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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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結果の後始末

「……いない」


 眼下に広がる禁断の楽園に女神達は居なかった。

 オジュールが思わず呆気にとられ声を出すと、後ろにいたラリーが「嘘だろ……」と言って隣に顔を出す。


「……いない」


 ラリーもオジュールと同じ様に言葉を発して茫然としていた。


 「嘘だろ、オイ」とガルンも言って、その隣に顔を出した――その後にジュローも続く。


「……いない」、「……いない」


 4人の冒険者は困惑している――そして“場所を間違えた”と結論に至った。


 その時である――オジュールは上空に魔力の流れと殺気を感じる。


「後ろに飛べ!!」

 オジュールのその言葉に反応して4名の冒険者は肉体強化魔術を瞬時に展開して後ろに飛び退いた。


 瞬時にそのような行動を取れるのはさすが熟練した冒険者と言わざるをえない。茂みから飛び退いた後ですぐさま、強烈な強風の塊が崖を押し潰す。

 まるで巨人にふまれたかのようにオジュール達がいた場所が崩れ落ちた。


「今のは……風圧(スタンプ)

 オジュールはその光景を分析しだす。そして――その瞬間で正解を導きだした。


「ヤバい! 撤退!」

 その言葉で一行は(きびす)を返しその場を立ち去ろうとする。

 他の者達も直感した。――敵(=女性陣)にバレた――と。

 それからは一目散に駆けていく。


 オジュール達の行動と同時に――魔術(マジック)(アロー)風刃弾(エアーシェル)水砲弾(ウィンラン)、そして魔力を纏った弓矢等が2方向から飛び交いオジュール、ラリー、ガルン、ジュローは大慌てで逃げまくる。

 草木は折られ、大木は倒れ、激しい震動と怒声と罵声がオジュール達を襲う。


「「「 ヒィィィィィィィィィィィ―――――!! 」」」

 逃げる4名の敗北者達。弓矢が肩先をかすめ悲鳴を上げる。


 ――ヤツらは俺達を殺す気だ!!


 そう思って振り向きもせず必死に逃げる。

 我先に逃げる、逃げる、逃げ続けた。


 その時、遠くの宿営いるジョー達は振動音を察知して理解する『あぁ、失敗したな……』――と。


***


「何か言い訳はありますか、団長!」

 エフレスカがオジュールを見降ろす。周りには翼陽の団の女性陣が軽蔑の眼差しでオジュールを見ていた。


 オジュールは座っている。ただ座っているだけでは無い、正座だ、それも十露盤板(そろばんいた)と呼ばれる三角が幾つも作られた板の上に座っている。

 それがなぜあるかと言うと――土魔術で造られていた。

 さらに横には土魔術の応用で造られた岩石の板が積まれている。


 ここまで言えばわかるだろう――『石抱』という拷問器具に上乗せられているのだ。

 さらにオジュールは腕を後ろに回され、“シノビ縛り”をされ、さらに造られた石柱に腕を固定され、逃げられないようにされていた。


 オジュールの他のラリーやガルン、ジュローも同様の措置が取れている。


「…………」

 オジュールは無言のままだった。


 あの後――オジュール達は宿営の場所まで戻ってきた。ボロボロになった身体で――全速力で逃げ出した後で自分達の置かれている立場に気が付いた。

 

『女性陣達が戻って来たらどうしよう、あいつ等は俺達を殺す気だ、逃げるか――いや。顔はバレテいないはずだ、誤魔化そう』

 そう結論つけた結果――“激しい修行を近くで行っていた”という設定にして服の汚れや切り傷を誤魔化そうとしたのだ。

 そうして作戦を決行。


「やあ、水浴びどうだった?」

「俺達も浴びに行こうぜ、激しい斬り合いで服が汚れちまった」

「おお、いいね」

「ふぃ~、いい修行だった……」


 ――等、三文芝居もいいところの台詞(せりふ)を吐いて逃げよとしたが真犯人は割れている為にあえなく御用となった。


「そうですか……罪を認めれば少しは手加減をと思いましたけど……やりなさい」

 エフレスカは脇にいる団員2人に命令して石を1枚持ち上げ――オジュールのフトモモの上に乗せた。


「グアァァァァ……」

オジュールに痛みが襲う。(すね)が、下にある△(さんかく)の稜線に食い込むのだ。思わず苦悶の声を上げる。


 ソレを皮きりにラリー達にも石が乗っけられ始めた。


「どうですか……。団長、やったんでしょ? 素直に謝りなさい」

 エフレスカはさらに迫る。


 ――辺りには敗北者達の苦痛の声が絶え間なく聞こえる。


「ふッふふふ……。なにを言っている、俺は覗きなんてしてねぇ。可愛い団員の為に周りを警護していただけだ……」


 オジュールはニヤッと笑い、そう返した。


「団長……」――少し感激する顔をしたエフレスカ。しかし、直ぐに侮蔑(ぶべつ)の表情を浮かべ、「1枚追加!!」と命令する。


「ぎゃああああああああああぁぁぁぁ―――!!!」

 オジュールは頭を振りまわしながら泣くほど乱れた。


 離れた所で――ガルン、ジュローは同じ冒険者パーティのミレーダとリーンに拷問を受けている。


「まったく、ミレーダ姉さんは悲しいよ。同じパーティの面子(めんつ)が2人も覗きに関わっていたなんて」

 呆れ顔でガルンとジュローを見降ろしミレーダ。


「同意、同意。……で、ガルンは誰の……裸を見たかったの?」

 リーンが頷きながら無表情でガルンを見つめる。


 ガルンは苦悶の表情を浮かべているが耐えている。

「で……誰?」

 リーンはさらに問い詰める。


「リーン、そこまで問い詰めなくてもいいんじゃない? と――思ったけど面白そう! ほら、ジュロー、誰の裸が見たいのか正直に言いなさい。そうしたら1枚減らしてあげる」

 まるでイタズラする子供のようにミレーダはジュローを見つめる。


 しかし、ジュローは下を向いたまま答えない、必死になって耐えていた。

 もう、2枚ほど脚の上に乗っかっているのでかなりの苦痛だ。

 ミレーダはそんなジュローの脚に置いている岩石の板を杖で揺らした。


「ほら、ほら、言ってごらん。誰の事を恋い慕ってたんだい?」

「アッ、アアッッ、アアアアアア……」


 ジュローは揺らされる度に三角の先が(すね)に食い込むのを感じ、小さい声を出すが言わない。――ミレーダも面白がって派手に揺らしていく。


「ガルン、だれ? だれの裸が見たかったの?」

 リーンはしつこくガルンに詰め寄ると――「……みんなの」とガルンは白状した。

 すると――リーンは無表情のまま脇にあった岩石板を――1枚置き、2枚目を置いた。


「アアアアアアアアアアアア―――――――――――――!!」

 いきなりの2枚置き、これで合計4枚になった

 ガルンは必死に耐えていたがいきなりのリーンの暴挙に思わず声を出してしまった。


 さらにリーンは問い詰める。ガルンの岩石板の上に両手を置いて。


「誰の裸が見たかったの?」

 リーンの表情は変わらないが――どす黒いオーラが出ている事をガルンは感づいた。


(そうか……1人に絞らないとダメか……)

 ガルンは察知する。正解に向けて直感が働いた。


「……エフ……」

 その言葉を聞いた時にリーンは動く。

 さらにもう1枚追加する為に――。


「さあ、誰なの、ジュローは誰に懸想(けそう)していたのかな? ん、言ってみなさい、ミレーダ姉さんが聞いてあげるから、ほら……」

 ミレーダは完全にジュローをからかうモードに移行していた。

「ほら、誰なの、1人、2人?」

 優しくジュローをなじりながら問い詰めていく。


「『ミ』……」――ジュローが何か言おうとするが、そのまま苦痛の声を押し殺し黙ってしまった。

「『み』? 誰だい? 若いから“みんな”かい? ほれ……ほれ……」

 ミレーダはさらに杖で岩石板を揺らしていく。


 そのまま叫喚地獄に変わり果てる処刑場に敗北者の声が木霊(こだま)した。




考察と裏話。

石抱とは江戸時代の代表的な拷問器具ですね。水責めとか考えましたけど結局「石抱」にしました。

シノビ縛りとは――手首と親指を縛っていく方法です。忍びでも抜け出せないように縛るやり方です。手首だけでは関節を外せば逃げられますが、親指まで縛ると脱出は難しいんです。


ここだけの話ですが……というか読めばわかると思いますが。

双壁内での恋愛事情として―― リーン⇒ガルンに恋慕です。 ジュロー⇒ミレーダに恋慕です。

男女混合パーティではそのような恋愛事情があるかと思いましてココで出させていただきました。

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