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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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作戦開始前2

「はっはっは、…でもヒュールそれは半分当たりで半分外れだ。俺はお前にも用があったんだ」

 ジョーはヒュールの自虐(じぎゃく)を笑いそう答えた。

「そいつは、嬉しいねぇ、で、何の用だ?」

「ああ、いま小鬼達はどこにいる『翼陽の団の頭脳』さんよ」

 ジョーはニヤリと笑いヒュールから情報を得ようとする。


 ヒュールは団の中では戦闘に秀でていない存在だった。

 普通の冒険者よりは強いがある程度ギルドレベルが上がると魔術に特化した奴や、肉体が頑強な奴が上に上がっていく、個の力が強い奴ほどそのパーティのギルドレベルも上がりやすい事は周知の事実だった。

 しかし、ヒュールは小人族(ボビット)、素早さや小回りが効く、魔術の素養も高いが力が足りないし体格も無い、しかし、冒険者は力だけの世界では無い、大人数の団には纏める者と賢い奴が必ず必要になる、要するに物事を分析して把握し、利用できる頭の回転の速い奴が必要だった。ヒュールは団でその役目を担っている、だからギルドランクはAクラスで副団長のヒュールだった。

 当然ヒュールの能力もそれだけではないのだが……。


 だから、ジョーは情報を持っているか、予測出来るヒュールに聞いたのだった。

 ジョーも狡賢(ずるがしこ)い考え方だが、ヒュールもそれを(さっ)してニヤリと悪い笑みを浮かべる。

「…そうだな、後2刻(4時間)位で敵軍と会敵するんじゃないか」

「ありがと、ヒュール」

 ジョーはお礼にふざけたお辞儀をしながらヒュールに敬意を示した。

「どうってことない話だよ、それよりその鎧、かなり良い素材使っているな、それに足回りも前と違うじゃないか、かなり奮発(ふんぱつ)した装備だな、似合ってるぜ」

 ヒュールは一瞥(いちべつ)しただけでジョーの装備を()めた。

「それに、サイリアの杖も良い物だな、相性が良いモノだ、……精霊も喜んでいる」

 と、ジョーの後ろにいるサイリアにも笑って話しかけていた。

「ありがとう、ヒュール、貴方の装備も似合うわよ」

 と、サイリアも自然に笑顔を返す。

 数少ないサイリアの話し友達の1人であるヒュールを見ながらジョーは思う、やっぱり目端が利いて、褒める所も上手い、社交性も高いし、それに物を見極める目もさすがだなと感心していた。

 ヒュールは「よせよ、サイリア」と言って照れていたが、手で遊んでいた短刀をしまうと、立ちあがりジョー達を見る。

「じゃあ、行こうか、ジョーのもう半分の用事を済ませにな! 団長はこの奥にいるから一緒にいこうぜ」

 そう言って歩き出すヒュール。神風小僧の様に素早い動きで行ってしまった。

 ジョーも「いくぞ、サイリア」と、言って急いで追いかける、サイリアも「う、うん」と、言って走りだした。


 ヒュールはすぐ近くの簡易テントの前で待っていた。

「団長が中にいる、いつもの勧誘があるが気にするな」

 ヒュールはそう言って入り口の布をめくりあげた。

 中から匂い消しの為の花の香りが鼻腔をくすぐる、強烈な匂いでは無く、どこか上品な匂いがしていた。

 ジョーもサイリアもボロ布の中なのでキツイ匂いを覚悟していたが、そこの処理までちゃんとする翼陽の団は流石だと改めて思っていた。


 ジョーとサイリアが中に入ると、木箱の様な机に足を乗っけて座っている男がいる。

 机の上には古びた紙と羊毛紙が幾つも置いてあった、1つはこの周辺の地図で、他は作戦内容や、訳のわからない内容の手紙などが粗雑に置いてある、その他に机の上にはガラス瓶とコップが置いてあった。

 男は机に足を組んで上を向いてブツブツと言っていた、ジョー達が入ってくると視線を入口に戻して無表情から笑顔に造り変えると。


「おお、ジョーとサイリア、どうした、我が翼陽の団に入団してくれる気になったか」

 そう唐突にジョーとサイリアに入団を勧める男は翼陽の団の団長の『オジュール=カッパーノ』と言う男だった。

 

 オジュールは半神半人族と呼ばれる太古の部族の末裔だと言われていた、見た目はほとんど人間と変わらない体格をしていたが、違いは髪の色と身体のどこかに魔力結晶石が出来る事位しか変わらなかった。

 オジュールの場合は髪の色が白と(あお)と黒の三色が(まだら)に混ざっている、三毛猫の様な色合いだった、それを長髪にして癖のある髪だった。

 それに、両手の甲の部分に宝石の様に結晶化された蒼く光るモノがついている半神半人族特有の魔力結晶石はそこについている。

 顔は髭を生やし渋い感じだが目鼻立ちも彫りが深く整っていた。特に瞳の色が銀色に近く吸いこまれそうな綺麗な瞳をしている。

 体格は180㎝ある大柄の男で黒い靴と黒い鎧を下半身だけ纏っている、それに簡単な服の上に鎖帷子(くさりかたびら)を来ている、まだ完全な装備はして無かった。


 そのオジュールが机から脚を退かしてちゃんとした姿勢でジョー達を出迎えた。

「オジュール、その気はない、それより聞きたい事があるんだが……」

 ジョーは軽く笑い本題に入ろうとする。

「おい、ジョー、いきなり来てせっかち過ぎるじゃないか、麦酒は戦い前だから飲めないにしてもお茶ぐらい出させろよ」

「はっはっはっ、いつからそんな律儀になったんだよ、ここの団は」

 あからさまに接待する気が無いが、とぼけた顔でオジュールはジョー達を見ていた、ジョーもそれに笑い、後ろにいるサイリアも笑っていた。

 オジュールは陽気な男だった。

 ジョーが前に訊いた話だが『翼陽の団』とはどういう意味だ?と、聞いたら『自由の“翼”を広げて“陽”気に過ごす“団”』と豪快に笑いながら答えるオジュールの姿を思い出した。

「そうだったな! フハッハッハ! ……それでなんの用だ、ジョー?」

「ああ、オジュールの事だから王国騎士団との挨拶は済ませているはずだろ? 作戦の場所がなんでここか知りたいんだ」

 ジョーの質問にサイリアは首を傾げる、草原で迎えうつのは普通の事ではと考えていたからだった。


 オジュールはその質問に顔をしかめる、陽気な男が不機嫌になっていった。

「どうした、オジュール?」

「……すまないな、あのクソ騎士団長の顔を思いだしたんでな……」

 そう言いづらそうにオジュールは語りだした。


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