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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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王都で出会う昔馴染み

 ジョーは“極上のひと時をあなたに…亭”を出て裏通りを歩きながら横にいるサイリアを横目で見ていた。


「何よ!」

 サイリアは不満そうに大きな声をだし、手に持った杖をジョーに向けた。


「別に……なんでもございやせん」

 ふざけた言葉使いでサイリアの問いかけに答えを返したジョーだが、その細い目は常にサイリアのお腹辺りを見ていた。


 その言葉使い、目線から、何を言いたいのかサイリアは分かっている。


 杖を突き出すのを止め、帽子を深くかぶり直し。そして――。


「あれは……栄養補給だから、これからドレイク討伐が始まるでしょ、その為の魔力と気力の補給!!」


「そうか……甘い物で魔力を補給できるとは知らなかったな、新事実だ……さぞ、腹に魔力がついた事だろう」


 ジョーに言われ、サイリアはお腹をさする。そして服の上から摘まんでみた。


【気にするな。ドレイク討伐は大変だから痩せるさ】

 スネークがそうサイリアの傷口をエグる。


「そうよね……頑張ろう……」

 よしッ、と気合いを入れていくサイリア。

 その様子をジョーは細い目で静かに見つめていた。

 それにまた気が付くサイリア――。

「何よ……」

「いえ、別に……」

「言いたい事があるなら聞こうじゃないか!」

「本当に何でもございません……」

「私はいいのよ、魔力使えば痩せるから、それよりジョー。煙草の煙臭いよ。臭いが付いたらどうするの?」

「“臭い消し”があるから大丈夫。それに元々早く臭いが消える煙草だよ……、言っておくけど、どっかの誰かほどアホではないからな」


「それは、私に喧嘩を売っているとみていいのかな?」


「いいえ、実名は出していませんよ、サイリアさん」


 そんな会話を続けながらジョーとサイリアは東の商業地区を目指して歩いていった。


***


 到着した地区は人混みで賑わいを見せていた。

 衣服店が立ち並ぶ場所には宝石店を始め小物を取り扱う店も並び、主に女性客で賑わいを見せている。

 この時期ならではなのか多数の紳士淑女の客層が店の中にも外にも溢れ、派手な帽子やドレスを着た女性と一緒に身なりのいい男性と買い物に訪れているのが硝子窓の隙間や入口から見えていた。

 その前を述者の男性が馬車を止め、暇そうに待っている光景をいくつも尻目に見ながらジョー達は歩道を歩いていく。


「サイリア。本当にココが最先端の服を売っている場所なのか?」

 辺りを見回し、ジョーは隣を歩くサイリアに質問した。

「そうかも……私だって王都は初めてだもの、知る訳ないでしょ。ギルド情報よ」

 緊張していて多少声が上ずっているのをジョーは感じる


「まぁ、そうか……に、しても高そうな御服が売ってそうでございますね。冒険者装備のままの俺達には場違いな場所だよな……」

 そう言って立ち並ぶ品格のある店を見てジョーは感想を言う。


 目抜き通りと呼ぶにふさわしく、王都でもかなり広い大通りに、歩道と馬車道をキチンと分けて交通網が整備されている。

 遠くには公園のように王国民の憩いの場も用意され、乱雑に造られた場所とは違い都市としての美が集約されていた。


「あ~あ、しかし、どうするかな。こりゃ銀貨何枚出せば手に入るんだ。もしかしてもっといくかも知れないかもな……」

 嘆くようにジョーはそう漏らす。どこに入っていいかも分からずにそのままブラブラと歩いていた。

 

 そのまま店にも入らずに探していると――不意にジョー達がすれ違った女性が立ち止り振り向いた。


「サイリア? サイリアよね!」

 大人の女性の声に2人は反応する。


 ジョーとサイリアが声がする方に振り返ると――そこには長めの茶色い髪をした女性が声をかけてきた。

 品の良さそうな顔立ちに髪と同じ薄茶色い色をした瞳が印象的の優しそうな表情、そして黒地に銀糸を縫い、高級そうな服を身に着け、小さい紙袋に荷物を持った女性がいた。

 少し神秘的な雰囲気を出して優しくほほ笑んでいる。


「ま、マリー姉ぇ?」

 サイリアは女性を見て驚きながら尋ねた。まだ完全に確証は無いような感じだ。


「やっぱり、サイリア。こんな所で合うなんて不思議ねぇ、どうして王都にいるの?」

 マリーと呼ばれた女性は嬉しそうに笑い、サイリアに近づいていく。

 そして、そのまま――抱きついた。人目も(はばか)らずに。

 

「キャー、久しぶり、サイリアも大きくなったわね」

「マリー姉も昔のまんま美人!」

 

 嬉しそうに笑い合う2人。その様子をジョーは1人寂しく蚊帳の外に置かれ眺めるしかなかった。

 

 暫く――閑話休題の様子で世間話をして話し合う2人。


(楽しそうだけど……そろそろ紹介があっても良いんじゃない、サイリア?)

 マリーと言われた女性とサイリアの仲を止めていいのか迷っているジョーだが、そのうち、マリーがジョーの存在に気が付く。


「あちら、旦那さん?」

 確認するようにマリーは言うが――サイリアは驚いて首を振り「違う、違う、違う」と3回否定する。

「どうも、ジョー=カバライと言います。よろしく。サイリアとは冒険者仲間です」

 優しく、声に張りを出し、バリトン・ボイス《※低く良い声》で自己紹介を完璧にする。

 後ろに花柄の情景が浮かんでくる雰囲気を無理やり出していた。

 そして手を出し、マリーと優しく握手する。


「ど、どうも。マリー=ランジュールと言います。サイリアとは同郷で幼い頃からよく遊んでいました」

 すこし引き気味でマリーは自己紹介をする。

 

 ジョーは構わずにそのまま話を続けた――。


「ほう、と言う事は“魔女の森”出身ということですか?」

「ええ、まぁ……5年も前に旅立ったんですが」

「そうですか……。こんな美人な魔女がいたなんて知らなかった。いや~感激です」

「どうもありがとうございます……」

「それにしても、もっと早く紹介してくれよ、サイリア♪」


 そう――嬉しそうな顔でジョーがサイリアを見ると。サイリアは不機嫌そうな顔で杖を振り下ろし、ジョーの握手している右手の手首に思いっきり殴打した。


 ――ガントレットに当たり甲高い金属音が炸裂する。


「イタッ、何するんだよ、急に!」

 ジョーは思わずマリーの愛おしい手を離し、表情を変えサイリアを(にら)んだ。サイリアも睨み返し――。


「全く、いやらしい顔でマリー姉を見ないで、セクハンのジョー!」

 そう、大声をあげ非難した。


「おいおい、何言ってんだ。俺はセクハンなんてしてないぞ」

「顔がセクハンなのよ。全く、イヤラシイ眼つきで見ないで欲しい」

「なんだよ、急に。いいだろ別にさぁ~、触るくらい、美人な魔女に出会う機会なんて俺には無かったもんでね」

「……それはどう言う意味だ、コラァ!」

 ジョーの嫌味に反応するサイリア、そのままメンチの切り合いになった。


「まぁまぁ、2人共、そんな大声を上げてはいけませんよ。それに周りに迷惑がかかりますから。どうでしょう、近くに私達がやっている店があるのでソコにいきませんか?」

 マリーは2人を見て優しい笑顔向け提案してきた。


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