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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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王様小鬼討伐戦[5]

 オジュールの号令と共に後衛から曲線を描き弓矢が飛び交い、魔術士の“魔術(マジック)(アロー)”も飛び出す、“火炎弾(ファイアーボール)”、“風刃弾(エアーシェル)”、“岩石弾(ロックショット)”、“爆発(ボム)”、“風圧(スタンプ)”、“土槍(アースランサー)”、各々(おのおの)が得意にしている魔術が飛びかう。


 突撃して来る小鬼(ゴブリン)の群れに直撃した。

 オジュールの命令通り、場所と範囲を事前に決めていたのが功を(そう)したのか。

 小鬼達は……。

 弓矢に射られ、

 燃え上がり、

 切り裂かれ、

 押し(つぶ)され、

 爆散して、

 貫かれ。

 ―― 悲鳴を上げて倒させていった。


 辺りには魔術の行使でオジュール率いる冒険者の目の前は土埃(つちぼこり)にまみれていく。

 暫くするとまたも奇声が聞こえてくると大量の足音が聞こえ。


 ―― その土煙の間から小鬼(ゴブリン)の群れがウジャウジャと飛び出してくる。


「大砲、放て―――――!!」

 オジュールは次の命令を下す。


 冒険者の陣形の両脇から大砲が轟音を上げて放たれた。

[ボゴオオォォォン! ゴオオオォォン!………]と、激しい音が戦場に響き、小鬼達の陣形を斜めにえぐる砲弾が行きかう、地面に着弾して土と小鬼達の身体を空中に舞いあげた。

 辺りには血と火薬の匂いが充満する。

 その攻撃で小鬼達の突撃の勢いが弱まった。


 しかし、すぐに「ギャ、ギャウ!……」と、一回り大きい小鬼が声を上げると、周りにいる小鬼が再び奇声を上げて反応している。


 ツンと来る匂いの向こう側に、まだ大量の小鬼達が奇声と怒声(どせい)に近い咆哮(ほうこう)を上げながら再び纏まり始め……冒険者の陣地に突撃を開始する。――


 タイミング良く第2撃目の遠距離攻撃を決めて、最高の先制攻撃を決めたオジュールだったが彼の顔は晴れやかでは無かった。

(ちくしょう、数が多すぎる、それになんだ…獣鬼(トロール)まで居やがるぞ、従えるのが逆だろ……)

 心のなかで誰にもばれないように盛大に悪態(あくたい)をついて彼は命令する。

「お前達! 最高の『開戦の狼煙(のろし)』だったな! このまま一気にいくぞ!」

 オジュールは大声を出し、仲間を鼓舞する。

「前衛は踏ん張れ、中衛は敵を漏らすなよ、しっかり後衛と砲手を守れ!」

 オジュールが命令するとそのまま大量の小鬼達と前衛が衝突して激戦の火蓋(ひぶた)が切って落とされた。


※※※


 ジョー達5人は肉体強化魔術を使い高速で森の中を駆けていた。器用に森の根を避け、岩や土地の段差や木々を縫うように進んでいく。

「ヒュール、方向は合っているのか?」

 ジョーは先頭を走るヒュールに小声で訊いてみた。

「こっちで間違いはないぜ、足音がするからな」

 ヒュールは木々を避け、軽やかに飛び跳ねながらそう言って来た。

「わたしも間違いないと思うよ、木がそう言っているから」

 同じくラビスもそう言った。


(感覚が鋭い小人族とハーフエルフがそう言うなら間違いないか……)


 ジョーはそう思う。と、同時に安心する、無計画で攻め込んで無かった事に……。

 ヒュールが余りにも唐突に作戦を決め勝算がないまま闇雲に特攻を仕掛けたのか少し心配だったからだ。

 ヒュールは翼陽の団でも切れ者だが、豪胆な所があり今回の作戦のように危険な任務でも平気な顔をして行動を起こせる男だった。


「そういや、1つ尋ねたいんだが……、“ゴブリンキング”ってどんな姿だ? 俺見た事無いからわかんねーや」

 ラリーが唐突に質問した。


 その質問に「そういえば知らないねぇ」とアンジーが答えると、「わたしも知らない」とラビスもいった。

「俺も知らないな……。ヒュール何か情報は無いのか?」

 ジョーはヒュールに訊いてみた。

 ヒュールは前方と辺りを確認しなら言う。


「話しに聞いた限りだと小鬼(ゴブリン)変異種(バリエル)らしい、大抵身体が大きく形も歪で特殊な性質を持っていると昔読んだ資料には書いてあったと思うぜ。だから見れば一発でわかるらしいな……」


変異種(バリエル)かちょっと厄介(やっかい)だな……」

 ジョーはモモガ村であった大鬼の変異種の事を思い出す。


「まっ、一番強そうな奴を倒せばいいってわけだ」

 ラリーは最後に軽い感じでまとめた。

「話しはそれ位にしてくれ、もうすぐ近くに出る、後は手信号で合図をおくる」

 そう言うとヒュールは速度を緩めて木の陰に隠れるように合図を送った。

 それを聞いた全員が頷き命令に従う。

 そうして今度はゆっくりと武器を取り出し静かに森を進みだした。


「スネーク、起きているか?」

【……、起きている、俺は寝ないからな】

(どうだか……。オジュール達と別れてから殆ど話して来なかったじゃないか)


 ジョーはそう考えているが顔には出さず、「ハイハイ」と言って背中から蛇腹刀を取り出す、ヒュール、ラビス、アンジー、ラリーも同様に各々の武器を装備して襲撃の準備をしていく。


 静かに緊張した空気が辺りに漂い、静かに歩を進めていく。

 一歩ずつ進むたびに木の葉の踏む音が小さく響いていく。

 ヒュールは辺りを警戒しながら先頭に立ち進んでは手信号を送りその後をついていく。


 遠くには[ワアアアァァァ………]と、戦いが始まった声と重低音の鈍い音が聴こえてきた。

(向こうも(はじま)ったか……、サイリア無茶はするなよ)

 ジョーはそう思い静かに進んでいった。


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