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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第3章; 御嬢様の御弟子入り
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お嬢様は落ち込む

2016/12/3/改訂

「うう、気持ち悪い、()ぐ時の感触がまだ残っている……」

 カティアは青い顔をしながらそう言った。


「お嬢様、これも冒険者になる大事な事ですよ」

 メリーダはそう言った。

「わかっているわ、ちょっと言葉にしていっただけ」

「それならいいんですが、あまり文句を言うとジョーさんに怒られますよ」

「…うぅ、黙っているから、大丈夫……文句じゃない、感想だから……」

カティアとメリーダはジョーを先頭に森の中を進んでいく最中(さなか)、そんな話をしていた。


「始めはそんなものよ。みんな通る道よ」

 カティア達の後ろにいるサイリアがそう言った。


「サイリアさん、そのような助言ありがとうございます」

 メリーダは後ろを向いてお礼を言う。

「そうよね、その……サイリア…さんも、冒険者を始めた時はそう言った経験をしてきたのですか?」

 カティアは会話しにくそうに、そう訊いてきた。

「ま、まぁ、そうよね、カティアちゃん……あっ、ごめんなさい、カティアさんも始めてはそんなものよ、私だって(いま)だに慣れないもの」

「呼び方はどっちでもいいです。『カティア』って呼んで下さい。サイリアさんは先輩…ですから」

 

カティアはそう落ち着いて言う。サイリアのように緊張してオタオタして無かった。

 始めの頃のようにカティアの狂犬ぶりはなりを潜めていた。

 ジョーの始めの対応ですっかり牙を抜かれてしまった。


「そう、ではお言葉に甘えてカティアと呼ばせてもらうわ」

「ええ、かまいません、それで聞きたい事が……ジョー…さんは、昔からああなのですか?」

 カティアは顔を歪ませ、悔しそうに聞いていた。

「う~ん、そうだけど、ジョーは無駄な事は言わないわよ。それに言い方は乱暴だったかもしれないけど、それにはそこまで来る経緯があってそれで…少し機嫌が悪いのかな?」

「そうですか……、あの、それで。私は冒険者としてやっていけますか?」

 カティアは真剣に訊いた。

 その問いにサイリアは戸惑う。

「え~と、……正直にいうけど、わかりません」

「そうですか……さっきから失敗ばかりだからなのかなぁ……」

 そう言ってカティアは落ち込んだ。

 暗い表情になりながら下を向く。

「お嬢様、大丈夫ですよ」

 メリーダは(はげ)ます。


「落ち込まないで、そうじゃないから、さっきの対応は不味かったけど、私もやった事あるし……それに、冒険者にとってじゃないけど成功する人は『人の教えを聞く人』だって教えもあるから」

 サイリアはそう言って励ました。


「知っています。たしか冒険者の心得で『人の教えを聞く者は良し、良き人に教わるはなお良し、そして人に教える者はさらに良し』の事ですよね。わたしは教わる人がよく褒めてくれたのでそれで良いのかと思って……」


「う~ん、たしかにカティアの話を聞くと……そうねぇ、もしかしたら教えてくれた人がちゃんと教えなかったのかもしれないわね」

 サイリアもそう言いながら難しそうな顔をした。


「それって、どういう事…ですか?」

カティアはそう言ってサイリアを見つめる。


「そうね、カティアは冒険者学校に行っていたけど、そこで褒められて注意されなかった。話を聞いていたらそう感じた。それってつまり“ひいき”されていたってことでしょ?

カティアは領主の娘さんだがら、遠慮(えんりょ)して言えなかったんじゃないのかな? それに貴族の娘が冒険者になる事なんて少ないもの、没落貴族でもないかぎり危険な仕事はしないと思う。向こうも本気でなろうとは思って無かったとか考えられるわね」


「そうだった…そうよね…」

 そう言われ、カティアは落ち込む、思い当たる節があったようだ。

 その落ち込みようにサイリアは(あわ)てていた。


「でもね、良かったじゃない、失敗は早い方がいいでしょ、学ぶ事が大事だってジョーは前に言っていたし、それにジョーは貴方達を心配して言ったのよ。冒険者として成長する為に必要で大事な事を、ちょっと口が悪いけどジョーは伝えたじゃない」


「…そうね……そうだった、ジョーさんは……わたしにちゃんと教えてくれた」

 カティアはそう小さい声で呟く。


「元気だしなさい……まだ、始ったばっかりじゃない」

「うん、そうする……します。サイリア…さん」

 カティアは笑顔になった。


「お~い、周りの警戒を怠るな、お喋りばかりしているなよ」


 ジョーはそう言って注意する。

 その言葉に「ハイ!」とカティアは素直に返事をした。


 ジョーは前に向き直って、また歩き始めた。


【素直な子じゃないか、初めは生意気だったが……】

 小さい声でスネークがジョーに話かける。

「スネーク、やっと喋ったか。……俺がガツンと言った効果が出たな。まぁ、それよりも冒険者として成功するには素直さも大事だよな」

【うむ、そうだな、ジョーはひねくれているがな】

「小言はサイリアだけで十分だよ」


 そう言ってジョーは剣の柄を叩く。


※※※


 ――そうして、森に置くにある薬草が群生している湖の近くまでやって来た

 湖と言ってもそれほどの大きさも無いが池よりは大きい。

 辺りには草花が生え、苔のついた岩が転がっていた。そのまわりを木々が覆い。森の憩いの場として小動物が水を飲みにやってきている。

 風が水面を凪いでそこに当たる陽の光が反射して湖をさらに輝かせていた。


「わぁ、奇麗なところ!」

 カティアはそう言って感想を漏らす。

「お嬢様本当ですね」

 メリーダもそう言ってカティアと湖を眺めていた。


「カティア、メリーダさん、こっちにきて、ここに薬草が生えているから」

 サイリアはそう言ってカティア達を呼び寄せる。

 その間、ジョーは周囲の警戒しながら進んでいた。


 サイリアはカティア達と一緒に岩場の奥にある湖の畔の一画にきていた。

 そこにはキラキラと光る草花が群生していた。


「では、これから、基本である『薬草採取』のやり方を教えます」

 サイリアは2人に宣言するように言った。


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