乱戦突入
【ジョー、コイツの血は美味くないな】
引き抜いた蛇腹刀に滴る血が消え、スネークはそう言う。
「違うぞ、こいつは数を食べれば美味しくなるんだよ。まだまだいっぱい“おかわり”がくるから」
【不味い飯で腹一杯は嫌いなんだが……仕方がないな】
スネークは観念したように言うが、言葉の最後から残念そうな雰囲気が漏れる。
ジョーとスネークが話している後ろでサイリアが呪文を唱え始めた。
杖を突きだし精神集中している。
「異界の門よ、開け、此処に契約を命じる、我を助け、力を与えよ。水精霊召喚」
すると、サイリアの周りに水の粒が集まり、それが少しずつ大きくなっていく、そして踊るようにサイリアの身体の周りを舞うと、杖の周りに集まり始め、水玉が圧縮され。深く濃い青い20cm程の球体になっていた。
「ウィンちゃん、よろしくね。私達を助けて」
サイリアがその球体に話しかけると。水の球体の周りに水の輪っかが現れて振動している。
まるで“まかせなさい”と言っているようだ。
「やっぱり、可愛いわね」
サイリアがそう言うと、ウィンティーネは輪っかを何個も作っていた。
「サイリア、召喚終わったのか」
ジョーがサイリアの方を向いてそう言うと。
「終わった、可愛いでしょ」
と満足げな表情をジョーに向ける。
「ハイハイ、かわいいから、準備してくれ」
取ってつけたような言い方でジョーは呆れている。
近く岩陰で秘かにカティアが目を輝かせて「……私も精霊召喚したい」と言っていた。
そうこうする内に、森の奥から――
[ボオォ、ボオォ、ボォ、ボォ、ボォ……]という鳴き声が聞こえてきた。
今度は複数来ているようだ。音が絶え間なく聞こえ重なっている。
ノフューマが群れで3匹現れた。
「ボオオオオオオォォォォォォ!」
ノフューマの群れの1匹が咆哮して手で胸を叩き威嚇していた。
「やるぞ、サイリア、準備してくれ! カティア達を守る事を優先させろ!」
ジョーはそう叫ぶように命令を飛ばす。
そしてすぐに向かって来た3匹の先頭を走るノフューマに蛇腹刀を正面に突き出した。
伸びる剣撃はそのままパフューマの顔面を捕らえようとするが、その時、ノフューマは腕を交差させ防御体勢を取る。
ジョーは素早く剣先を操り、突き咆哮を腹に変更させた。
曲がる剣撃になりそのままノフューマの腹に刺さる。
その時、[ゴエェェェ!] と痛がる声を上げるノフューマだった。
その行動に後ろを走っていた2匹の動きが停まるような素振りを見せるが、ジョーは剣を伸ばし刺さったままのノフューマに向かって肉体強化魔術を最大にして突進すると、蛇腹刀を連結させ元に戻すとそのままの勢いでノフューマの腹を引き裂いた。
剣先から内臓のようなモノが飛び出ていた。
ノフューマが断末魔を上げる暇もなく、ジョーは素早く体を入れ替え。そのまま蛇腹刀を切り上げる。
腹から顔にかけて真っ二つになるノフューマ。
血が飛び散りジョーにもかかっているが気にしていない。そのまま絶命したノフューマを蹴り飛ばすと。
動きを止めて固まってしまっていた、もう1匹にぶつかる。
その事でノフューマは同族の血で眼つぶしにあい、目をつぶって止まっている。
パニックになった1匹のノフューマをジョーは見逃さない。
すぐにそのまま上に振りかぶり、頭部に一撃を入れると、頭が割れ、目玉が飛び出したノフューマの死骸が増えた。
ジョーが2匹目を仕留め終えてからすぐに残りの1匹であるノフューマがそのままジョーに向かって来た。
その事を察知したジョーは素早くその場から横に跳躍すると、そのまま距離を開ける。
が――その時。
細い、砲弾のような線上がノフューマの身体を突きぬけていく。
するとそのまま、残りのノフューマはジョーに向かう途中でゆっくり倒れて、そのまま絶命していた。
サイリアのウィンティーネが水弾を創りだし、そのままノフューマに放っていた。
(まったく、サイリアよりも正確で強力な援護だな……、あいつ、召喚精霊出しとくだけでよくないか?)
ジョーは剣を構えたまま、横を向きサイリアをみた。
サイリアはウィンティーネを褒めている。
「ウィンちゃんスゴイ!」
そう言って手で水の球体をパチャパチャと叩いている。
ジョーはその様子をみて、血塗れになった自分の顔を左手で拭う。
――湖畔には4匹のノフューマの死骸が倒れていた。
その中心にジョーがいる様子をカティアは口を開けて眺めていた。
無言のままジョーを見ている。
そして――また森の奥からノフューマの鳴き声が聞こえてきた。
【ジョー、おかわりが来たようだぞ】
スネークはそう言って知らせる。
「ああ、どうやら今度はもっと多いな」
【……力を貸そうか】
「じゃあ、危険になったらな……」
ジョーがそう言うと今度は5匹のノフューマが姿を現す。
「くそ、“本隊”が近づいてきたのか……」
【その可能性が高いな】
ジョーは愚痴を言って、スネークが冷静に言葉を返すと、ノフューマの群れは集団で威嚇をして、まとめて襲いかかってきた。




