表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
84/443

幕間③~カティアの放課後

 カティアはフィフィと一緒に放課後に特訓する仲になっていた。

 今日は昼から修練場で一緒に訓練をしている。

 冒険者学校は基本的に朝9時から昼12時までの3時間の授業と朝9時から昼3時まで(昼休み1時間)5時間授業を繰り返している。週7日のうち2日休みで半日と一日の授業を交互に繰り返す。空いた時間は生徒の自主的な活動に当てていた。生活の為に活動する生徒。アルバイトに精を出す生徒。冒険者として近隣で活動する生徒など自由であった。

 その中にはカティアのように自主的に訓練する者も含まれるがそれは極少数しかいない。


 カティアはフィフィの魔術訓練に付き合い、近くでアドバイスを送っていた。


「もう少しそのままで……」

 カティアは指示を出している。

 フィフィが“魔術の矢”を空中に形成して魔力を送り込み『溜め・固定』の訓練の最中だった。


「カティアちゃん……もう、ダメ……」


 3弾の魔術の矢はブルブルと震え今にも破裂しそうになっていた。


「いいわ、放って……」

 カティアがそう言うと「魔術の矢!」と大声を出しフィフィは前方にある的目掛けて魔術を放った。


 高速で飛翔する魔弾は――見事に的を――外した。


[ズドン! ズドン! ズドン!]と後ろの土塁にめり込む。


「あ~~~、失敗しちゃった……」

 フィフィは残念そうに持っていた杖を下げた。


「まぁ、仕方が無いわよ。慣れて無いでしょ。これから、これから」

「うん、もう一回やってみる」

「そうよ、師匠も何回もやる事が大事だって言っていたもの。魔術固定の訓練はサボったらダメだって言うわ。しっかり基礎訓練を積みなさいって教えられたわ」

「そうなの? ……カティアちゃんの師匠はどんな人? この町の冒険者の人でしょ?」

「まぁそうね……でも今は仕事で王都に行ってドレイク退治に行ってる……」

 カティアは寂しそうに告げる。王都に行ってみたい気持ちが残っているようだ。


「へぇ~、すごいね! ドレイク討伐って事は武練会の出場者なの?」

 フィフィは驚いている。

 彼女の記憶ならBランク以上の第一線で活躍している冒険者しか出られない危険な大会のはず、と思っていたので“凄い”という単語が飛び出した。

 それにカティアは反応した。

 満面の笑みで「そうよ、師匠は凄い人達なの。Cランクだけど4年位で駆けあがった人達だから実力も凄いのよ!」――と自分が褒められた時のように嬉しそうに話した。


「そうなんだぁ~。それでカティアちゃんは“面白い”特訓しているのね?」

 フィフィは先ほどからカティアが舞流鈍素振りをしているのをジッと眺めていた、そして今は地面に何本も杭を打って距離を開け、地面スレスレに杭の間に縄を張り巡らしその間を前進して素振りをする姿を見ていたので尋ねたのだった。


「師匠から出された課題だから毎日やっているわ。言っておいたけど剣術も魔術も極めるつもりよ。だから、すぐに強くなるんだから」


「カティアちゃんなら出来るよ、でも……いいなぁ、師匠か……どんな人たちなの?」


「剣士と魔術士の2人組よ。ジョー師匠とサイリア師匠って言うの。ジョー師匠は剣士は剣士でも魔剣騎士なのよ!」

 カティアは興奮気味にそう告げる。フンっと鼻から息を吐き出し、目を輝かせていた。


 彼女の言葉にフィフィは感嘆の声を漏らす。


 ふふんっ――とカティアはまた得意気だ。


「まぁ、そういう事だから私は自分の特訓に戻るわね。フィフィちゃんも教えた通りにやれば出来るから」


「うん、ありがとね、カティアちゃん」


 そういってカティアはフィフィに声をかけると元いた場所に戻っていく。


 そこはフィフィが言っていた通り等間隔に木杭を打ちこまれ、足元に乱雑と繋がった縄が吊るされていた。


 カティアは机の脇に立て掛けておいた木剣を手にとり構える。


 そして水の型から前に踏み込んでいき前進して蜘蛛の巣ならぬ“縄の巣”に飛び込んでいく。


 この特訓の趣旨は悪路でも剣を振る為の特訓だった。

 ジョーは紙にこの方法を書き記し何回も往復するように指示していた。


 カティアはソレを懸命にこなそうとする。剣を振りながら前に出る。

縄の間に足を入れまた振る。足を抜く。場所を探す。また隙間を見つける。足を移動する。剣を振る。


――この繰り返しだった。


 しかし、稀に足が抜けずにバランスを崩す。または縄に引っ掛かり全身が止まってしまう。そして体勢が崩れ上手く剣が振れない。


 その度にカティアは悩む。どうしたらいいのかと――。


 ジョーに説明された言葉を思いだす。

『冒険者っていうのは9割以上が悪路との戦いだ。依頼現場は川辺、丘、岩場、森林地帯なんかが多い。平地での仕事なんて殆ど無い。馬車の護衛くらいだろうな。だから悪路でも剣をふる技術を身につけろ。岩や石に転んでしまうかもしれない。木の根っこに足をとらえて転ぶかもしれない。それが獲物との戦闘中だったら致命的な事になるかもしれない。起き上がってもまた悪路だ。なれなきゃ攻撃もままならない。だからこの訓練を息をするように簡単にこなせよ』


 カティアはジョーの言葉に素直に納得した。

 あの時は楽にこなせると思っていたがやってみると案外難しい。

 しかし、カティアは諦めずに何度も挑戦する。


(そうよ、こんな事で立ち止まってちゃいけないのよ)


 自分を奮い立たせ何度も繰り返す。

 しかし、何度やっても途中で転びそうになる、そしてバランスを取ろうともたつく自分がいた。

 

 こう言う時はよくジョーに質問をして解決のヒントを貰うが、現在は居ない事は分かっている。だから自分自身で考えるしかない。

 やる、やらない、何を見る、何が悪い、こうすべきか、いいえ違う、それでもない、ゆっくりやるべき、それとも素早く行く? カティアの中で疑問が弾け答えが出ない。

 茹でたように顔が真っ赤になり頭から脳みそが出そうになった。


 結局上手く行かず、その日の訓練をフィフィの魔力切れとともに終えた。


 訓練後、学校に用意されたシャワー室で軽く汗を流して匂いをとる。

 少女と乙女に揺れる年ごろのカティアには必要な事だ。秘かに汗臭くないか匂いを嗅ぐ事も忘れない。

(大丈夫そうね……)

 そう思いながらカティアは身体を拭いていた。

 熱くなったお湯を止め身体を拭いていく。

 フィフィはその様子を上下にジロジロと眺め顔を赤くしているがカティアは気がついていなかった。


「フィフィちゃん。早く帰ろうよ」

 カティアはそう隣にいるフィフィに声をかけるとジッと胸元を見ていたフィフィが急に慌てだした。

「……エッ、アッ、う、うん。帰ろう」

 

 そう言った彼女を不思議そうに思うがカティアはそれ以上考えずシャワー室を出る。


 フィフィを誘って帰る準備を済ませると学校前にメリーダが待っている事を発見するカティア。

(なんで来るのかな? 近くじゃない?)

 カティアの家から冒険者学校までは歩いて10分程度の距離にある。近所なのだから来なくてもいいのにと思っていた。


(じゃあ、後はフィフィとお別れして……)

 そう思っていると、不意にカティアの服が掴まれる。

 後ろを振り向くとフィフィがフルフルと震えながら――「カ、カティアちゃん!! この後お暇ですか!?」と恥ずかしそうに訊いてきた。


「うん、もう帰るだけだもん」

「それだったら、まだ日も落ちて無いから……家にこない?」


 突然のお誘いを受けるカティア。

(これって。あれ、あれなの! 友達の家に行く事案ってヤツね……)

 憧れていた場面が突然に訪れて混乱する。

 しかし、内心では凄く喜んでいた。


「マぁ……いいけど……少し待ってもらえる? メリーダに話しをしていくから……」

 上ずる声を抑えカティアは笑顔で駆けだした。

 ウキウキしながらメリーダに事情を説明していく。





ちょっとした考察。

カティアの特訓内容が少し上がって行きました。

始めは転ぶ訓練、次は転ばないようにする訓練です。

冒険者の仕事の考察としてやはり悪路での戦闘が多いと考えています。傾斜地や森林なんかは転びやすいと思うんです。だからそう言う特訓が必要であると考えています。


考察2

学校の時間が3時間って短くない?と思っている方もいらっしゃいますが。作者もそう思います。

しかし、異世界の勉学時間は日本と違う。異世界的に見ても詰め込みすぎるのもどうかという考えです。

まぁ、そこは自由だと思います。

考察3

フィフィは百合ではありません……よね? そう考えているんですけど展開しだいではGL要素ありか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ