告げられた日
暑い。
暑い。暑い。
7月上旬に差し掛かったこの日。仙台市幸楽街は初夏の炎天下にさらされていた。
「あっつ~。孝介、飲みもんある?」
額に浮かぶ汗を拭いながら、木々の並んだ通学路を2列に進む。
「無いよ。もちろん買う金も無いよ…」
左隣に並んであるく小太りの友達。島孝介は、身体中汗でびしょびしょで今にも倒れそうになりながら歩いている。
俺より数倍近い汗かいてるな、大丈夫だろうか。
上下指定の制服だが夏ということもあり、ズボンの生地は薄め、上は白のワイシャツだ。
これ以上涼しい格好はないのだけれど、それでもかなり暑い。
「…バス停着けばこっちのもんだろ。乗り遅れるのだけは勘弁ね?」
暑さにやられて歩調が徐々に遅くなってるので、最悪のパターンを想像する。
「そんときゃ…学校サボって家でクーラーガンガンに…」
「馬鹿か。単位。」
これ以上休むと単位落とすぞと警告しておく。
「あぁ…クソったれ数学。」
自業自得だ。と。口には出さずに思っておくことにする。
暑さにやられ、しばしの沈黙のあと。孝介がけだるげそうに口を開く。
「そういやよ。こないだお前の叔母さんに会ったぜ。」
僕は渋い顔をして反応してみせる。
「…それで?」
声色を変えてみせる。
「あぁいや…今度恵太会ったらよろしくって。そんだけ」