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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第3章; 御嬢様の御弟子入り
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訓練とは上手くいかないものだ

「……射てよ……」

 カティアは片手を突き出しながら真っ直ぐに的に向かって集中して呪文を唱えていた。


 すると身体から魔力が放出され手の前に集まり、そしてサイリアの時と同じ様に1弾が出来あがってきた。

 魔力が固まり長く太い弾が出来た。


「カティア、もっと魔力を固める事を想像して……密度を固めましょう……」

 カティアの後方にいるサイリアは頑張れ!と言う風に両手を握りしめ、助言を送る。


「……はい……師匠」


 カティアは辛そうに返事をした。


 そして、魔弾は徐々に細長くなり、小さくなっていく。


「よし……魔力密度も上がったわね。それじゃあ、そのまま10秒保持しましょう。1…2…3…―――」


 サイリアは数を数えていく。

「ウン……ウゥゥ……」

 辛そうな声を出すカティア。目をつぶり、ジッと集中力を高めていた。


「…9…10、いいわよ、放って」

 サイリアの声をともに。――「…魔術の矢!」と大声で叫び。そのまま手から放たれる。


 が――高速で放たれた魔術の矢は的に届かずに途中で魔力が霧散してそのまま空中で消えてしまった。


「アッ……消えちゃった……」

 すごく残念そうにカティアは言葉を出した。

 近くにいるサイリアに言ったのか、それとも心の声が出てしまったのかは分からないが落胆(らくたん)していると誰もが分かっていた。


「……カティア、操作の時に集中力が乱れたのよ、それで的まで届かなかったの……。でも途中まではとても良かったわ」


 サイリアはそう言ってカティアを励ました。


「はい、師匠、でも魔力の密度を高めるの……凄く難しい……」


「そうよ、今までは自分の感覚で楽にやっていたけど、集中して工程をこなしていくのは疲れの。でもね…密度の濃い魔術を放たないと、魔獣に傷は負わせられないのよ」


「そうですよね……頑張ります!」

 カティアも納得して元気よく返事をした。


「よし、もう1回やってもようか……、しっかりと1つ1つ段階をこなしていくのよ。まず、力をぬいて、それから集中……いいわね」

 ニッコリ笑ってサイリアはカティアに告げる。

 その言葉には焦らないでね……と込められているようだった。

 

「はい、サイリア師匠!」

 カティアも笑顔を返し、元気よく返事をした。

 

 そして――カティアはまた腕を突きだし、集中しだした。


 ――30分後。


「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」

 息も切れ切れのカティア。

 全力で走った訳でもないのに息が上がっていた。

 この状態は魔力枯渇寸前の状態だった。


 カティアは両膝をついて、その場に座っていた。


「大丈夫、カティア……魔力切れみたいね。休みましょう」


 サイリアの言葉に無言のままカティアはコクコクと頷いて合図を送った。


「ジョォー! カティアが魔力切れみたいだから、こっちは休憩するね。そっちはどうするのぉ――――――!!」


 ジョー達の方を向いてサイリアは大声で話しかけた。


「なんだぁ――!!休憩かぁ――!」


 ジョーも大声で元気よく返すがメリーダの方は息も切れ切れでへばっていた。


 あれから、ジョーとメリーダは長時間の打ち込み稽古をずっとやっていた。スルリスルリと逃げるジョーにメリーダは連続で打ち込んでいくが、受けられ、あしらわれ、はらわれ、流され、全くいい所が無いまま体力が切れていた。


「よし、こっちも休憩しよう!!」

 ジョーが元気に言うが、メリーダはコクコクと頷くのみ、カティアと同様の反応だった。


***


 ――そのまま草原に布を敷き、カティアは寝転んだ。


「お嬢様、はしたないですよ……」

 メリーダは小さい声で注意する。


「いいの……疲れちゃったから……」

 カティアは仰向けに寝転んだままメリーダに告げる。

 決して淑女(しゅくじょ)に見えない行いだが――そんなことは構わない感じでそのまま空を見上げていた。


「カティア、メリーダ、“薬水”と間食用食べ物持って来たよ」

 サイリアが馬車から木の籠を持ってきた。

 薬水とは――回復薬(ポーション)のかなり薄い効果の水。ほぼ水分補給と軽い体力、魔力の効果がある飲み物。サイリアの手作りだった。


「わぁ――、ありがとうございます、師匠!」

 カティアはムックリと起き上がり、そして目を輝かせた。


「わざわざ、ありがとうございます。サイリア師匠」

 メリーダは丁寧にお礼を言う。


「いいの、いいの。さぁ食べましょう」

 そう言ってサイリアは食べ物を配った。

「あれ? ジョー師匠は?」

 カティアは木製の水筒を受け取りながらそう言った。

「あぁ…、ジョーは愛馬に水をあげているの」

 サイリアの言葉にカティアは馬車の方を見ると――ジョーが桶を近くに置いて、馬の首元をなでていた。


「ジョー師匠は休まないの?」

「別にいいって……さあ、それより食べよっか!」

 サイリアも布の上に座り、籠の中に入っているフカフカのパンの中に(いぶ)した肉、卵を切っていれ、シャクシャクして瑞々(みずみず)しい野菜、シャレタツの野菜を挟んだ料理を差し出した。


「わぁぁー、美味しそう!」

「これは豪華ですね」

 カティアもメリーダもサイリアの料理を褒めた、


御世辞(おせじ)はいいから早く食べましょう」


 そうして、サイリア、メリーダ、カティアは料理を頬張っていく。――


「わぁー、すっごく美味しい。師匠は料理も上手ですね!」


「これは、見事です、特にソースがピリッと辛いのと、甘く濃厚なのを2つ入れ。それが見事に混ざり合っています。それに燻した肉のいい香りと塩の効いた卵、そしてシャレタツの野菜の触感がまた…いいです」

 カティアとメリーダは料理を食べながら褒めていた。


 サイリアは嬉しそうにして「さぁ、もっと食べて、食べて」と2人に進めている。


 ――そのまま女子会のように(かしま)しくお喋りをしていく3人だった。


 その後ろで――ジョーは1人疎外感を持って立っていた。


【これは、出遅れたな……この輪の中には入りづらいぞ】

 ジョーが背負っている蛇腹刀がそう告げる。


「わかってるよ、スネーク。女が3人集まればこうなるのさ……」

 ジョーは頭を()きながら、楽しくお喋りしている集団に向かっていった。

 

 まるでゴブリンの巣に飛びこむように――。






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