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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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幕間①~カティアの独り稽古

 ジョー達が王都にドレイク討伐に出かけ早くも7日が経過していた。

 その間はカティアもする事が無く、冒険者学校の修練場で大人しく1人で稽古を続けている。

 修練場所はそれなりに大きく、縦横200メートルほどの敷地がある。


 全天候性をまかなう為に屋根がついていた、下は地面のまま設備を整えており、いくつかの鉄の的と木人形が置かれて、各種休憩場所も備えた場所だった。


 その場所の隅でカティアは木剣に重りを付けながらジョーから教わった素振りをしていた。


(なによ、ジョー師匠もサイリア師匠も連れて行ってくれたっていいじゃない)


 真面目に稽古をしているが、その心内は雑念の塊だらけだ。

 それほどカティアは王都に行ってみたかった。

 しかし、町の外は危険であった為に父親に止められ、カティアはほとんどベルンの町から出た事が無い。過去に王都に言ったのは物心つく前の4才の時だった。

 その為にほとんど王都の事を覚えておらず。たまに実家に来る顔見知りの商人に王都の話を聞かせて貰う程度であったが日に日に憧れは強くなっていった。


 夢にまで見た王都に行きたいという気持ちがカティアの心の中で(くすぶ)っていたのだ。

 ジョーとサイリアが王都に行くと聞いていてどうしても行きたくなり、駄々をこねてみたが結局叶わなかった。

 

 都市間の移動にはそれなりに危険がつきまとう。危険な魔物が出る為に大抵の場合、冒険者や兵士の護衛をつけての移動しかない。商人も移動の為に護衛の者達を雇うのがブルーシュ王国の通例になる。


 つまり、おカネが掛かり、おいそれと王都までいく事が出来ないのが普通である。


 そんな訳で、カティアは真面目に冒険者学校に通い“独り”でジョーとサイリアから言われたメニューをこなそうと頑張っていた。


「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……」

 息も切れ切れにカティアは素振りを終える。

 そして、また剣を握り、修練場にある大型の鏡で自分の素振りの様子を確認し始めた。


(ジョー師匠が言ってたけど、少し身体が傾いているのかな……)

 木剣を振りながら自信が言われた悪い所を確認していると――鏡の端に何者かが映っている事にカティアは気がついた。


 出入り口から顔だけ出して中を(うかが)い、チラチラとこちらを見ている赤茶色の髪が映っていた。


 カティアは振り返ると、そこには驚いた顔の幼年の少女がいる。


(あれ? あれって……)


 同じクラスによくいる同学年の女の子だとカティアは気がつく。

 自身の席から離れているが、よくこっちを見ていた事を思いだした。


「何をやっているの!」

 少し大きな声を出してカティアは訊いた。


 急に話題を振られた彼女はオロオロして辺りを見回した。

 動揺しているようだ。


「アナタしかしないでしょ!」

 お構い無しに言葉で攻撃を放つ。


「わ、わひゃし……よね」

 赤茶髪の少女は舌が上手く回らない様子で、オドオドとして出入口の前に姿を見せた。

 

 どこにでもいる刺繍の入った女の子の服を着ていた。少し癖のある髪で自身がなさそう表情を浮かべ、ソバカスが少し鼻のあたりにあった。

 杖をもって、荷物を肩から背負いその場に立っていた。


「あなた……フ、フィ……何だっけ?」

(あれ? 忘れたわ……)

 クラスメートの名前もおぼろげながら、顔も印象に残ってはいない為にいまいちピンと来ていないカティア。

 

「フィフィです……」


「そう、フィフィだったわ。それで何をしているの?」

 

 オドオドしているフィフィに向けて質問をした。彼女が入口で中を覗いていたのか理解できなかったからだ。


「あの……魔術の訓練を……」


「そうなの、奇遇ね。わたしも訓練よ。修練場に誰もいなかったから寂しかったの」

 カティアは遅い時間まで冒険者学校に残って訓練していた。

 この時間に残る者はほとんどいない、実家の手伝いや小銭稼ぎ(=アルバイト)に精を出さなくてはいけないからだ。


「奥、空いてるから使えばいいわ。じゃあ、頑張ってね」

 カティアは声をかけ終わると鏡の前に向き直り、そしてまた剣の振りで自分の悪い所を直そうとしている。


「アッ……」

 そう残念そうな声を漏らす、フィフィに気がつかないまま。

 フィフィはそのまま奥の的当て人形の所まで寂しそうに歩いていった。


***


(よし、いい感じ♪)

 素振りをする音を聞いて良くなっているとカティアは思っていた。


 稽古を重ね時間も経ち、身体が汗をかき始めている事に気がついたカティアは、そのまま用意した水筒に手を伸ばし水分補給を開始する。


[ズドォン!]と遠くから音がするとフィフィが的当ての的に当たらずにそのまま後ろの危険防止用の土塁に魔術が突き刺さり、そのまま土壁を破壊していた。


(あの子、操作性能が悪いわね……先から当たっている音より外れが多いじゃない)

 フィフィの魔術訓練を見たカティアは危ないと思いつつ水筒の水を飲み干した。

 そのまま彼女は誰に命令されるでもなくフィフィに歩み寄った。


「ねぇ、そんなに緊張して撃ってたら当たらないわよ」

「ひゃうぅッ!!」


 カティアの突然の掛け声にフィフィは驚いて変な声を上げる。


「プッ、ハハハハハハッ、なに急に変な声を出してるの?」

 カティアは思わず笑ってしまった。


「……ごめんね、突然に声をかけられてビックリしたから……」

 申し訳無さそうに答えるフィフィだった。


「いいわ、それよりフィフィだったわね、あなた緊張しすぎて魔弾の制御が出来てないわ」


「そ、そうな、の…かな。あ、ありがと……ね。か、カティアさん」


「“カティア”でいいわよ、同じ組じゃない」


 緊張して精一杯の言葉を吐きだすフィフィにカティアは笑顔を向けた。


「うん、でもね、呼び捨てには出来ないから……」

「気にすること無いじゃない、わたしが領主の娘だから?」

 自身の出生を気にしていると思いカティアは質問する。

 しかし、フィフィは首を横に振り、モジモジしながら彼女はカティアの方を見ずに喋りだす。


「それもあるけど……どうしていいのか分からなくて。同じ組だけど、どんな風に話しかけていいか分からなかったから。一度お話してみたいと思ってた……」


 彼女の予想外の言葉に今度はカティアが驚いた。今まで話しかけてくれる同級生など皆無だったのでそう思われていた事など思っていた事もなかった。


「……そうなの。ふ、ふ~ん。そこまで言われては仕方がないわね。お話しましょうか……」

(や、やった~~~~~~~!)

 カティアは顔を赤らめながら動揺しつつも了承した。

 緊張で胸が破裂しそうなのを抑えつつの事だった。


「本当!」

 顔をあげるフィフィ。


「本当よ、でも条件があるわ、わたしの事は“カティア”って呼ぶ事。こっちは”フィフィ“って呼ぶから」


「わかった……カ、カ、カティア」

「いいわよ、フィフィ」


 そうして修練場でカティアはこの学校に来て初めての人間関係の練習が始まった。


幕間って事で話を進めます。

時間経過はジョー達と違いますのご注意ください。

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