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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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休憩と準備

 王都に戻ったジョー達はすぐに宿をとり休みに入っていた。

 まる1日がかりで王都に戻り2日休み、また1日がかりでドレイクを討伐した野営に戻っていく。

 大体のドレイク討伐隊も時期は違うが補給と怪我人療養の為に戻ってくるのだった。


「はぁ~疲れた」

 サイリアがギルド直営の宿屋のベッドにゴロンと寝転がる。靴と杖を端においてそのまま転がった。

 

「おい、だらしないぞ。寝る前に荷物の片付けを手伝ってくれ」

 ジョーはそう催促する。


「……そうだ、先に湯屋に行こう」

 サイリアは寝転がりながらそう言った。


「まったく、後でもいいけどよ……」

 ジョーはそのままに皮鞄を棚に置き、背負った蛇腹刀(スネーク)をベッドの近くの台に立て掛け、そのままベッドの脇に腰を降ろした。


「ジョ~~、疲れたぁ~~」

 だらしなく、サイリアがベッドに寝転がった体勢で話しかける。間延びした声で身体を伸ばしコリをほぐそうと努めていた。


「はいはい、ああ……そうだね」

 ジョーは手甲から装備を外しながらうわの空で回答していく。


「ねぇ~、現在(いま)、何位なの?」

 サイリアは顔を向け、質問をする。

 彼女が言っている順位とはドレイク討伐の武練会の順位の事だ。毎日朝早く討伐した組の速報が中継地点と王都に報告され張りだされている。

 代表者の名前と討伐数が張り出される、今回は90組だが全ての順位がわかり、最上位は栄光と名誉が最下位は不名誉な称号がついてまわる事になる。


「あぁ、翼陽の団は現時点で48位だな」

「それって良いの、悪いの?」

「わからん、上位は5頭ほど仕留めていたな……その後は結構ダンゴだよ」

「ふ~ん、そうなの?」

「あぁ、2頭討伐なんて13組位いたからな。0もあったけど……まだまだ序盤だしそんなもんじゃないのか?」

「ふ~ん、ほかの人は?」


 ジョーは手甲と皮手袋の片方を外し台の上に置いた。


「ガルン達はジュローの治療と武具の直しで王都にいる知り合いの鍛冶屋を訪ねるそうだ。オジュール達は買い出しだな、それに休憩。ミック達も武器屋を見て回るそうだ。ドレイク討伐用の武器や防具が出ているからな……」


「私達はどうするの?」


「さあな、メシでも食べに行くか? 各自、自由行動だそうだから……」


「行こう♪ その前に湯屋によって身体を綺麗にしてからだが……いいよね♪」

 サイリアは飛び上がりながらベッドの上に身体を起こした。

 声がうわずって嬉しそうにしている。


「いいけど、無駄食いは避けろよ」

「………」――無言のまま自分のお腹を見るサイリア。


 ジョーはそう宣言して、両手の手甲を外し、皮手袋の外し台の上に置いた。

 

【お前達、忘れてないか? カティアにお土産を買う事を】

 ジョー達の会話の途中でスネークはそう忠告する。


「そうだったな……」

 ジョーはその言葉で思い出す。


「じゃあ、それをふまえて外に食べに行きましょうよ」

「わかったよ、でも夜前までだぞ、“ちょっと色々打合せ”があるから」

「はいはい、では、ちょっと湯屋に行ってきます」

 サイリアはベッドから立ち上がり靴を履いて支度を整える。

 鞄と取り出し、湯浴み道具を探していく。


「ジョーも行けば、混浴じゃないけど……」


「おい、俺はノゾキ犯のような事はしないの。混浴で嬉しがる子供でもないんだよ」


「そうよね……でっ、1つしたいんだけど。夜の打合せって何やるの?」


 サイリアは唐突にジョーに質問をする。ドレイク討伐の打合せは終えているので“打合せ”などは無いはずとサイリアは思っていた。


 ジョーは無言で遠くの景色を見ている。


【サイリア、男というかオスはな、溜まったモノを出さないと死んでしまう生き物なんだ】

 スネークは一番近い答えをいった。


「エッ、なによ、それ、どう言う事?」

 サイリアは準備を終え、振り返った。


「おい、スネーク、余計な事を言うんじゃねぇ!!」

 ジョーはそう言って怒鳴るようにスネークを持ち上げ、布団に丸めてしまった。


【そういうな、仕方が無いもんだ。ケケケケッ】

 意地悪そうにスネークは笑う。


「ジョー、何を……」

 サイリアは察してしまった。ジョーが行く夜の打合せ場所を――。男としていた仕方ない事でもある。

「最低!! 不潔!!」

 そう言ってサイリアは顔をみるみる赤くして部屋を飛び出していった。


「ぁちゃぁ………」

 ジョーはその場で頭を抱える。


 ジョーが行こうとしていた場所は『娼婦館』である。

 流石に激しい戦闘が続くと肉体が活性化して欲望も活性化する。命がけで戦うとどうしても溜まっていく事になるのだ。


 王都ではこの時期の売上として一番の商売は食料品、鍛冶屋、薬品と通常の5倍以上も売り上げが伸びる、そして秘密裏に娼婦館も通常の10倍も売り上げを伸ばし、“私娼”も町に繰り出すのだった。

 まさに《ドレイク特需》と言うべき状況が生まれるのだった。


***


 ジョーとサイリアは昼過ぎ近く、王都へ繰り出そうと部屋を出た。

 宿屋の廊下を歩いていると食堂から声が聞こえる。

 中を覗いているとオジュール達が宴会をして大げさに酒を飲んでいる。


「ジョー、オジュール達も昼食かしら……?」

 サイリアは少しジョーと距離を置いて尋ねた。

「……いや、あれは(たか)られてんだ。見てみろ、オジュールが涙を流して酒を飲んでいるだろ? ノゾキの代償ってヤツだ」


 ジョーとサイリアの目線の先にオジュールが木の食器を持ち、涙を浮かべ食事を取っている。周囲にはエフレスカを始め、女性陣達が囲い、テーブルの上に皿がこんもりと置かれていた。

 

「ふ~ん、なるほど……私も参加出来るかもね」

「やめとけ……近寄っちゃ悪いし、これ以上集(たか)るなよ。いくぞ……」


 そうして――ジョー達は王都に繰り出す。天気は曇りでどんよりとしているが風が吹いている為に湿気はあまり感じられない。


「それでオジュールは大丈夫なのかしら? たかられて?」

「大丈夫だと思うぞ、なにせ、2匹目のドレイクが高値になったからな。でかいし、魔石も大きかったし。2頭目で目標も達成したから赤字にはならないだろうな」

「それは良かったわね、赤字は可哀想だもんね」

「あぁ、それに俺達は数か少ないのも幸いしているな。数が多いほど取り分も減るしキツイ、なによりアレだ。怪我の治療費も高騰するからな」

「そうよね、見舞金も発生するからね……」


 適当に会話しながら石畳を進んでいくと、ジョーが「どこに行くんだ?」とサイリアに質問した。


「フフフフッ、今回はカティアが泣いて喜ぶはずの“シュケット”と“カヌレ”と“パイ”のお店よ。うふふふふッ、胸がときめく……」

 いつになく高いテンションでサイリアは歩きだす。


(それは、太る組み合わせだな……。まったく、男はノゾキ、女は食べもん、いつの時代も欲は尽きないな……)

 ジョーは静かにそう思う。





娼婦館について――やはり、男子たるもの……と、言いますけど『処理』的にな話です。命がけの現場の後はやっぱり溜まるものですから。

ちなみに男娼館ある設定ですが、そこは割愛しています。

私娼は――個人的に春を売り買いする人です。プロではない素人でしょうか? 援助交際みたいなもんでしょうか? 詳しくはわかりませんが、オランダなどにあるストリート娼婦系だと思います。

実際に中世でもありました。しかし当時は見つかったらボコボコだったらしいです。

日本では江戸時代、俗にいう夜鷹かな? 


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