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茶師のポーション~探求編~  作者: 神無 乃愛
富士樹海迷宮編
5/25

弟子の大好きな茶はトルコチャイ


 迷宮あるところに、ギルド支部あり。それはどこの国でも同じ事。


 マスターは嬉々としてギルドカウンターにいた。

「ただいま、受付を中止しておりまして」

「中止? 出来るわけがないでしょう。何せ、ポーションの材料採取ですよ?」

「し……しかし……」

「それにですね、私は大暴走前から依頼していたものもあるのですよ」

「そ……そちらもキャンセル扱いに……」

 マニュアル通りに言うものではない。それに、マニュアルに沿うなら、ポーションの材料採取は何があっても(、、、、、、)キャンセル扱いにならない。それを知っているマスターが、わざと苦情を申し立てているだけのことだ。

「分かりました。では、薬草なしのため私もポーションを売る薬局へ同じことを伝えます。よろしいですね?」

「え?」

「当り前でしょう。材料がなくて、どのようにして作るというのですか。無知も大概になさい」

「で、でもあなたは、マジッ……」

「今の職員はマナーもなっていないようですね。職員しか(、、)見れない情報を、こんな公衆面前で言うとは」

「しかしっ、あなたなら!!」

 マスターが対応していた職員の失言を取り上げた直後、別の職員に切り替わった。

「事実ですよ。それに、ものには限度というものがあるのですよ」

「え?」

「無い袖は振れない、そういうことです」

 まったく、ギルド職員の質も落ちたものですね、そう言うなり、マスターはカウンターから離れた。


 ほっとしたのは、カウンター業務の職員だけではない。マスターの薬師としての実力は古株ほど知っている。それに、薬師として、探求者としてのネットワークも。

 つまり、マスターに見放され、ポーションの納品拒否を他の薬師たちにもされると痛いのは、ギルド側なのだ。

「あ、今の会話は、知り合いの薬師にも伝えておきますので」

 がったん! 古株が慌てて立ち上がった。

「……そうなる前にやっておくべきでしょうねぇ」

 そう呟くマスターには、別件で文句をつけている弟子の姿が映った。


 そんな弟子を慰めるべく、吽形に頼んで茶葉を出してもらう。

 こってりと砂糖を入れて飲む、トルコのチャイ用茶葉だ。


 トルコの紅茶、リゼ・ティーことトルコチャイは淹れ方が独特だ。

 だが、三十分以上蒸らしても渋みが出ないのが特徴であり、濃くいれることが多いため、砂糖が必要となる。

 弟子が好むため、チャイダンルックを購入したのは懐かしい思い出だ。


 ギルド奥にある、探求者用簡易キッチンを借りて、茶の用意をする。


「甘い茶が飲める」と分かれば、弟子は間違いなくこちらに来るはずだ。



 そして、予想よりも早く、弟子がパーティメンバーを連れて簡易キッチンへやって来た。


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