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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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表彰式

 ドレイク討伐武練会は終わりを迎える。

 30日間にも及ぶ長い戦いを終えた貴族達は、最後に貴賓館に集まり前夜祭と同じ様に宴を(もよお)していた。

 

 小雨が降り天気も悪いが貴賓館で開催されている宴は、華やかで美しい楽器の音色に溢れ外界と隔絶した場所であった。中は前夜祭と同じく豪華な食事が取りそろえられ、場内で(せわ)しなくお喋りが繰り返されている。


 オジュール達はソコにいた。双璧(グレートウォール)は全員が参加していたが、ジョーとサイリアは不参加であり、三槍将(トライデント)はミックの判断で全員が辞退していた。(ラリーが問題を起こすという事で)


 宴の目的は表彰式も含まれる。なので――オジュールは嫌々ながら参加していた。

 あくまでも、国王から授けられる賞金目当てだ。


 しかしながら――オジュールはそれ以上に早く終われと思っている。なぜかと言うと 先ほどから異様に話しかけてくる貴族連中の相手をしているからだ。


 それは、ドレイク討伐武練会においてオジュール達は3位という順位であった事も関係しているのだが、それ以上にある時期、『優勝も狙えた』のではないか――という期待で貴族達から名を売った結果だ。


 先ほどから――。

「オジュール殿、実に見事でした」

「初参加でこれほどの成績は見事という他ありません」

「惜しかったですな、終盤に順位を落としてしまって。ですが良い所でしたよ」

「冒険者の集団で見事。いや、オジュール殿の指揮があってこそですな。今度ゆっくりとお話を……」


 ……等――の、おべっかと顔つなぎ、そして好奇心から人が集まっていた。


 それについてヒュールの対策の元、ソツなく応答していくオジュール。


 そして――遠くで睨み、下手な事を言わない様に祈るヒュールの姿があった。


「ハハハハッ、偶然ですよ。たまたまです」

(やっべー、顔の筋肉つりそう、ていうか、なんでそんなに話しかける話題なんてあるんだよ。帰って、寝て、飲み屋でねーちゃんと朝まで飲みてぇ~)

 葡萄酒を片手にオジュールは賑やかな席で上辺だけの笑顔を浮かべ、無難に話しをする。

 前日――というか、この数日間。相棒のヒュールと一緒に暇な時間で受け答えの特訓をしていたのだ。


 笑顔を絶やさず、優雅に貴族達とお喋りをするオジュール。髪の色や少し粗野な冒険者ということだったが対応も丁寧で温和な気配を振りまいていた。

 周囲にいる貴族の淑女達が扇で顔を隠しながらチラチラとオジュールを流し目で見ていた。背が高く、筋肉質でミステリアスなオジュールを見て何やら言い合う声がする、さらにその周囲では若い男性貴族が(うらや)ましさと嫉妬混じる顔で見ている。


 そうして憎愛入り混じりながら――豪華な宴は続いていった。


***――閑話休題。


 壇上にブリューシュ王国の王様が挨拶を終え立っていた。

 周囲にいる貴族達のボルテージも最高潮に達している。

 王様の後ろには王妃と王子それとお付きの者達が控えていた。


「さぁ、それではドレイク討伐武練会の表彰式を行います」

 身なりを整えたキチンとした男性の司会者がマイクと手に司会を進行していく。――

「例年稀に見るほどの接戦ではございましたが。これより第5位より武練会の入賞者を発表させてもらいます。第5位 ディック=ファウルズ卿、討伐数12頭。例年として比べてみてもかなり良い数字です」

 司会の紹介と共に壇上に登場した、濃い茶髭を生やした紳士の男性が姿を現す。

 すると会場から盛大な拍手が送られた。

 そのまま、ひと言ふた言話しをして王様から水晶で出来たトロフィーと賞金――金貨50枚が送られた。


「続きまして。大変珍しい事ではございますが。3位が2名いらっしゃいます。ラバロ=オランド卿と冒険者の隊を率いたオジュール=カッパーノさんです。討伐数はともに14頭。前回の2位と同数です」

 司会が紹介して2名が登場する。

 

 先頭は貴族という事でラバロが前だった。その後ろにオジュールがいる。

 ラバロは壮年の貴族でそれなりにカッコイイ、そして渋みがあり長年貴族をやっている品というモノがあった。


 オジュールは笑顔で壇上にあがり片手を上げて拍手に応えている。

 激しい拍手喝采が2名を包み会場のいたる所に響いていた。


 それもそのはず、注目の入賞者、オジュールが出てきたからだ。


「特に注目したいのはオジュールさんです。冒険者ということですが、過去に参加された冒険者の組としては20年ぶりの入賞です。さらに初参加での快挙! 冒険者としてのランクもAランク、翼陽の団の団長として高い技能者でもあります」

 司会者は熱のこもった実況を続けていく。


 拍手のあれあられの中で王様と対面するオジュール。


「見事でしたよ、ラバロ卿。前回もいい成績でしたね」

 王様は優しい声でそういいながらトロフィーを渡していく。


「ハッハァ~……」

 (うやうや)しく頭を下げるラバロ。そうしてトロフィーを受け取ると声援と拍手に応える。


 ――今度はオジュールの番だ。


「オジュール殿、途中までの接戦見事でした。武練会を大いに盛り上げてくれましたね。さらに初参加での快挙という事ですが。見事という他ありません」

 そういって、お付きの人がトロフィーを置いてある台車から王様に渡す。


「ありがとうございます。武練会が盛り上がってくれたら結構な事です。しかし私は手伝ってくれた仲間に感謝します」

 オジュールは返事をかえしそのまま頭を下げトロフィーを受け取った。

 礼儀正しい態度のまま、オジュールは振り向いて拍手に応える。

 そして2人に賞金――金貨100枚が送られた。


 ―― 閑話休題。


 その後も紹介は続き、ウゴールが15頭で2位。ギグメディスが17頭で1位という結果が発表され、優勝はギグメディスという事になる。これで6回連続の優勝となったギグメディスにこの日一番の盛大な拍手が送られる。


「見事6回目の優勝を飾りました。ギグメディス=カストレア卿です。今回の武練会でも最後の最後まで舞台を盛り上げてくれました。では皆さま、最後に激しく競い合い我々を興奮させてくれた入賞者の皆さまにもう一度拍手をお願いします」

 司会者はそう言って表彰式のしめを行い。後は食事会と晩餐会に移り、舞踏会などの貴族らしい催しモノに移っていく。


 そして、その前に表彰式の最後と言うべき催しに移行する、最後に入賞者への撮影と情報誌の記者達の質問攻めが始まろうとしていた。





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