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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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ヌレギヌだ…

 カティアは完全に“ダダコネ体勢”に入ってしまった。


「師匠ぉぉ。お願いしますぅぅ!! 私に何を命じても構いません!! (訓練の)どんな要求も飲みます!! (訓練で)どうなっても構いませんから!! 王都連れてってくださいぃぃぃ……」


(まて、本当に待て、さっきから気がついて無いかもしれないけど――危険だぞ)

 ジョーは慌ててしまい、オロオロと周囲を確認する。


性的犯罪セクハン』という言葉に周りが反応してジョー達を見ている。

 冒険者達が何やら耳打ちしていた。そして指をさして何か相談している。


(まて、まて、不穏な空気と不自然な目線が俺を襲っている感覚だ。これは危ない話になってきた)

 ジョーは焦りだす。焦り過ぎて流れを変えないと――そう思いだした。


「な、あ、カティア。俺はどんな要求もしてないし、そんな辛い命令もしてないだろ……そう思うよな! メリーダ?」

 感情の起伏を無くし、ほぼ棒読みの台詞でメリーダに意見を求めるジョー。


「そうですよ、お嬢様。例え“どんなキツイ”要求でも師弟関係ではあります。それを分かっておいででしょう。それにジョー師匠の事も考えて下さい。今回の任務はそれほど危険なのです。お嬢様がそう言っても仕方がありません。分かって下さい。お嬢様…ねッ!?」

 メリーダは諭すようにカティアに話しかけた。母親代わりを公言しているだけあってカティアを懸命になだめようとしている。

 肩に手を置いてゆっくりと優しく抱き抱えるようにしていた。


 しかし――それでもカティアのダダコネは続く。


「それでもぉぉぉ、ジョー師匠!! どんなキツイ要求でも、危険な要求でも文句は言いませんからぁぁぁ!! 王都で私は(訓練で)どうなっても構いません。(訓練で)全てを捧げます。お供させて下さい!!」


(コラァァァ。大事な単語が抜けてるぞ……それに王都には連れて行かない)


 ジョーはまたまた驚愕の言葉を吐いたカティアに驚きつつどうにかしなければと思う。

 だが、同時にカティアの請求はどうしても飲む事が出来なかった。

 例え王都に連れていっても警護する事は出来ない、それに領主の娘だ、問題になりかねない。危険なドレイク討伐の現場に経験の少ないカティアを連れて行っても危険なだけだ。王都に置いておいてもカティアの性格からして今度は『ドレイク討伐も連れて行って下さい』と言いかねない。

 連れて行かなくても――秘かに着いてくる可能性大。

 よってサイリアと相談した結果。絶対に連れていく事は出来ないという結論に至った。


 その為に――カティアの説得は必須。

 後を着ける可能性も拭いきれない。


「なぁ、カティア。ちょっと声が大きいぞ。もう少し小さくしよう。……ほら周りに迷惑じゃないか」

 父親が子供にやさしく注意する劇の途中。下手な三文役者のように途切れ途切れの台詞を並べジョーは注意する。


 それは――周りの目を気にしているからだ。


(あぁ、痛い、イタイ瞳が俺を見る。 アノ冒険者も、アソコにいる冒険者もこっちを見ているじゃないか!!)


 カティアを慰めつつ、どうにか誤解を解こうとするジョー。


 ベルンの町のギルドではセクハラ、パワハラは冒険者の間では禁止されていた。


 なぜなら――“リング=ディレイ”と言う。凶悪かつ横暴なモンスターギルドマスターのせいで皆が非常に敏感に反応してしまう。

 その為にベルンの町の冒険者仲間の間ではそのような“やられたら気持ちの悪い、そんな卑怯な事はやめようよ”――という暗黙の了解が浸透している。


 先ほどのカティアの『セクハン』という単語に皆が敏感に反応してしまっている。


 カウンターにいるアリアやニュウがこちらを見て、女の敵と言う感じでジョーを軽蔑(けいべつ)の眼差しで見ている。

 ライネやエリーザも失望した表情でジョー達を見ている。

周りのいる冒険者達も鋭い視線でジョーだけを見ていた。


 ――ジョーに焦燥感が忍び寄る。


 額に汗を掻き始め。

 目線は泳ぎ。

 手足の痺れと痙攣(けいれん)のような症状まで自覚し始めた。


「なぁ、サイリア。やっぱり王都は危険だから連れて行けないよな。お前からもなんか言ってやれよ」


 隣にいるサイリアに助けを求めるようにジョーは助言を求めた。


「そうね……カティア…危険な依頼なのよ、それにジョーの言うとおりにしてあげて。それに王都にいっても(訓練も)キツイから。ジョーは手加減なんてしないわよ。私の時も(訓練の)厳しさなんて酷かったんだから。(訓練を)泣こうが喚こうが無理にやってきたの。それだったらココでやる方があなたの為なのよ」


 悲しそうにサイリアはカティアに伝える。

 苦しい日々を乗り越えたあの時を思いだしているかのようだ。


(エ―――。ちょっと待てよ。セクハンと言う言葉が強すぎて……どうやら皆さん派手に勘違いなさっている様子だ。アリア、ニュウ、ライネ、エリーザもなんだろう、汚物を見る視線で俺を見ている……)

 さらに焦るジョー。周りを見渡すと耳元で何やら喋りこっちを見ている者が大勢いた。


 周りから見たらジョーに被害を受け大人しくしている女性冒険者が3人いるような光景だった。


 さらに厳しい視線にさらされるジョーがいた。


【あらら、こりゃぁ大変だ。寝るから起こすなよ】

 ジョーの隣に置いた蛇腹刀(スネーク)から声がする。

 スネークは俯瞰(ふかん)の位置にいるので全てを理解して相棒のジョーを見捨てる。


(おい、都合のいい時に寝るなよ。いつもは起きてるって言うだろ……)


 自分の相棒に殺意を覚えながら――ジョーは打開策の一手(いって)を探っていた。


「は…はは…はっはっはっ。カティア。“く・ん・れ・ん”!! は大事な事だぞ。それに“訓練”!! はキツイし厳しいかもしれない。“訓練”!! しないと強くはなれないから俺達がいなくても“訓練”!! を続けような。1に“訓練”!! 2に“訓練”!!って事だ。その為だったら辛い“訓練”!! の命令も師匠ならしちゃうからな。わかったな……ハッハッハ……」


 ジョーは『訓練』と言う言葉を連発し周りの誤解を解こうとする。

 説明口調で周りに聞こえるように笑顔でハッキリと言う。

 言葉の裏に『誤解ですよー!!』と強く宣伝をして。


 だが――流れは変わらない。

 突き刺す視線がジョーを襲う。

もうジョーは『性的犯罪強行決定手籠師匠(リングと同等)』となった。


「ココじゃあ。ちょっと皆さんの迷惑になるから場所を変えたいんだけど……」

 全てを理解したジョーは小声で提案した。




言葉って1つ足りないだけで印象が変わりますよね。

そう言ったお話です。

前回の訓練の話とリンクさせてみました。

作者は「セクハラ、パワハラ」絶対禁止同盟だと思っています。

ですが人って知らない所で無意識にしているか、自覚なくやっている方がほとんどです。

このように1つの行動がつながる事もあります。

人を育てる事とセクハラ、パワハラは紙一重と覚えておいた方がいいかも知れません。

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