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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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王様小鬼討伐戦[7]

 ジョー達は飛び出した。

 ――が――ジョーだけは違和感を…感じていた……。


(おかしい、あまりに無防備過ぎる……、周りに護衛も居ないのかよ)


 ジョーは肉体強化魔の魔力を脚に集め高速移動をしながらそう思っていた。

 心臓が早鐘を打ち、思考が狭まっていくが、心の隅にその疑問が浮かんできた。おかしいと……ゴブリンだからと言ってしまえばそれまでだが、群れの中心に居るはずのボスが何故近くまで護衛をつけないのだと。

 好機と思って飛び出したが、その疑問に対する答えが見つからないままジョーの前に王様小鬼の全容が見えてきた。


 異様だった、普通のゴブリンと違う大きさだった上位小鬼よりも身体が大きくまるで獣鬼並みだった、それよりも異形なのは脚と手が余計に2脚と2腕ついている、足が合計6本と腕が6本だ、それに異常に下半身というかお腹が膨れていた。それに全体に赤黒く変色していて、通常の小鬼の色よりもかなり変わっていた。


 そのまま、王様小鬼にラビスが突っ込んでいく。

 俊敏性が高い種族なだけに右手にレイピアを持ちそのまま姿勢を低くして森の木々を縫うようにして疾風の(ごと)く近づく………。


 ――突然、王様小鬼がこちらを向いて来る。


 あと少しという所でいきなりだ、直前まで辺りを警戒していない完全に不意打ちに近い形をとっていたのだが――気がつかれた。


 ラビスが後10m程近づいた所で、そのまま王様小鬼はラビスの向かってくる方向から反対に飛んだ。


「なんで!」

 ラビスは思わず声を上げる。

「ラビス、そのまま追撃しろ!」

 すかさずヒュールが指示を出した。

 もう大声でなりふり構わずにそう言い飛ばす。


 そのままラビスは突っ込むが、王様小鬼は素早く横に跳んだ。

 ラビスの突きをそのままかわした。

「嘘!!」――ラビスは驚いた声をあげた。


「ギュアァァァァァ!」――王様小鬼は何かを叫ぶ。

 そして、そのまま手を突き出して、その手のひらから何か白い物をラビスに飛ばした。そのまま白く細いものがラビスの左手に付く。


「な、何これ…」

 ラビスは驚き動きを止めてしまった。


「そのまま動くなよ……炎熱切裂(フレイムリッパー)」――ヒュールがそう言うと赤く発光した短剣を取り出してそのまま白い縄のようなモノを切り裂いた。


ドロォと溶けた断面が見え、見事に白い縄を切り裂くヒュール。


「ラビス大丈夫かい!」――アンジーは後ろから駆け寄った。

「大丈夫、問題無い、少し腕が気持ち悪いだけ」―― 戦闘体勢は崩さずにそう言うラビスだが顔は少し引き攣っていた。

「大丈夫、ラビちゃん、俺の後ろにいなよ」

 ラリーは辺りを警戒しながら軽口を叩いた。

「ラリー、アンジー、心配無いから、ヒュール、ありがとう」

 ラビスは近くにいるヒュールにお礼を言うが、「ああ…」と気の無い返事が返ってきた。

「それより、仲間を呼んだぞ、全員警戒してくれ!」

 そう言うヒュール、とても厳しい顔をしていた。

 

 それもそうだった、予定が完全に狂ってしまった。敵が予想を上回る警戒能力を持っていた事に驚いて最初の一手を完全に誤ってしまった。

 一撃必殺即離脱の予定がここに潰えてしまい、王様小鬼は距離を置き、周りからぞろぞろと小鬼と獣鬼数匹が周りを囲い始めていた。

 王様小鬼は完全に警戒しながらその異形の身体をヒュール達にむけている。その顔もかなり異常だった、小鬼からかけ離れ、眼が余計に3つ付いていた。


 ――そう、いうなれば蜘蛛小鬼と言った風体だった。


「ウゲー、気持ち悪い、アレが王様小鬼、きしょいんだけど……」

 ラビスはもの凄く顔を歪ませた。

「ラビス、すぐに次の行動」――ヒュールは焦り叫んだ。

 どうする、どうする、どうする――と顔に書いてある程焦るヒュール、戦力差は絶望的に近い、周りにいるだけで100匹近い子鬼達がこちらにいる、それに獣鬼も。


「周囲警戒、死角を消して陣形を整えろ」――ヒュールはそう命令を下す。

 すると、「あいよ」、「わかった」、「よし!」と言う声の返事のあと素早く背中合わせになり四方を警戒する。


「ギャウ、ギャウ」――王様小鬼は叫ぶ。

 すると、小鬼達が陣形を広げヒュール達を右に左に移動し始めた。


「チッ、少しはオツムがまわるじゃないか」

「姉さん、これって王様小鬼の指示?」

「まぁまぁ、焦るなって、ラビちゃんもアンジーも俺が守るよっと」


 周囲を警戒しながら、ラビス、ラリー、アンジーはそれぞれ会話になっていない、言葉をそれぞれが発する、話しながら武器を握り反撃の体勢をとっていく。

 じりじりと距離を詰めていく小鬼達。


 するとラビスが……。


「κνѼӚ▽▽○Å**◆、木々を従え!」


 発音が出来ない程の高度な言語を唱えると、辺りの木々がザワザワと揺れ始める。そして地面から植物の根が飛び出し始めた。

 それが周囲いる小鬼達を襲い始める。


 ラビスが唱えた魔術それは『森精霊魔術(エルフエンチャント)』と呼ばれるエルフにしか出来ないと言われる魔術だった。

 木々に自分の精神を使わして操る魔術だが……。

「これ、あんまり長く続かないから、急いでね」

 ラビスはそう言って剣を構え精神を集中させている。


 ラビスの魔術を合図にしたように小鬼達もヒュールを襲い始めた。


***


【ジョー、加勢にはいかないのか?】

「まだだ、スネーク、ラビスの魔術で場が荒れ始めた。このまま死角から一気にあの王様小鬼を殺る」


 ジョーは高い木の上にいた。ヒュールの合図の後違和感を覚え、すぐに木々の陰に隠れそのまま蛇腹刀を使い上に移動していた。

 幸いな事にこの戦場の木々は成長していてかなりの高さと太さがあり木々に隠れやすかった。


「まだ、敵は警戒中だな、……でも好機はある。その時“蛇突”で一気にケリをつけるよ」

【わかった、だが敵も強いかもしれないぞ、どうする?】

「なに、スネーク。『力を貸せ』、そうすれば一発だろ?」

【……一瞬だけだぞ!】

「分かっているよ」


 ジョーとスネークは騒がしくなった戦場を静かに……蛇が獲物を狙うように動きだす


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