するのが先かな。」


 俺がこの国に来たのは俺の親戚の王族を無事に保護するためでもある。全員が処刑されたわけではなく、何人かは国内に潜んでいるはずだ。そいつらを探し、保護する簡単な仕事だ。俺には捜索するあてがある。


 俺は金ぴかのリングを指に装着し、魔力で道を照らし出す。


 母が遺産として残してくれたリングは王族が身に付けると光輝き、対となるリングの方角を示す。このリングは親しい者との間で譲渡される。母には仲の良かった同腹の弟がおり、その子供が3人いたはずだ。俺の叔父は愛妻家だったので一夫一妻だったので、子供の数が王族の割には少ない。


 その俺の叔父は次期国王の有力候補であったが、先の戦で死んだことが判明している。そして、子供たちが懸賞金をかけられて、国の中で追いかけ回されているという。


 俺が彼らの助けになるか分からないが、頑張りたいと思う。


「指輪よ、我の兄弟のところに導きたまえ。」


 光が放たれ、方角を示す。南か。反応も微弱だ。結構、遠い。


 やっぱ、面倒だな。来るなら、向こうから来い。俺は行かんぞ。


 俺は効率良く行動したい。寄り道しながら、指輪の所有者に会いに行くわ。いままで会ったこともないし、俺自身はあまり興味がない。ただ、母が死ぬ前に親戚同士で助け合うように言ったので、仕方がないが協力してやろうと思う。


「悠々自適な旅にするかな。」


 焦っても意味はない。俺はあくびをしながら、プラプラと旅をしよう。外で一人で旅をするのは久しぶりだ。俺はインドアだったから、町を散策することもいままでなかった。


「まあ、ボッチだけどな。」


 悠々自適の一人旅だが、当然食い扶持は自分で金を稼ぐ。冒険者登録を情報を集めるついでにしたので、Cランクからスタートだ。本気を出せば、Aランクからのスタートだが、目立つのは性に合わないから地道に行くつもりだ。


「今日の依頼はまずは薬草の採取だな。それと、畑の収穫の手伝いをして、収納魔法で農産物を持ち運んで問屋に卸すと。」


 魔法が使えるので、俺はどこに行っても引っ張り凧だ。並みの貴族以上に魔法は使えるし、幻惑魔法がなくとも俺は十分に役立つ。比較対象がおかしいのであって、俺もそれなりに優秀なのだ。


 収納魔法のおかげで物品を安全に運び出すことができるし、給料は安定する。今は金を貯める時期である。そして、これらの資金を元手に薬屋を俺は開設する。薬草は薬を作るために集めている。


 ハンゾウのおかげで俺は毒や薬について詳しい。自分でもかなり勉強した。逆に学校の授業はおろそかにしてしまったが、正しかったと言える。薬について詳しかったので、女中に殺されることもなく、解毒剤も服用して、俺は学生時代に死を回避した。


「冒険者は気楽だな。」


 仕事はこれといって定まっておらず、年中無休で稼働している。働くのも休むのも自分次第。大抵は給料が不安であることから離職率は高いが、俺は魔法が使えるので大丈夫だろう。俺は5年くらいは冒険者の仕事で稼いで、その後に店を作って嫁を貰い、子沢山のパパになる予定だ。相手はアリアが良いがダメならその時はその時だ。


「彼女にまた会って謝罪したいが、会えないのならどうしようもないな。」


 いつか会えるだろう。その時に君に恋人がいなかったら俺は再度プロポーズする。俺は自分から会いに行けないヘタレであるが、許してほしい。好きだけど、何度も諦めようとしたんだ。俺は君に嫌われることを恐れている。


「よーし、それじゃあ親戚を探しつつ、金を稼ぎますか。」


 今は旅を楽しもう。もはや俺は王子ではない。俺はただのスレインだ。










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