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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第3章; 御嬢様の御弟子入り
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カティアは思う

「あぁ~~、ダメ、起き上がれない」


 カティアはメリーダに膝枕をされながら2人で休憩していた。

 カティアは魔力切れによる倦怠感(けんたいかん)と食後の眠気が急激にきていた。

 メリーダも体力切れによる休憩でカティアと一緒に休憩していた。


 訓練中ではあるが師匠であるジョーとサイリアに止められて、2人は現在気持ちのいい風が吹く草原の中で長閑(のどか)な食後休憩を満喫中であった。


 ジョーとサイリアは個人的な稽古を開始している

 ジョーは蛇腹刀をもって型の稽古の為の素振りを――サイリアはひたすら細かい魔術の的当てを続けている。


 黙々と訓練をしている様子をカティアとメリーダは眺めているのだった。


「お嬢様、魔力切れとはいえ、ベルンバッハ家の誇りをお持ち下さい。そのように、はしたない淑女では笑われてしまいますよ」


 メリーダの言う通りカティアは布の上にだらしなく寝転がり。しっかりとメリーダのフトモモを有効活用していた。


「いいじゃない、これくらい、それに誰も見て無いから平気よ。メリーダは真面目過ぎるのよね……」

 けだるく、そして眠たそうにカティアは言う。

 

 誰も見ていないとは言い難いがメリーダを始めジョーもサイリアもカティアの中では家族のように親しいと勝手に思っている節のある発言だった。

 この誰もとは――“他人が”とも言い換えられる。


「お嬢様、そうでは無いのですが……」

 メリーダも溜息をしながら、呆れた顔でそう言うしか無かった。


「ねぇ、メリーダ、師匠達元気ね。疲れてないのかしら……」

「そうですね……私も詳しい事までは、ですが説明するのも難しいですね、そうですねぇ……そうだ! ジョー師匠の素振りをご覧ください」


 カティア達の視線の先にはジョーが綺麗に素振りをしていた。脚――腰――肩――腕。その全てが綺麗に連動して素振りを行っている。


「スネークさんは重そうなのに軽々と振っているわね……」

「ええ、それに身体の軸もブレていません。縦も横の振りも綺麗に通ってますし、切り上げも切り降ろしも見事に剣筋にブレもなく完全に力が伝わっているといえます」

「なんで分かるの……」

「私も剣を習っていましたから、多少は覚えがありますよ。それに上手い方もいましたから。そう言う方はジョー師匠のように空間その者を切り裂くような音が出るんですよ」

 

 メリーダの指摘にカティアはジッと耳を澄ます。


 ジョーから聴こえてくる、素振りの音はカティアのように空間を潰したような音では無く、高音で鋭く澄みわたる音だった。


「確かに……違うわね」

「ええ、そうです。それに位置取りも上手く、私が打ち込んでも綺麗に避けられますし、芯を外されてしまいます」


「そう、そうなのよ!……消えるし、突然近くにいるし、なんか訳が分からないのよ!」

 メリーダの言葉に顔を向け、ジョーとの先ほどの訓練を思い出しカティアは興奮した。


「お嬢様、それは私の流派で言う所の“間合いを制す”と言う言葉だと思います」


「“間合い”……?」


「はい、攻防する距離ともいいます。それに“歩法”にも秘密があるかと……」


「“歩法”……?」


「えぇ、ゆっくりして、急に勢いよく飛び出したり、剣を揺らして気を逸らしたりする事です。他にもありますけど……全部は知りません、流派によって違いがあると言う話を聞きます」


「そうかも……でもジョー師匠は殆ど何もやって無い感じだった……」


「それは、予備動作が無いのかも知れません。それで速く感じるのかもしれませんね。上級者との戦いは距離感が掴めないといいますから。動くのも最小限に緩急も上手いのでしょう、だから魔力と体力の無駄が無いのかもしれませんね」


「そうかもしれないわね。サイリア師匠も無駄なく魔力形成をしていたもの……」


「えぇ、だからジョー師匠、サイリア師匠は元気なのかもしれないですね」


「そっか……、そうよね……、私のは無駄が多かったのか……」


 カティアは寝転びながら、ジョーとサイリアの訓練の様子を眺めていた。メリーダに言われた所を注意深く見ていると、確かに自然で流麗な身体と魔力の使い方、寸分たがわぬ剣の軌道と正確な魔力の流れだった。


「……ねぇ……メリーダ。私も師匠達のようになれるかなぁ……」


 ボソッとしたカティアの言葉にメリーダは驚きながらも表情を変え、ニッコリと笑って答える――「えぇ、なれますとも。修練さえ積めば……」


 それをきいてカティアは笑いながらゆっくりと瞳を閉じた。


※※※


 ――2時間程たって、ジョーを前に3人が並んでいる。


「では、最後にカティアの大好きな素振りを始める。カティアは眠っていたから元気だろうからな! 元気が有り余っている事だろうが……最後は(きび)しく訓練をして行こうと思う」


 ジョーがからかうように言うと――カティアは「師匠、いつまでも言わないで!」と可愛く怒りながら言っていた。


その様子をサイリアとメリーダはクスクスを笑っている。


 先ほどまで寝ていたカティア。その様子を呼びに来たジョーとサイリアに見られてしまっていた。

 口元に(よだれ)を垂らしながら、見事な乙女っぷりをさらしていた。


 その事を言われ、気恥ずかしそうに下を向いてしまったカティア。


「すまん、すまん、見事な寝姿だったから、言ってしまった。……まぁ、冗談はここまでにしよう。これからは酷くキツイ訓練になる。疲れた時にこその訓練だ。その名も『舞流鈍(ブリュドン)』素振りだ!」


 ジョーの言葉にカティアとメリーダは一緒に首を(ひね)った。


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