表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第3章; 御嬢様の御弟子入り
44/443

お嬢様と仲直り

 ジョーは頭をポリポリとかいていた。

 カティアに笑顔を向けられて少し戸惑(とまど)ったような表情だった。

 その様子をカティアは不思議そうに眺めている。


「……ジョーさん?」


「なんでもないよ、カティア。俺も色々言ったが落ち込む必要も無い。始めから完璧にできる奴はいないって事だ。人それぞれで特技も得意な魔法も違うからな。得意な所を伸ばす奴もいれば、苦手な所を直そうとする奴もいる。でもなんでもこなせる奴は(まれ)だ。

だから、チームやパーティを組んだり、団に入ったりして自分を磨く。

そうやっていく内に強くもなる。それに……カティアにも友達なり大切な奴が出来るかもしれない。そう言う奴と組んで頑張るんだぞ」

 ジョーは笑顔でそう言う、初めのころのトゲトゲした感じは無くなっていた。


「……うん…頑張ります」


「ああ、先ずは、攻撃的に会話しちゃ駄目だぞ」


「でも……ジョーさんだっていきなり殴った」


「…………」

【言われてしまったなジョー。その譲ちゃんの言う通りあれは、ジョーが悪い】

「なんだ、起きていたのかスネーク」

 ジョーの背中に背負っている蛇腹刀のスネークがいきなり声をかけた。

 その声にカティアはギョッとして。辺りを見回している。

 ジョーはそれに気付いて、背中から蛇腹刀を抜くと地面に突き刺しカティアに見せた。


「カティア、喋っているのはコイツだ」

 そう言ってジョーは目線を下げる。

カティアは蛇腹刀をマジマジと見つめると剣についている宝玉が目玉のように動き出した。

「きゃあ! ……もしかして魔剣ですか?」

「ああ、そうだ、名前は“スネーク”だ」

【おい、ジョー、名前が違う“カミ”だといっているだろ……まったく】


 カティアはそう言ってじっくりと蛇腹刀を見た。

「もしかして“生命の宿る武器(ライフウエポン)”? 初めて見た……」

 そう呆けているカティア。恐る恐る(さわ)ろうとするが……。

「止めておいた方が良い、そいつは()みつくぞ」

 ジョーが注意するとカティアはすぐに手を引っ込めた。


【ジョー。おれは無闇に()(くせ)はないからな…、まぁいい、お嬢さんはじめましてだな】

 スネークはそう挨拶する。

 カティアは頷くだけだ。

【そう驚くなよ。ジョーの相棒だ、よろしくな。それにずっと(そば)にいたじゃないか】


「ハイ、はじめまして……、ほんとに喋ってる。魔剣で“生命の宿る武器(ライフウエポン)”って教科書だけに載っているモノだったから……」


【おいおい、実在するよ。まぁ、それ位伝説で貴重だから丁寧に(たてまつ)ることだな】

「スネーク、冗談はよせよ。初対面の奴を(だま)すな」

 ジョーは溜息混じりにそう言って、背中に蛇腹刀を戻す。


 カティアはその様子をずっと眼で追っていた。

 すると……。

「ジョーさんは魔剣使いの《魔剣騎士》だったんですか!?」

 と驚きの声をあげた。


「ああ、そうだな。俺の国じゃ《魔剣士》ともいうがな」

「じゃあ、魔剣と契約すると、なにか代価を払うっていうのは本当なんですか」

 カティアは興奮気味にジョーに質問する。


「ああ、毎日の手入れが代価だな……」

【おい、それは違うだろ! それもあるが使用者の魔力と美味い魔物を食う事が代価だ……】

 スネークはジョーの言い方に抗議の声を上げる。

「……、まぁ、代価なんて無いってことだ」


「ええ、魔剣は凄い力を授けてくれる代わりに何かを差し出すって書いてあったのに」

 凄く残念そうな顔をしたカティア。

「まぁ、魔剣でもピンキリだからな、それに眉唾(まゆつば)モノの話なんてそこら中に転がっている、もし発見しても期待しては駄目だぞ」

「ハイ、……でも、ジョーさんはどこで魔剣を手に入れたんですか?」

「ああ、俺の場合、実家に封印されていた。俺の力に呼応してスネークを呼び起こしたんだ」

 そう得意げにジョーは言った。

【違うぞ、暇だったから契約してやっただけだ】

 そう言うスネークを、ジョーは後ろに手伸ばし(つか)を叩いた。


 その様子をみてカティアはクスクスと笑う。


 ――そうして、カティアとジョーは話をしていた。


***


 少し離れた湖畔でサイリアとメリーダはジョーとカティアの様子を観察していた。


「よかったです、お嬢様が笑っていらっしゃいます……」

 メリーダは母親のような顔で見つめている。

 

 しかし、隣にいるサイリアは人見知りのせいか、戸惑っているような感じだった。

 チラチラと眺め、2人の様子を観察している。

 人見知りのサイリアはメリーダさんと何となく2人っきりになって落ち着かない様子だった。

 

「そ、そうですね、よかったです」

 そう、固い笑顔でメリーダに相槌をうっていた。


「お嬢様は最近お元気が無かったので嬉しい限りです……」

 メリーダはそう言いながら頬の辺りを持っていたハンカチで(ぬぐ)いながら喜んでいた。


「あ、あのう、まるで母親のような心配をなさるのですね?」

「ええ、私はカティアお嬢様の教育係兼世話係ですから……旦那様も『カティアを頼む』と言われましたから。何より大恩あるベルンバッハ家の為です」

「へ、へぇ、随分と大きな御恩(ごおん)があるのですね……」

 サイリアは先ほどからどうやって会話を広げようか思考(しこう)錯誤(さくご)している。

 メリーダも涙を拭きながらサイリアに向き合った。


「ええ、なによりお亡くなりになった奥様との約束ですから……最後に私に言われました。

『面倒を見てやってと……。』私は幼い頃よりベルンバッハ家にお世話になって来ましたから、それを守ろうと……」


 メリーダはそう言う、サイリアはかなり深く濃い話になってしまい、どんな返しの言葉を言えばいいか分からずに……。

「へぇ~、それは忠義者ですね……」

 と無表情で言うしか無かった。


 ――その時。


「お~い、休憩長いんじゃないか?」

 と向こうからジョーが声をかける。


 サイリアはホッとした顔をして、「わかった、すぐに始めるね!」と大声で叫んだ。


 その後、カティアとメリーダ、そしてサイリアは薬草採取を再開する。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ