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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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男達の戦い

 オジュールが何故、先頭なのか?

 

 それはオジュールの『能力』にある。

 オジュール一行は当然、探知魔術で“秘宝郷”の周囲を固めている事は(あらかじ)め知っていた。


 と、――いうか。この世界に生きている者なら至極当然の考えである。


 覗きの方法は大きく分けて2つだ。

 1つ目は『探知魔術なんて関係ない! 突っ走るぞ!』の刹那的覗き方法で、その後、地獄へ行く。=《GO To HELL方式》

 2つ目は『慎重に探知に引っ掛からないように進んでいくぞ』である。

 しかし、探知魔術は術者の魔力(マナ)を飛ばしてソコに引っ掛かれば察知出来るという魔術と地面に設置した魔術陣を踏むと探知する魔術がある。

 さらに、今回は2つ同時に作用している。


 通常であれば突破は不可能に近い。

 しかし、オジュールには秘奥儀に近い種族特性を持っている。

 手の甲についている水晶のようなモノだ。《※第2章「作戦開戦前2」で説明あり》

 半神半人族であるオジュールの“魔力結晶石”。効果は魔力の『吸収と放出』である。

 仮定としてオジュールに魔術である“火球”が向かってくる。ソレを手の甲で吸収出来るのだ。そのまま反射のように放出する事も可能であった。

 自身の魔力に上乗せ出来る特性もあり、敵として対峙すれば対魔術戦の戦闘では非常に厄介な存在と言える。

 しかし、弱点もあり、『魔力以外は吸いこめない』という制約もつく、つまり石や木の枝はダメ。岩石弾の土精は吸いこめるが岩そのモノや勢いである力のベクトルまでは吸いこめないと言う事だ。それは純粋な魔力や精霊力以外の物質は無理という事だった。


 ――それでは、今回の場合はどうだろうか?


 答えは簡単である。術者の魔力を吸収し自身の魔力を混ぜて書き換えを行い探知魔術の隙間を作っていた。

 魔術の隙間に浸食して上書きを行っている。

 この方法ならバレる心配も無い、1つだけ弱点があるとするなら書き換えの時間が掛かる事だろう。


 そう、オジュール達は始めから勝算ありと見込んでこの作戦を決行していたのだ。


 1つだけ悲しい事は――凄い能力なのに使い方が“ノゾキ”である事くらいだった。


「お頭(=オジュール)……時間が掛かり過ぎてはいませんか?」

 ラリーは後方から10分以上のほふく前進をして心配になりオジュールに訊いた。


「安心しろ……“ヤツら”は30分以上必ず水浴びをする。その“習性”は絶対だ。俺はエフレスカ達の水浴び行動を毎回、計っているから間違いない。それに今回は大人数だ。自然と時間も掛かる。それに下見も済んでいる。大体の場所の見当がつけば“狩る”場所も決まってくるもんだ……」


 オジュールの発言は非常に背筋か凍るほど怖い発言である。

 念入りな準備。ストーキングに近い無駄な努力でもある。そして何よりAランク冒険者の知恵と経験を無駄使いしているという点だ。


 だが――ラリー以下ガルン、ジュローには頼もしい発言である。

 力強く、それに確信めいている。


『安心しろ。俺達の勝ちだぜ!』そう無言ではあるが前を進むオジュールの背中は言っていた。

 彼らはその(たくま)しい自分達のリーダーの後を興奮した表情でついていく。


(((アニキ―――!)))

 それぞれがココロの中で叫んでいた。


※※※


【サイリア! サイリア!】

 蛇腹刀(スネーク)は乙女たちの楽園の近くの木々の根元に立て掛けられていた。(つか)にある宝玉に蛇の眼がギョロリと変化をしている。

 スネークは大声でミレーダの髪を洗っているサイリアを呼ぶ。

 その声に気がついたサイリアは「なにー?」と言って近寄った。

 もちろん裸のままで。――


「どうしたの、スネーク?」

【なに……近くに発情したオス共が、ほふく前進をしてこっちにやってきているぞ】

「エッ、嘘! 誰よ!」

【この感じ……。オジュール、ガルン、ジュロー、ラリーだな】

 的確に答えるスネーク。蛇の魔剣であるスネークは能力もソレに近い。


《ヤコブソン器官》――空気中に漂う匂いを感じる。

《ピット器官》――熱を探知する器官、僅かな変化も敏感に感知して距離まで測定している。


 その為、オジュール達の行動はバレバレであった。

 人数も名前もスネークにしたら至極簡単な割り出し作業でもある。

 

 サイリアは一瞬表情を変えた。――しかし、“敵”の察知だ。

 

「スネークどっちの方向?」

【そうだな、サイリアを基準に考えれば4時方向だな、向こうの高い崖の辺りに来るだろう】

「そっか……わかった」

 サイリアは右を振りむいてスネークが指示した場所を確認した。


 そして急いで水浴びをしている乙女たちの場所に戻っていく。


「大変、大変。オジュール達が覗きに来たって」

 サイリアの声かけに一同が驚き、直ぐに魔術の発動を補助している杖の確認に行く。


 エフレスカも杖をとって確認して感覚を研ぎ澄ますが―――何も反応は無かった。


「あれ? なんの反応も無い」

「エフレスカさんのほうはどうですか?」

 団員達は警戒範囲に“敵”がいない事を確認する。

 一同は困惑してサイリアの方を見た。誤報だと思われている様だ。


「違いますから! ウチのスネークは優秀なんですよ……」

 母親のような言葉使いでジョーの相棒の蛇腹刀(スネーク)を涙目で庇うサイリア。


「ないわね……でも、団長なら“可能”です。これより“迎撃”に入りましょう」

 エフレスカは団長であるオジュールの能力も知っている。

 それに性格も……。

 その為に“覗き”は“有る”と考えていた。


 その後でエフレスカは本当の溜息を吐き終えると、眼を鬼にして――「みなさん、徹底的にやりましょう。準備を」

 そう小さいな声で言うが、どこか間抜けな団長に対する恨み節のように怨念が籠もっているように感じる。


小さい声で全裸の女性たちは「オ――……」と決意を固め、早速、覗き魔かえりうち作戦が進んでいく。


***


「ヒヒヒッ……もう少しだ、野郎ども」

 卑猥な笑い声が漏れる。

 だらしない顔をしてオジュール達は茂みの中を進んでいた。

 多少音がするが聞こえてくる水の流れる音の方が大きく。上手い事移動の音を消していた。


 近づくにつれて自制心が崩壊し始めている感じではあるが、男として仕方の無い事でもあった。


 ――『そこに禁断の楽園がある』

 

 素晴らしい景色を見る為に命を賭けてここまで来ていた。その景色を拝む為に困難な道のりを歩んできた。


 そうして――先頭のオジュールは茂みに前もって用意した黒い布を巻きつけてある場所を発見する。


(あれだ!)

 オジュールは振り返りラリー、ガルン、ジュローの顔を無言でみた。

 いい笑顔で無言のオジュールに笑顔を返す仲間たち『さぁ、どうぞ。兄貴が一番に覗いてください』、優しくそう言われたかとオジュールは思う。


「すまねぇ……」

 小声で戦友に声を掛け――、そっと近寄り、オジュールは静かに茂みの先に視線を向けた。




 はいはい、余計な場面での能力開示。よくある手法ですと強敵⇒実は密かにある能力。的な流れが一般的ですが……まさか、このノゾキ回で使うとは……。

 作者もびっくりですが、仕方がありません。

 それに前からある設定です【18話あたりの作戦開始前2】のあたりでしょうか? 王様ゴブリン討伐の前に一応の説明を入れています。

 しかし、その時は都合上出せませんでした。申し訳ないです。

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