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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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王様小鬼討伐戦[10]

 オジュールは上空に赤く光る光と煙を確認する。


「来た。……来た! 来た! 来た!」


 狂喜するように思わず大声を出してしまった。

 待ちわびていた瞬間が訪れたからだ―――『目標(もくひょう)殲滅(せんめつ)』の合図である赤い煙を上空に見つけた。

(よし! やってくれたかヒュール!)

 オジュールは自分の相棒である小人族の男に感謝する。


 戦況はどちらかと言うと押されていた。怪我人が増え、魔術も後衛から行使されなくなってきていた。


 小鬼達の死体の山を前衛陣が造りあげているが。かなり厳しい状態で回復魔術を掛けッ続けなら持ちこたえている。


 戦場は獣と血と煙の匂いで充満しているがそれが更に濃くなっていた。


「オイ! てめェーら! 向こうは決着がついたようだ! これからこっちも攻勢にまわる。戦の前に配った爆薬を投げこめ!」


 オジュールはそう大声で伝達する。彼が配ったのは大砲に発射すると時に使う火薬とそれを包装した紙だ。

 それが大量に余っていたのと王国軍の備品である為に気がね無く使えた。


 オジュールは前衛のガルンとガインがいる場所の後ろまでは走っていく。


「ガイン、ガルン、これから爆発があるから、そうしたら突っ込め!」

そう命令する。


「ガハハハハハ! まかせておけ! 俺は何日でも戦えるぜぇ!」

「しょっしゃああああああぁぁぁ! やってやるぜぇー 兄ちゃん!」


 ガインと、ガルンは小鬼を倒した青黒い血全身浴びで、(よろい)が汚れているがまるで気にしていない様子でただ興奮して騒いでいた。

 他の者も同様に笑っている、狂気に近い感情だか、数多くの魔物と対峙してきた彼らはこのような状況では逆に固く覆っている兜の下で笑顔になり高らかに笑っているのが普通の事だった。

 冒険者によく見られる。戦意高揚状態(ハイテンション)になっていた。

 その言葉を確認するとオジュールは持っていた火薬を前方に投げ込む。

 それに追随(ついずい)するように周りにいる他の冒険者達も投げ込み始めた。


「よし! 後衛は最後の仕事だ! ありったけの炎魔術をぶつけろ!」

 すると後衛から魔術の唱える声が聞こえ多数の炎魔術が前方に飛んできた。

 オジュールはそう命令して自身も「火炎弾(ファイアーボール)」の魔術を唱え前方に放った。


[ドオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォン!]

 激しい爆炎が前方から上がり、小鬼の大群を吹き飛ばす。


 オジュールの所にも熱風と土埃が向かって来て思わず腕で顔を遮り防御体勢をとった。

 すると、埃が風に飛ばされ前方が(あら)わになる。

 多数の小鬼の死骸が転がり、燃え上がっていた。

 

 ――戦場に空白の時間が訪れる。


「ツッッコメエェェェェェェ!」

 オジュールは辺りに(とどろ)く声で命令を下した。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

前衛が大声を上げ全身を開始した。

 初期の配置では逆V字の配置だが前進すると矢印のような鋒矢(ほうし)の陣に変わっていく。

 そのまま浮足だっていた小鬼の群れに突撃していった。


 そのまま綺麗に混乱している小鬼の大群を切り裂くように進んでいった。


※※※


 ジョー達は王様小鬼討伐後すぐにラリーとアンジーの救援に駆けつけていた。

 2人はその場で暴れまわっている。

 小鬼達は先ほど聞こえてきた自分達の頭の断末魔に驚き奇声を上げながら戸惑っている最中だった。


「ドンドン来い! ダァァァァァ!」

 アンジーは3,4匹の小鬼を纏めて大剣で薙ぎ払い両断していく。

 ラリーは息つぎしながら、槍を器用に操り、切裂き、薙ぎ払い、そして細かく一撃で小鬼の喉元と突いて倒していく。


「……風暴切断(ボルカッター)

 ヒュールはそんな2人の援護に、小さな竜巻を小鬼達が纏まっている場所に飛ばしていく。

 奇声と()飛沫(しぶき)が竜巻に巻き込まれ辺りに散っていく。


「おいおい、おせーぞ、みんな」

 ラリーはウインクをしながらそう言った。

「ごめん、ラリー、姉さん、遅くなった」

 ラビスも戦線に到着してレイピアを構える。


【ジョーも後片付けに参加だな】

 スネークは軽口を叩くが、蛇腹刀を片手で肩に持ちあげながら、ジョーは溜息を吐く。

「片付けは苦手なんだよなぁ~」

 と、どうでもいい言葉を吐いて。もう片方の手に持っていた『王様小鬼(ゴブリンキング)の首』をその場にいる小鬼共に見せつけた。


 すると……。

 激しい動揺の声が響き――怯え、戸惑いの表情が小鬼から見えるようだった。

 そのまま、ジョーは“ソレ”を前方に投げ捨てる。


 それが合図になって、ジョー、ヒュール、ラビス、アンジー、ラリーは飛び出した。


 戸惑う小鬼達の集団を襲っていく。


 蛇腹刀を振るい、ジョーは突き刺し、鞭のように古い切裂き倒していく、ラビスもレイピアでアンジーをサポートしながら連携して追い込み始めた。ラリー、ヒュールも小鬼達を襲っていく。


「ギィィィィィィィィィ―――!」


 1匹の上位小鬼(ボブゴブリン)と思われる個体が騒ぎだし、そしてジョー達から反対方向に走って逃げ出していく。

 それを皮切りに小鬼達は後ずさりながら後退してそのまま一気に散って逃げ出し始めた。


 ありきたりな言い方だが『蛇は頭を潰せ』とも言う。

 頭を(つぶ)せば後は烏合(うごう)(しゅう)となり果てるのは人の小鬼も同じだった。


「待てェェェ――、ゴブリン野郎!」

 ラビスは汚い言葉で(ののし)る。


「ラビス、騒がなくていい、このまま逃がせ、どうせ纏まりの無い集団になったんだ、後で狩りに言った方が危険が少なくて済む」

 ヒュールはそう言ってラビスを止める。

「でもぉ~……」

 ラビスは悔しそうにしているが、それをアンジーは慰めるように肩に手を当てていた。


「大勢は決まった。後は殲滅戦さ、そこはオジュールに任せよう」

 ヒュールは冷静に物事を見極めそう言った。

 そして逃げ出した小鬼達を追わずにそのまま「戻るぞ!」と告げて歩いてく。

 その言葉にラリーもアンジーもラビスも従う。


【ジョー、帰ろう、サイリアが待っている】

「わかってるよ、スネーク」


 ジョーは蛇腹刀についた血を払い。持っていた布で拭いていく。そしてそのままヒュールの後を追った。


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