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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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決着

 オジュール達はそのまま敵軍を切り裂いて進んでいた。

 大爆発の後の一瞬の攻めどきを見逃さないのは用兵術にすぐれるオジュールならではの事だった。


 彼らはそのまま小鬼達の死骸を草原の真ん中に築きあげながら進んでいく。

 奇声と悲鳴をあげ怯む小鬼の大群達、いつの間には攻守は完全に逆転し始めていた。

 冒険者は声をあげながら修羅(しゅら)の如く小鬼達を殺戮(さつりく)していった。

 戦場は佳境(かきょう)に入っている。

 ここでオジュール達冒険者の最後の力を使いこの突撃が効かなければ意味が無かった。冒険者も限界に近い者が多数居る事は誰の目が見ても明らかだった。

 

 ――そこにいるオジュール達に吉報が舞い込んでくる。


「オジュール、アレを見ろ、森にいる小鬼が騒ぎ始めているぞ」

「なんだ、どこ行ってやがんだぁ~?」

 冒険者達が戦いながら戦場の変化に気がつき始めた。

 オジュールも小鬼を切り裂きながらその現象を横目で確認した。


(ありゃ、逃げ出しているな……)


 オジュールはそう思った。

 小鬼達は敗走を始めたと―――、そのまま直ぐに冒険者達の近くに居る小鬼達も騒ぎだす。遠くから聴こえる警戒音に反応していた。


 ――そして、そのまま奇声を上げ一斉に草原から逃げ出し始める小鬼の群れ。


 今度は四方八方に逃げだした。無様に、そして素早く大軍が逃げ出す。


「オジュール、追うか?」

 1人の冒険者が言う。

「いや、いい、このまま逃がしてやれ。 それより勝鬨(かちどき)をあげろ~~~!」


 持っている剣を上にあげながらオジュールはそう全員に命令した。

 その命令にすぐさま従い。


 ――その場に大歓声が巻き起こる。


※※※


「お~い、副団長!!」

 団員の誰かが言う。オジュールの眼に翼陽の団のヒュール達が馬に乗って返ってきた。

 オジュールは立ち上がり直ぐに出迎える準備をする。


「よ、ご苦労さん、ヒュール、ジョー、アンジー、ラビス、ラリー」

 すぐにそう今回の戦闘の主役に労いの言葉を掛けていく。


「オジュールもやったな」

 ヒュールは馬を止め、降りながらそういった。

 他の者達もそれぞれが馬を降りる。


「ご苦労さん、オジュール、他の奴らはどうした」

 ジョーはオジュール達に近づいてそう言った。


「お疲れジョー、 お前の相棒のサイリアなら向こうにいるよ」

 そう言ってオジュールは自身の後ろを指差す。


 そこには後衛達が全員で纏まって休んでいた。


【では、サイリアの所にいくか、寂しいがっているだろうからな】

 親のような目線でサイリアを心配するスネーク、ジョーはそんな発言をする自分の背中にある愛刀を一目見ると、そのまま吹き出してしまった。


「クハッ! 母親気分かよ、スネーク!」

【……、うむ、そうかも知れないな】

 と、自分の発言を肯定するスネークにオジュールもヒュールも笑っていた。


 ジョーはオジュール達の邪魔をしてはいけないと思い、その場を去ってサイリアの元に向かった。


 ジョーとスネークは小鬼の死骸まみれになった戦場を歩く。

 煙と生臭い匂いが鼻につくが気にした様子も無く、むしろ下にいる死骸に転ばないように気をつけながら歩いていた。


 サイリアは小さい樽を椅子にして休んでいた。

 向こうもジョー達に気がついて立ち上がり駆け寄ってくる。


「ジョー、スネーク、大丈夫だった?」

「ああ、サイリアの方も怪我人はでなかったか?」

「重傷者は出たけど、致命傷の人は出なかった」

【生き残れれば、それでいい】


 2人+武器生命体はいつものように冒険者“双蛇(ツインスネーク)”として仕事の終わりを労い始めた。

 いつのまにか同じようにチームでお互いの無事を確認し合う冒険者たちで溢れていた。

“ミラーキャット”のラビスとアンジーもミレイと抱き合っている。


 こうして、戦場に冒険者の笑顔と歓声、話声があふれだした。


※※※


 勝敗のついた戦場は落ち着き始める。

 

ジョーとサイリアはここに来た時に止めてある自分の馬車の所に戻って町に戻る準備をしていた。


「ジョー。本当に帰ってよかったの?」

 サイリアは馬を撫でながらそう言った。

「いいんだよ、俺らは仕事はした。後は王国軍の仕事だろ、片付けとかその他の雑事も含めて……」

 ジョーは荷物を確認して馬車の繋ぎ目の金具を確認していた。

「でも、小鬼の死骸も焼かないといけないでしょ?」

「ああ、そんなもん、王国軍にやらせとけばいいだろ、サイリア、領分だよ、領分」

 そう言いながらサイリアのいる場所にジョーはくる。そして手綱を取って馬の方向を変えていく。

「サイリア、それより乗ってろ、俺が先導するから」

「……うん」

 サイリアは納得していない様子だった。

「……その辺は後で説明してやるよ、早く、馬車に乗りなさい」

 そう命令口調で言った。

「わかったわよ」

 そういってサイリアは馬車に乗り込む。

 ジョーはそのままゆっくりと他の馬車の間を抜けながら進んでいく、そして操縦がしやすい場所まであるいていった。


***


「サイリア、今回の戦は王国軍主導だって説明したよな」

 ジョーは馬車を運転しながら隣にいるサイリアに説明を始める。

「そうだけど、最後まで手伝わなくていいの?」

「そりゃだめだろ、向こうが惨めすぎる、サイモンだって帰っていいって言ってたじゃないか?」

「そうだけど、惨め? なんで、かなりの人数減ったんじゃないの? 死者も相当だって聞いたわよ。さらに片付けなんて大変じゃない?」

「そうだな、でもそれは冒険者と王国軍兵士の違いだ、俺らはカネで向こうは名誉で動いている。建前上はな……」

「???」

 ますます不思議そうな顔をするサイリア。

【ジョーはこう言いたいんだ、サイリア、これ以上手伝ったら彼らの名誉を傷つける。向こうは、すぐに瓦解して、大多数が逃げ出したからな……】

「そう言う事だ、サイリア。意地みたいなもんだよ、難しいけどそれが“領分”てもんさ、だからサイモンも帰っていいといったんだ。それに無理だったら冒険者に“片付けの依頼”でもするだろうからな……」


「王国兵士っていうか、男って馬鹿ね……、意地はって」

 サイリアが溜息混じりにそう言った。


「まっ、そういうもんだ。あくまで冒険者はカネで動かないとな……、それより明日冒険者組合で祝杯をあげる用意があるらしいけどいくか?」


「ほんとは、……行きたくない!」

 人混みが苦手なサイリアは思わずそう言って苦い顔をした。


「食事も出るぞ、1食分浮くな」

 ジョーがニヤリと笑いそう言うと、サイリアも「……行こう」と言って了承した。


 やはり意地よりカネが勝る、それが冒険者としての生活だった。


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