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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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王様小鬼討伐戦[4]

 ジョーは草原から森に入ってすぐに騎馬から降りた。

 ヒュール、ラビス、アンジー、ラリーも同様に馬から降りて装備を整えている。

 騎馬は(つな)がずにそのままにしておいた、もし小鬼達が来たら食べられる可能性もあるからだ、その為にここに何もせずに置いておく、逃げ出してもいいように……。

 この作戦は片道だけのほぼ特攻作戦に近かった。


 森の奥から王国兵士達の悲鳴と大勢が動く地鳴りのような音が聞こえてきた。

 悲鳴の数は徐々に減っているが、それで被害が減っているとは思えなかった、やられた人数が減ったので悲鳴の数が減ったとジョーを始めその場にいた者達は思っていた。


[ブルルゥゥ]――と、馬が鳴く。

 ジョーは優しく馬の首元を撫でる。

(じゃあな、危なくなったら逃げるんだぞ……)

 そう思いながら撫でていた。


「準備はいいか、みんな」

 ヒュールは自分の腰に付けている革の道具入れを確認しながら他の者達に問いかける。


「大丈夫、問題無し」

 アンジーは湾曲(わんきょく)し分厚い長剣を背負いながらそう言って来た。

「もっちー、大丈夫」

 ラビスはいつものように軽い感じで自分の装備を確認しながら言っていた。

「俺も準備完了、アンジーとラビスの護衛は任せてくれ」

 ラリーはいつもの調子で言ってくる、女性陣に目配せとアピールもしながら、そのあとに「ジョーとヒュールは有料な」と、冗談のように言うのも忘れない。

「大丈夫、いつも通り」

 ジョーは普段通りに答える。


 ここにいる5人は普段とあまり変わらなかった、これから小鬼達の大群に突入するのに緊張の色が見られない、5人はそれなりに修羅場を(くぐ)った冒険者だから身体が恐怖で動かなくなるのは死に直結するとわかっていた。

 恐怖が無い訳では無かった、あるのだが抑え込んでいる、正確にいえば操作していると言っていい。

緊張しすぎると気後れする、無いと油断につながる。

 一見(いっけん)ラビスのラリーも軽そうな感じだが彼ら気持を整理するためにそう言っているに過ぎない。


 その言葉を聴いたヒュールは大丈夫そうだなと思い、可愛い少年の笑顔を向け満足そうに頷いた。


「じゃあ、急いで行こうか、全員“ストレイング”を使って一気に敵の背後に移動して王様小鬼を討つ、他の雑魚(ゴブリン)に目もくれないでくれ、あくまで一点突破の作戦だからな」

 そう真剣な顔に変わりジョー達に命令する。

 他の者は(うなず)いて了承(りょうしょう)の形をとった。

「じゃあ行こうか、これからあんまり大声は厳禁だぞ、危険だと言ったら小声か手信号(ハンドサイン)で合図をくれ、先頭は俺とラビスが務めるからジョー、ラリー、アンジーは後方や側面の確認をしながら、その後について来てくれ……じゃあ、行こうか」

 ヒュールを先頭にジョー達は森の奥に移動を開始する。


※※※


「それをこっちに運べ――!!」

 オジュールは残った王国兵士の工作兵に指示を飛ばして迎撃の準備をしている。

 兵士達は指揮官を失っていた為にテキパキと動いていた。全員で一応持って来ていた『火砲』とも『大砲』とも言われる大型の兵器の移動をしている。

 ザボルは「不要だ!」と言っていたが一応の準備だけはしていた、それをオジュールの指示に従って場所の移動をしている。


 防柵の移動しその後ろで冒険者は陣形を整えていた。特に前衛で盾役であるガルンとガインの2人を先頭に30名が逆V時のように広がり壁を造っていた、その両脇に大砲を斜めに置いて射角取っている。

 その間にオジュールは投擲(とうてき)槍(※投げ槍)を3本用意して槍の後ろに紅く目立つ色の布を巻いてそれを前方に投げた。


 ガルン達盾役の前方40mの所にバラけると地面にほぼ垂直に刺さる投擲槍、それを確認するとオジュールは後ろを向いて後衛部隊に声をかけた。

「お前ら後衛は小鬼(ゴブリン)達があの旗を超えてから攻撃してくれ 、バラバラにならないよう一斉(いっせい)にだ! 俺が合図するからその合図で開始だ!」

 オジュールは後衛にいるサイリアを含めた者たちに説明をする、30名程がそこにいた

「おっと、最後に行っておくぜ、くれぐれも俺達の背中に当てるなよ…」

 冗談いって、おどけた表情になり笑いを誘うオジュール、その顔に後衛の冒険者達は笑顔になり笑いが起きる。

 オジュールはそれを確認すると、「じゃあ、後は頼むぜ、みんな」と言って去ろうとするが……、サイリアが緊張しているのを発見した。

 他の者達は位置について歩いていく、オジュールはサイリアの近くに歩いていくと声をかける。

「サイリア、緊張しているのか?」

「う、ウン、そうかも……」

 ジョーがいない為、覇気が無い答えを返すサイリア、サイリアの肩に乗っている土精霊の“ノンちゃん”が「ピクククゥゥ」と、心配そうな声を出す。

「なに、ジョーの代わりに守ってやるよ、心配するな、ハッハッハ……」

 オジュールは笑い声をあげてサイリアの気を(まぎ)らわすが……。

「…ありがとう、オジュール」

 と、気の無い返事と無理している笑顔でサイリアがお礼の言葉をオジュールに返す。

 やっぱ俺じゃあ、無理か……。とオジュールは思うと、これ以上無理にしてもサイリアの緊張が増すだけだと考え、別れの言葉を言ってその場を去った。


***


「来たぞ――――!」

 大声が冒険者の間から上がると、森のほうから馬に乗って逃げ出す王国兵士達の後ろからもの凄い数の小鬼達が走っているのが確認出来た。


[ドドドドドドドドドドド…………]――と、絶えまない地響きの音が近づいてくる。


「ギャ、ギャ、ギャ、ガギャ……」という奇声と共に森から草原に大量の小鬼(ゴブリン)達が(あふ)れ出てくる。

 始めの戦闘の時の比では無い位、綺麗な緑の草原に汚い泥色をした魔物で埋め尽くし、ソレが一丸となってオジュール達が陣地にしている場所に向かっていた。


 生き残った王国兵士は騎馬に乗って居る者のみ十数名程が見える。みな必死に馬を操り、身体を縮めて少しでも早く進む様な姿勢をとっていた。

 馬も兵士も体裁が無い位に必死でオジュール達のいる場所に向かっていく。


「迎撃準備―――――!!」

 オジュールは冒険者全体に響く程の声を上げる。

 その声に周りの緊張感が増していく……。

 前衛の冒険者達が盾を構え、武器に力を込めている、中衛の冒険者達は武器を抜いて身構える。

「敵を十分に引きつけろ、合図を待て――!!」

 オジュールのその言葉に後衛の冒険者は弓を引き姿勢を整え構える、魔術師は杖を突き出して集中し始める。


 ―― そして、小鬼達から逃げ出している王国兵士の騎馬がオジュール達のいる方に向かい、突然進路変え、バラけると――射線が開いた。

 

 そしてそのまま王国兵士はオジュール達冒険者の集団を尻目に逃げていく。――


「放て――――――――――!」

 オジュールは全てを確認して号令をかけた。


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