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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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狩りの日々

 ――4日目もドレイクは罠に掛からずに時間は過ぎていった。

 ――5日目、昼近くにやっとドレイクが罠に掛かる。しかも前回討伐したよりも大型であった。

 大型と言う事は成長しているという事、つまり凶暴なドレイクと言う事だ。


「囲め! もっと弱らせろ」


 オジュールはそう命令する。激しく、真剣に、先頭に立って隊を率いていた。

 目の前には暴れるドレイク。

 作戦の前に前回の反省会を生かし、3方向から遠距離攻撃を混ぜつつドレイクを追い詰めているが激しく抵抗されている。


 前衛にいるガルン、ガイン達に前肢による強撃を喰らわせ、大盾を構えたままのガルン、ガイン兄弟、“双璧”の脚元の地面を掘り返すほど厳しく危険な攻撃であるという事だ。


「があぁッッ!!」

 ドレイクが振りかぶり前肢の爪に引き裂かれる攻撃をジュローがもろに攻撃を喰らい、後ろに吹き飛んだ。

 盾が一部欠け、身体が2転、3転、して転がり地面に伏して起き上がれない。


「ジュロー、大丈夫か!! 回復班 来てくれ!!」

 オジュールがそう叫ぶ。


 ジュローの肩口の防具は切り裂かれ、肉をえぐっていた。血が滴り落ちている。

 そこに後方から急いでエフレスカ達が飛び出してきた。

 

「オジュール、俺が()る、お前は前を見ろ!」

 ヒュールがそう命令してジュローの元に駆けつけた。


 その間も前衛に絶えまなく襲うドレイク。逃げる為に必死に抵抗を重ねていた。

 

 冒険者の依頼は命賭けだ。比喩でも何でも無く、強くしたたかな魔物を相手にするのだから当然である。

 誰かが怪我をする事態も当然想定して動いている。エフレスカ数名がジュローを後ろに引きずり安全な所まで引っ張っていた、その間も後方から魔術を撃ってドレイクを牽制している。


 弓矢がドレイクの顔面に飛び突き刺さる。左右から攻撃を切り変え激しく内まで攻め気を逸らそうとするミックとラリー。流動する討伐では1つの出来事からソコをフォローする為に動く事が大切であった。


 ジョーも動く、ドレイクの左方から顔と首元の隙間に蛇腹刀を伸ばし突き刺した。

「喰え!」の言葉と共に突き刺した場所から血が飛び散る。


「キエェェェェェェェェ――――……」

 甲高い苦痛の声を上げるドレイク。思わず顔を天に伸ばした。


 ジョーが剣を戻すとドレイクもジョーを血走った瞳で見つめる。そして――牙を鳴らし――[ ガチ! ガチ!] と音を立てた。


 そして――火球がドレイクの口元から飛び出す。


 始めは50センチ程度の火の玉であったが燃え上がり2メートルの火球に変貌する。


 ジョーは向かってくる火球を蛇腹刀で一閃、切り裂いた。

 火球が飛び散り、火焔はジョーの周囲に霧散するが熱は残っていた。


(アチィィィ…)

 ジョーはそのままドレイクを見つめる。ここで怯んで追撃されないように目を離さない。蛇腹刀で“食べた”とはいえ、巨大な火精の塊である火球だ、直撃すれば無事では済まない。


 ドレイクはさらに火球を吐き出す。今度は周囲に向けて。


 飛散する火球が周りの木々と土塁に直撃して火柱を上げていた。


 そして今度は前衛に向けて“火焔の波”を吐いていた。


 ドレイクの猛攻に絶える冒険者達。

 その時――ジョーの通信人形(ユーエーモ)から声がする『長引くのは危険だから俺が倒す。時間が掛かるが10秒ほどくれ!』とオジュールの声が響いた。


 ジョーがその方向を見ると、オジュールが剣を構え右手の魔力結晶石でドレイクの火焔の渦をかき消していた。


(なるほど……アレをやるのか……)

 ジョーは一度仕事でお目にかかったオジュールの得意技(スキル)の上位版、《超剣光(ハイスラッシュ)》が出ると思っていた。

 剣光の応用で多量の魔力を溜め剣に流し込むだけだが威力が跳ね上がるのだ。


 ジョーは「了解!」といい、ドレイクの目の前に駆けだした。

 敵であるジョーが来た事に気が付いたドレイクは左前肢の爪で切裂こうと腕を振るった。

 ジョーは飛び上がり攻撃を避けるが風圧がそばを通り過ぎる。

(あぶねぇ……)

 地面に着地するとすぐさま左前肢の攻撃がジョーに向かってくる。

 ジョーは後ろに引かず前に飛び出した。そのまま身を縮め、攻撃をかわすとドレイクの腹に潜り込む。

 そのまま蛇腹刀を構え、渾身の力を込めて振り下ろした。


[ジャクッッッ――]――剣閃が走り、ドレイクの腹から血飛沫があがる。


「グエェェェェェェェ!!」と声を上げるドレイク。


 ジョーは腹の下を滑るように飛び出し、ラリーが攻撃している脇の方に飛び出した。


「よう、いい攻撃だったぜ!」

 ラリーはそうジョーに声をかけた。

「ああ、これで時間は稼いだ」

 ジョーが振り返ると――オジュールの周囲にバチバチと光る魔力が集まり天に向けていた大剣に巨大な魔力が集まっていた。


 オジュールは剣を振り下ろす。――ドレイクの首元に向けて。


「――火焔一閃」


 オジュールがそう言いながら剣を振るうと10メートル程もある巨大な魔力剣は燃え上がり、火焔剣となってそのままドレイクの首元を切り裂いた。


[ドォォォォォン!!]

 断末魔も悲鳴も上げる暇も無く、ドレイクの首は地面に落ちる。

 そしてその後で胴体が地面に崩れ落ち大きな音を上げていた。


[ワアアアアアアアアァァァァァァァァ……]

 辺りから歓声が上がり、団員達は飛び出した。


 オジュールは片膝をついて深い呼吸を繰り返しながら「どうだ、……やったぞ」と一言いって苦しそうな表情をしていた。


***


「よーし、そのまま運搬車に上げてくれ」

「こっちの処理も頼む」

「火を消すのが先だ」


 翼陽の団がドレイクを運搬車に運び上げ、輸送の手配をしている。サイリアを含む魔術士達は燃え上がった木々の消火に(いそ)しんでいた。辺りは火が消されて起こる水蒸気と煙で白くモヤになっている。


 各々が事後処理に奔走する中でオジュール、ヒュール、ガルン、ミック、ジョーは1ヵ所で集まり会議を行う。


「とりあえず、今から準備して1度王都に戻ろうと思う」

 ヒュールはそう提案する。

 その言葉にガルンが頷いた。

「それはオレ達にとってもありがたい話だな。ジュローは怪我を負っちまったから、ここより王都の方が静養出来る」


「わかった、いいぞ、戻ろう」――ミックは同意した。

「俺も文句は無い。それよりもジュローの容体はどうだ?」

 ジョーは了承して、ガルンに尋ねる。

「ああ、肩の肉を持ってかれたが消毒して回復魔術で傷は塞いだ。たぶん大丈夫だよ、2、3日寝れば全快だ。ガハハハッ……。それよりもさっきの戦闘でこっちが重傷だ――」

 笑った後にガルンは困った表情に変わる。

 そういって彼は背中に背負った大盾を持ち上げ前に置いた。傷がつき、角が凹んでいた。

「ちょっと傷んじまった。長い事、使っていたんで最後のガタかきたんだろう……、そんな訳だ、補強したいんで王都に戻るのには賛成だ」

 ガルン達も王都への帰還を望んでいた。なにより自身の得物が傷ついたまま仕事をするのは冒険者としてあるまじき事だからだ。武器や防具を直さず使い続けるのはカネの無い初級クラスまでだ。長い期間、冒険者を続ける者なら仕事具の配慮までかかさない。


「わかった。戻ろう、目標の2頭目を仕留めた事だし、ちょうどいい、メシも無いし補充もしないとな……4日くらい休みを入れるか…よし、準備をしようぜ」

 最終判断を任されているオジュールも了承した。


 冒険者になれば意見は分かれる事もある。しかし、長い事冒険者の世界で生き残ってきた者を纏める立場のオジュールには退くべき時も(わきま)えていた。《※のぞきは失敗した》

 

 そうして――ある程度の荷物は残していき、オジュール達は王都に帰還する。




ドレイクの強さはやはり体の大きさだと思います。

成長した動物が強いのと同じ理論です。知恵も経験もそれなりに強さになるかと思います。竜なんで生まれたては弱いのかな?と思ったりします。

NHKのプラネットアース好きの作者の言葉でした。

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