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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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王様小鬼討伐戦[6]

 平地の草原に陣を構えた冒険者はオジュールの指揮のもと、何とか耐えて小鬼(ゴブリン)達を迎え撃っていた。

 始めは順調だったがさすがに人数差が約30倍もあると小鬼といえども梃子摺(てこず)っている。

 ガルン、ガインを始めとする前衛陣も奮闘して多くの小鬼を抑えているが徐々に脇に漏れ出した敵の排除に手間取り始めていた。

 防柵で小鬼達の進撃を阻害しているとはいえ中衛40人程度ではその処理にも手間取り始めていた。


(数が多い、さすがに無理があるのか……チクショウが! )

 オジュールは長剣を見事に操り小鬼(ゴブリン)3匹を両断していく。

 返り血も浴びても気にしなくなっていた、それより戦況をよく読んで適切な対応を執る事に尽力していく。


「こっちの数が足りないぞ、急いで援護にまわれ!」

 すぐに指示を飛ばして戦場のバランスをとっていく。

 素早く辺りを見回し状況の確認を行うオジュール。

(ガインとガルン達はやってくれているな、だいぶ抑え込んでいる、が…怪我をした奴もいる……、ちくしょうジリ貧だな、こいつは厳しいか!)

 オジュールはそう思いながら、馬鹿貴族を思っていた、あいつか少しでも兵士を生かした戦い方をすれば活路があったと思っている。

(それに、兵士共も戻って来ないぞ、そのまま逃げやがったな、こりゃ……)

 怒りの表情のまま、襲って来た小鬼数匹を横薙ぎの一閃で始末するオジュール。


「頼むぜ、ヒュール……」

 オジュールは自分の片腕の名前を口にする。

 今回の特攻作戦を発案した者の名を……。


 オジュールはヒュールの言っていた事を思い出していた。

 ―― 《回想》

「この戦い、このままやってもこちらが潰させるだけだ」

「じゃあ、どうするんだ? ヒュール?」

「奴等の頭を少人数で叩く!」

「簡単に言ってくれるなヒュールどうやって?」

「なに、簡単だ、ジョーを使うのさ、あいつは腕が立つからな」

「おいおい、期待しすぎじゃないか、ジョーに!」

「いや、何回か仕事をしたけれど、ジョーはいつも流していたぜ、それに美味しい所をもっていく」

「それって、“幸運な男”ってことか?」

「いや、違うよ、団長、あいつ仕事が上手い、言い方を変えれば……実力を隠しているんだと思うぜ」

「本当か~?」――懐疑(かいぎ)的な目を向けるオジュール

「……まぁ、そこは俺の目利きの腕を信用してくれって……」

 最後はおどけた表情で話しているヒュールを思い出す。


(お前の目利きを信じるぞ、ヒュール……)

 そうしてオジュールは戦場に向き直った。


***


 サイリアは後衛の陣で敵と相対していた。

 気持ち悪い程の小鬼の群れに魔術を発動させていく。

 狙いを定めなくても必ず当たっていた。

「―――、風刃弾(エアーシェル)

 そう言って、前衛の向こう側に無数の風の刃を飛ばしていった。

小鬼達が血を噴き出し倒れていくのを確認するが、すぐに次の小鬼がその場を埋めていく。

 魔力も身体に感じる量も(とぼ)しくなっていた。

(あと……何発撃てるのかしら……)

 徐々に息が上がり、重たくなる身体に自分で(ふる)い立たせながら魔術を行使してきたが、さすがに無限に撃てる訳ではない。

 周りを見ると、“魔力回復薬”を飲みながら必死に魔術を行使している者ばかりだった。


 早い話が打ち止めに近かった、魔術士は魔術が打てなければ一般人と何ら変わりない、非力で殺傷武器も扱えない者に変わってしまう、魔術剣士や魔闘士との存在と違うのだった。


(あぁん、もう…多い!)

 息を整えながらサイリアは必至だった。

 魔力を体内で練り上げて杖に集めるように集中する。

 装備した杖は風魔術を補助する機能も備えているのでここまで多くの魔術を撃ってこられた。

しかし、小鬼の群れが防衛陣の脇にまで到達し、そのまま後衛まで襲いかかってくる。

 前衛の手薄になった所を補助しようとして両脇まで人が足りていなかった。


「誰か! 後衛の守りに入れ! 横から来たぞ!」

 オジュールは命令を飛ばすが人がいなかった。

 そのまま小鬼と獣鬼の集団がサイリア達のいる後衛に襲う為にむかっている。


「ピプゥゥゥ――」

 サイリアの方にいる土精霊(ノーム)が声を出した。


 ――[ジャァァク!]


 目の前の地面が盛り上がり細かい針の槍が小鬼達の身体を突き刺して倒していく。

 断末魔を上げて絶命していくが、獣鬼(トロール)だけは致命傷を免れた。

 

 そのまま突撃を続けていく……。


「――、剣光(スラッシュ)


 オジュールが離れた所から剣を振り抜くと獣鬼の首が飛んで身体がその場に血の雨を降らせながら崩れ落ちた。――


 オジュールの得意技(スキル)の1つ『剣光(スラッシュ)』は魔力を剣に纏わせて剣の斬撃距離を伸ばす技だった。切れ味も鍛錬と魔力操作で上がる剣士独特のモノだった。


「大丈夫か!?」

 オジュールは声をかける。

 その声に反応する冒険者達、皆「大丈夫だ!」と言って返事を返す。

「なに、お前達にはもう手は出させないから安心して魔術を使ってくれ」

 そう、自信満々でオジュールは言った、そしてそのまま前線に戻っていく。


「ノンちゃん、ありがとう」

 サイリアは肩にいる土精霊(ノーム)にお礼を言うと、「ピクゥゥゥ」といって手を上げて答えていた、そしてサイリアの頬を叩いて“しっかりしろ”と言っている顔をしていた。


※※※


 ヒュール達はそのまま静かに進んでいく。

 そして急に横にいるラビスの肩を掴んで停止させる。

 その行動に一同の動きも止まった。

 ヒュールは素早く後ろに手で合図を送り(しげ)みに移動しながら背を低くするように合図を出す、そしてゆっくりと手で進行方向の先を指した。


 そこには小鬼の群れと獣鬼数匹、それに異様で大型の小鬼が見えた。

 ジョー達との距離は目測で50m弱あった。


 ヒュールはそのまま集まるように合図する。

「どうだ、あれが王様小鬼(ゴブリンキング)だと思うが……」

 ヒュールは小声で話し出す。

「…確かに異形だな、一発で変異種だとわかったよ」

 ジョーも小声のまま話した。

「…でも、待って。ちょっとここから一撃でやるの?」

 ラビスも当然小声で話す。

「…確かにラビスの言う通りだね、ここから相手は丸見えだけど気がつかれずに殺せるかい?」

 アンジーも小声で話す。

「10秒ちょっとか……、油断してれば楽勝なんだが…」

 ラリーも小声で話した。

「それでも、やるしか無い、行こうぜ……」

 ヒュールは決意を固めた声でそう言った。

 その言葉にジョー、ラビス、アンジー、ラリーも静かに頷いた。

「じゃあ、合図する、そしたら飛び出してくれ、そしてそのまま王様小鬼だけを狙えよ」

 ヒィールの言葉にジョー達はバラける。


 ―― そして。


「3……2……1……、いけ!」

 ヒュールの言葉に全員が飛び出した。


ちょっと用事の為更新頻度を下げています。

10月の後半には戻りますのでそれまでお待ちください。

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