王都での茶会話
王女の部屋の前で衛兵が1人警備をしていた。そこに廊下から台車を引きずる音が聞こえる。
ゴロゴロと音がする台車の上に食事が置かれ男性2人が笑顔で王女の部屋の前に近づいてくる。
「止まれ、何用だ?」
衛兵はそう質問する。
「はい、王妃様から食事を運ぶように仰せつかりました」
「早く届けて、すぐに戻らないといけないんです」
2人組はそう言って質問に返事をした。
「そうか、食事ならソコに置いておけ。後はやろう」
衛兵はそう言って、持っている槍で廊下の端の置いておけと指示を出した。
「いえ、それも困るんです。王女様の御部屋はそちらですよね?」
「料理には最後の仕上げもありますから、いま直ぐお召し上がってもらわないと……」
身振り手振りで2人組は焦った行動をとっていた。
「毒見役がいない、呼ぶまで待て」
衛兵はそう言う。
「……そうですか、わかりました。しかし料理の説明だけさせてもらいます」
男性の1人がそういって台車を操作して衛兵の前に止まった。
「おい、そこに置いておけと……」――兵士はやな顔をする。
「直ぐに済まします。後で料理を出す時にお願いします」
そういって男性の1人がスープの入っている食器を開けた。
中からいい匂いが醸し出される。
「おぉ、いい匂いだ」
衛兵は思わずそう言ってしまった。
「そうでしょ? どうです中をご確認になって下さい。不審物があるといけませんから」
「せっかくでしたら毒見でもどうです? 長い事警備でお疲れでしょ?」
そういって笑顔で男性2人は促した。
衛兵も思わず気の緩みをつかれてしまう。彼らが言う通り今日は朝から殆ど何も食べていない、それほど城内が忙しく、王女の警護も通常なら2人組みなのだが宴の警護で城内にいる兵士も殆どが王様と貴族の貴賓館の警護に回されているので元々少ない兵士の数がさらに削られている。
衛兵は少しだけなら――という思いと、警護の為にという事で食事に気を取られてその隙に―――[ドシュッ]と小さい音がした。
「ウンン……………」
声を上げる間も無く口を抑えられ。もう1人の男性が死角から喉元に剣を突き立てる。
それも大きい布をあてられながら、返り血すらつかない早技で衛兵はガクガクと身を震わせるとそのまま動かなくなった。
「いいな、……まわりに誰かいるか?」
「大丈夫、だれもいない」
男性2人組は笑みを止め静かに行動を開始する。
そうして台車の下に手早く兵士を入れると――男性2人は王女の部屋の扉をノックした。
※※※
サイリアはジョーと離れマリーの仕事場を訪問していた。本当はオジュール達と共に表彰式に出る予定だったが、ジョーが体よく断った為(ギグメディスの件)に仕方なしにという感じでサイリアも断った。1度行けばいいや――と、サイリアも思いもあったから。
その為に自由な時間が出来たので約束した通りにマリーに会いに来たのだ。
マリーとサイリアが2人でお茶を飲みながら昔話を楽しんでいた。
「ヤダもう……マリー姉ったら」
「ウフフフッ、いいでしょ♪」
「でも、昔の事を言わないでよ」
「あらあら、いいじゃない。サイリアも可愛かったもの……」
「でも~昔の事だし……」
「そうね……懐かしいわね。魔女の森での出来事が……」
マリーは懐かしそうに天井を見上げた。
「あのね……魔女の森は……もう……」
サイリアが言いづらそうに下を向いて小さい声で恐る恐る発言する。
「知ってるわ、4年前に無くなったんでしょ」
マリーは頬笑みながらサイリアの顔を見た。
「うん、そうなの……」
「私も同業者に聞いたけど、帝国の侵攻で無くなったって……でも、みんな『魔女の谷』に逃げて無事だったんでしょ?」
「私も森を出て直ぐの事だったから詳しくは知らないけど……そうみたい。マリー姉も知ってたんだね?」
「当然よ、故郷の事だもん。それに無事ならいいのよ。谷に行けば昔馴染みに会えるもの……」
「そっか、そうよね」
「そうよ、“運よく”逃げられたなら良かったのよ。それよりも、いまの話しを聞いて気になったんでけどサイリア、あなたはどうして冒険者をやってるの?」
「そ、それはね、成りゆきかな……」
サイリアは言いづらそうに答えた。
「サイリア、もしかして4年前って事は……。『ミリアさん』の事が関係しているの?」
マリーは心配そうにサイリアを見つめる。
サイリアは下を向いて黙ってしまった。
「ちょっとおかしいと思ったけど……。サイリア、私も聞いたの……あなたのお母様の事は残念だったわ。でもサイリアは冒険者なんでする子じゃ無かったはずよね。何か“変”な事を考えていたら止めなさい。帝国に復讐とかはいけない事よ、命がいくらあっても足りないわ……」
マリーはさらに心配そうに見つめる。
「……違うの。そうじゃない、そんな気持ちで冒険者をやってるんじゃないの。違うわ!」
すこし感情的になりながらサイリアは否定する。
「じゃあ、なんで冒険者をやっているの?」
「それは……母さんを“殺したヤツ”に会いたいからよ」
サイリアは苦々しい顔をしてそうマリーに告白した。
「サイリア……それも復讐でしょ。復讐だけは駄目よ。ロクな結果にならないもの」
「でも! 復讐じゃないわ! 訊いてみたの、なんで殺したのかって」
サイリアはその瞳の奥に憤怒の炎が灯っている目線をマリーにぶつけた。
その眼を見たマリーは立ち上がり、サイリアの元にいって――抱きしめた。
「ちょッッ、マリーねえ」
突然のマリーの行動に不意をつかれサイリアは動揺する。
「わかった。復讐なんて止めなさいって言ってもしょうがないもんね。都合のいい言葉だわ、サイリアの苦しみなんて私はわからないもの……ごめんなさい。何も知りもしないで善い人ぶった事をいって」
「マリーねぇ~~やめてよ」――サイリアは泣きそうになりながら、そう言った。
「でもね、あまり思いつめちゃダメだからね。それに……あなたの事を考えて言うけど怒りにまかせて周りが見えなくなっちゃ駄目よ。思いつめて行動する癖が昔あったから。それとその人を見つけてその後どうするのか考えなさい。それだけが目的の人生なんて辛いから……。わかった」
「…………うん」
力無くサイリア返事をした。
「そして、出来るなら変な事はしないって事を願うのは私の本当の気持ちよ」
「……わかっている。ありがとう」
そうして――マリーはサイリアから離れる。
そして――暫く話をして――サイリアは落ち着いた
――閑話休題。
「それならいいの。じゃあ、話題を変えましょ。あのジョーさんとはどう知り合ったの?いつから付き合ってるのかしら?」
マリーは笑顔で話題を変える為にサイリア尋ねた。
無理やり話題を変えようとしている事はサイリアにも分かっていたが、それ以上に質問の内容が突飛で恥ずかしい内容なのでサイリアは耳を赤くして反論しようと動いた。――
「ちがぁ~~~~う!! そんな関係じゃないから。付きあっても無いから!!」
「あらあら、必死ね。 別に“お付き合い”の話しなんてして無いわ、出会いの話しを聞きたいのよ。なんでジョーさんと出会ったのか――とかね?」
マリーはからかうような笑顔のまま席に戻った。
「もう、マリー姉に遊ばれている気がする。……でも大した話しじゃないから」
サイリアは1つ溜息を吐いて話し出す。ジョーとの出会う昔話を――。
いまさらですけど……3話くらいに【ギルドマスター】の話があったかと思います。
その時に最後に出てきた『約束』の内容です。
と、いうか……100話近くも前の事を引っ張り出して……って思う方もいらっしゃると思いますが。
むしろ前から決めていた内容です。
しかし、ここまでたどり着くのに相当時間がかかっています。
下地作って何かしてたらこんなに間が開きました。
作者の展開下手の結果です。




