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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第3章; 御嬢様の御弟子入り
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訓練2

 カティアがいつも使っている武器は護身剣と呼ばれる『スモール・ソード』と刺突剣の『レイピア』を主に使っていた。

 力が無くても扱い(やす)く、軽い為、女性冒険者でも人気の武器の1つにあたるものでカティアもそう言う武器を選んでいた。

 剣の基本は突きである。最短を打ち抜く攻撃は避けにくく、そして身体の速度が合わされば更に速く敵を攻撃できる。

 だがら、カティアはジョーに挑む時は迷わずにいつものように突撃して、右手に持った木剣で、右足を踏む込み、右腕も伸ばすそして――。

「いっけ―――!」

 そう掛け声をしてカティアは全てを合わせ渾身の『突き』を放った。

 しかし、水の剣の構え《※正眼(中段)の構え》のままジョーの身体がブレたかと思うと、――[バシッ!]という音とが鳴り、カティアの右腕に痛みが走った。

 

 ジョーは左に避けるとカティアの伸びきった右手に持つ剣をそのまま撃ち落としたのだった。

 

 カティアの右手に持っていた剣が無くなった事を自覚する間も無く、ジョーはカティアに足払いをかけていた。踏み込んでいた右足にそっと当て、左手で絡めとるようにカティアの右手を引っ張るとカティアの身体が宙に浮いた。

 カティアは浮遊感を覚え、そして急に天地がひっくり返ったかと錯覚して、そのままお尻から倒れ、背中をうった。


「キャッ!」


 ――と可愛い声を上げ、そのまま仰向けの体勢になり背中をうった反動で起き上がる事も出来なかった。

 そんな体勢のカティアにジョーは止めというように胸元に木剣を突くとそのまま止めた。


【勝負あり、ジョーの勝ち!】

 地面に刺さったままのスネークがそう宣言する。


「痛ったい!……」

 そういってカティアは沈痛な顔をしていた。

「カティア、不用意に飛び込み過ぎだぞ、それに武器は離しては駄目だ」

 ジョーはそう言って離れると、カティアが落とした木剣を地面から拾った。


 カティアは「ハイ、師匠!」と言って立ち上がるとジョーから渡された木剣を受け取った。


「じゃあ、もう1回だ」

 ジョーはそう言うと、カティアと距離を置いて構える。

 カティアもすぐさま構えていた。今度はジョーと同じ水の構えのままジリジリと間合いを詰めていく。

 そしてカティアは一足飛(いっそくと)びの間合いに入ると躊躇(ためら)わず火の構え《※上段の構え》に変えると、そのまま飛びかかる。


「必殺――!」――カティアはそう大声を出す。


 今度は、ジョーの動かずにそのまま剣を受ける。鈍い音が剣と剣の間から聴こえ、そのまま鍔迫り合いのような体勢になった。

 すると――すぐにジョーは木剣をずらし、カティアの木剣を抑え込む、剣が下がっていくと、ジョーは身体を密着させる――そして。


[ドンッ!]という音がしてカティアが吹き飛んだ。


「キャァッ!」と言う悲鳴と一緒にそのまま地面に転がるカティア。

 

 そのまま倒れ込んでいるカティアにジョーは頭に木剣を突きたてた。


【勝負あり。ジョーの勝ちだ】

 スネークがそう宣言した。


「ぅぅう、強い……、ジョー師匠本気!?」

 カティアは立ち上がりながらそう言った。ヨロヨロと剣を杖代わりに立ちあがる。

「全然、本気の“ほ”の字も出してない、それよりも、カティアに尋ねる事があるんだ――」

 ジョーは真剣な顔つきになった。


「な、なんですか? それになにかありますか?」

 急に真剣な表情のジョーに対し、気持ちが尻込んでしまうカティア。


「いや、なんで攻撃前に声出すんだ? “必殺――!”とか言っていただろ? アレって意味ないよな、攻撃の時機を自分からばらしているよな、フリでも無いし、正直にそのままだし……」

 ジョーがそう告げると、カティアは言っている意味が分かり、徐々にモジモジとしだした。兜の隙間から見えるカティアの顔は真っ赤になっていた。


「……劇を見て、そっちの方がカッコイイかなって思ったから……」

 カティアは途端に小さい声でジョーに告げた。


(……あぁ、アレか町中で稀にやっているお芝居の事ね……)

 ジョーはそう考える。


 カティアやジョーが思っている劇とは芝居のことであり、定期的に町で(もよお)されている娯楽であり、内容はどこにでもある、巨悪な敵に勇者が挑み、“必殺技叫び倒す”子供向けの芝居の事だ。大人用もあるのだが、そちらは恋愛系、文学系のちょっと難解な芝居だった。


 ジョーはカティアの子供じみた考えが可笑しくなり、始めは普通に我慢していたが――[ブハァ! クックックッ……]と笑いだした。

 顔を歪ませて笑いだすジョーに、カティアは「酷い! 師匠!」と顔を赤らめて怒っていた。


「……悪いな、カティア、余りに……クックッ…幼い発言だったもんだから」

「だからって、もう――!」

「あぁ、まさかの答えだった。それよりも――」

 ジョーは真剣な表情に戻った、――そして――。

「カティア! 1つ言っておくぞ、実戦だったら、魔物なんてその言葉を言う前に突っ込んでくるぞ、言い終わる前に攻撃を受けている。それになんで丁寧に攻撃の初動を教えているんだ、それだったら何も言わないでいきなり飛び掛かった方が有効だぞ。カティアはどうも隠れて攻撃しないよな、魔術も行使する時も余計な発言してから攻撃するだろ? 冒険者の基本は物陰に隠れて一撃で倒すのが理想だぞ」


「でも、でも……カッコイイから……憧れるし……魔術行使だって魔韻(スペル)を唱えなきゃいけないから……」

「駄目、止めなさい。それに魔術行使する時も余計な言葉が入っている癖があるよな……」

 ジョーの指摘にカティアの兜の中の顔は茹であがるほど沸騰していた。


 実はカティアの得意魔術である“重層火炎弾(ケルべニック)”の発動前にも『私を輝かせなさい』、『燃え尽きろ、紅蓮の火焔(ほのお)』等の余計な言葉を付けたしていた。

 今までの依頼の最中も何度かあったのでその事をジョーは指摘している。

「サイリア、魔術の魔韻に余計な言葉って必要なのか?」

 近くでジョー達の訓練を眺めているサイリアに訊いてみた。

「ア―――、えっとね、ジョーが考える以上に魔術って本人の想像が大事なんだけど……本人の想像しやすい言葉を言うのは威力が向上することがあるけれど……まぁ、なんて言うのかな……カティアちゃんのやり方も悪くは無いっていうか……」


 サイリアは歯切れ悪く言葉を選んで話している。

「でも、奇襲用に魔術は小声でさらに魔韻(スペル)は短縮するように特訓するのが基本だろ? 理想は無詠唱での行使だっけ?」

 ジョーはサイリアに言うと、「……まぁ、その通りよね」とカティアを横眼で見ながらそう言った。


「カティア……わかっただろ、これからは余計な言葉は禁止する。“普通”の冒険者のやり方で訓練するぞ」

 ジョーがそう告げるとカティアはコクコクと無言で頷いた。





何だろう、いきなり夢の無い話でごめんなさい。

やはり魔術や、必殺ナニナニ剣!などの台詞を言った方が良いのはわかってますけど、こっちはもっと現実的にしたい小説なんで……。

物凄く長い必殺技を言いながら倒すヒーローモノがありますがこちらは律義に待ちません。

隙を見せたら飛び掛かります。主人公が敵に囲まれたら、順番に雑魚が襲いかかる事も無いように話を進めていきたいです(希望です)

出来るだけ、リアリズム重視で!

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