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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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反省会

 冒険者が行う反省会とは――ブリーフィング(要旨の説明・報告)の一種である。

 多くの人員が参加する場合には事前に打合せをした事と実際の仕事場で起きた事に齟齬が生じる事が多い。

 目標を仕留めた後で討議する場を設ける事がある。

 ドレイクのように危険な獲物の場合回数も増えやすい。

 その為にオジュール達はドレイク討伐の反省会兼今後の方針を決める大事な会議を開いていた。


「それじゃあ俺からひと言。みんな……よくやった最高だったぜ!」

 オジュールは本当にひと言だけ言う。指を立ててビシッとした格好をした。

 あまりの事で翼陽の団の連中も(まば)らな拍手しかしていない.


「オジュールそれじゃあ反省会の意味が無いぞ……」

ヒュールが横でツッコむと、顔を歪め団長兼親友に向けて失望した表情をしていた。


「いいじゃねぇか。まずは褒める。コレが翼陽の団の方針だ!」


「そんな事初めて聞いたぞ。それよりも議題はアレだろ。ドレイクを罠にかけた後の話し合いだ。皆も意見があったら言ってくれよ」

 ヒュールは辺りを見回してそう告げる。


 すると“三槍将(トライデント)”ミックが手を上げた。


「ミック、何かあるのか?」――ヒュールが話しを進行する立場に収まる。


「あぁ、罠に掛けた後で“土縄鎖(アンカー)”までの連携はいいとして。その後での“呪術弾(カースド)”の効きが遅いように感じる。ドレイクは動きに鈍さが無かった」


「それか……たしかに時間は掛かるかも知れない。でも必要な事だと思ってやっている。“呪術弾(カースド)”は効きが遅いかも知れないが長期的に見た時には必要な事だ」


「ちょっといいか?」

 ジョーが手を上げる。


「あぁ、いいぞ」――ヒュールは顔を向けた。


「何、ヒュールの意見も分かるがミックの意見も分かる。確かに見た感じドレイクに麻痺は効きにくい感じだな。でも俺が背中に上がる頃は結構動きが鈍り始めていたぞ。アレってどれくらい経ってからの事だ?」


「始まって10分位じゃないか? そう考えると完全に効くのはもっと遅いのか……?」

 ジョーの質問にヒュール難しい顔をする。下を向いて考え込んだ。


「副団長、それでしたら“土縄鎖(アンカー)”後に暫く待ってみてはいかがですか?」

 エフレスカも意見を言う。


「待て、待て、それって10分以上放置するのか。その間に逃げちまうって。それだったら俺には妙案がある!」

 ガルンは自身満々に話しに割って入った。


「なんだ、いい案でもあるのか?」

 ヒュールは訊いた。


「あぁ、前衛が目立つようにドレイクの前に対峙して時間を稼ぐそうすれば時間も稼げる、どうだ!?」


 ガルンの意見は妙案の類では無く、ただの力押しのひと言だった。


「兄ちゃん。それってかなり危険だよ。10分以上も前衛だけで耐えられる訳無いって」

 ガインはすぐさまガルンの意見に物言いした。

「そうか? いい案だと思ったんだが……」


「まぁ、それも悪くないけど危険だね。強力な相手の時は“危険分散”は基本だ。確かにドレイク相手に危険(リスク)は潜らなきゃいけない問題だけど力押しは正解じゃないな」

 ヒュールそう言ってガルンの意見を却下した。


 オジュールは手を小さく手を上げる。「フフフ……いい案がある」そう自信満々に言った。

「じゃあ、ヒュール。“土縄鎖(アンカー)”後に魔術攻撃はどうだ。上から押さえつける“風圧(スタンプ)”や、どうせ燃えるなら“爆発(ボム)”撃って傷を負わせる案がある。これなら危険が少ない遠距離攻撃だ、イケる。そして弱った所で前衛部隊が飛び出してズドン! 終わりだ」


「オジュール……1つ忘れて無いか? “土縄鎖(アンカー)”まで破壊される可能性も残るぞ。縛りつけるモノが鋼縄だけになるんだ、そっちの方も考えてくれ」


「あっ…………」

 オジュールは穴のある意見を出して、またヒュールが溜息を吐いた。


 そうこうしている内に時間過ぎ――反省会はしばらく続き――結論が出た。


ドレイクが罠に掛かる → “土縄鎖(アンカー)”を使い動きを止める → “呪術弾(カースド)”で射撃 → 前衛飛び出す → ドレイクを引きつけつつ前衛以外の2方向からの魔術攻撃(“魔術(マジック)(アロー)”、“風刃弾(エアーシェル)”等の威力抑え気味)を放つ → 牽制して時間を稼ぐその間に弱らせる → 5分後ジョー、ミック、ラリー、ヒュール出撃 → 撹乱後ドドメ。


 そのような手順でドレイクを討伐する事になる。

 そうして今度はチームやパーティ内で議論を進めていた。

 もちろんジョーとサイリアも同じ様に話し合う。


「それでサイリア、意見はあるか?」

「うん……まずね……“土縄鎖(アンカー)”後にまったく魔術も援護も出来なかった」

 サイリアは恥ずかしそうにそう言ってジョーに告白する。


 ドレイク討伐時、目まぐるしく変わる戦場でどうやっていいのかサイリアはあたふたしているだけだった。

 土塁からの距離は30メートル程で的であるドレイクの体格も大きい。しかし杖を構えてみたが不安でたまらなくなり友軍狙撃(フレンドリーショット)をしてしまった場合目も当てられない結果になる

 結局、サイリアは魔術を一発放って終わってしまった。


(そりゃぁ、優れた決断かもしれん)

 ジョーは話しを聞きそう思った。

 それは現状を考え最上の判断だったと――。


 焚火の光が辺りを照らしパチパチと音がしている、各冒険者チームで纏まっている場所から議論の声が聞こえていた。

 サイリアとジョーの“双蛇”はその場で静かに話し合いを止めていた。


 そして――ジョーは1つ息を吐く。

 落ち込んでいるサイリアの頭の帽子に手を当てて、[ワシャ、ワシャ]と動かした。


「ちょっと何するのよ、もう!」

 サイリアは帽子を動かされ、掻き乱れた髪と帽子を両手で止めた。


「ちょっと考え過ぎだな。無策に攻撃する事と無理に攻撃する事は違う。サイリアは自分の判断で攻撃したら失敗すると思ったから止めたんだろ。そう言う“引いた攻撃”も必要なんだよ。攻撃の射線が無かったら撃たない、それでいいじゃないか? 違うか?」


 帽子と髪を直しながらサイリアは「違わない……」と言った。


「下手に功績を焦って味方に当てたら大変だぞ。それよりも前衛の動きを見て判断だよ、『全体を見て魔術を放て』は後衛である魔術士の鉄則だ。サイリアは考えが前のめり過ぎ、『やらなくちゃ』、『役に立たなくちゃ』っていう思いが強すぎだ。皆で動くんなら出来る、出来ないをハッキリさせて行動しなくちゃいけないだろ?」


「うん……」


「別にずっと魔術を放つなとも言って無いしサボるなとも言って無い。ミックやラリー遊撃隊や、ガルンやガインたち前衛の動きを観察しておけよ。どこでこう言う動きをするとか判っていれば援護もしやすいだろ? それにドレイクは何匹も倒さないといけないから大体の行動も似てくる、そこの隙間をついて行動すればいいだけだ」


「わかった……」


「じゃあ、復習だ……」


 ジョーはそう言って落ち葉が落ちている地面にそこら辺に落ちている石を置き、片手に木の棒をもってドレイク対策の動きを説明していく。サイリアも熱心に聴いていた。


 こうして――ドレイク討伐2日目を終える事になった。



集団戦っていうのは打ち合わせで決まると思います。

何て言うんでしょうか。主人公をカッコ良く見せるのなら特攻や無理な攻撃。危険をくぐる男にすればいいのでしょうが、冒険者の観点から考えるとリスク管理は必要な事だと思うのです。

その途中で議論も交わされるはず。獲物を討伐して⇒寝る。とはならないはずだと思っています。

(作者の勝手な思い込みです)

様々な観点から話を進めていきたいと思います。

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