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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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作戦開始前1

2016/9/19改訂

 ジョーとサイリアはベルンの町を西方に2時間ほど進んでいくと草原と森林が周りに見えるだけになり、その草原の真ん中にポツンと木と布で覆われた簡易テントがいくつも立っていた。

 辺りは木で作った防柵に覆われている。

 その柵の中に人が走り回っているのが見えた、さらに馬の鳴き声も響いている。

 ジョー達が馬車を進めていくと同じ格好の兵士がせわしく動きまわっているのが分かった、全員同じ様な装備をしていてテントの近くに吊るしてある旗には王国の旗と、その騎士団の旗が立っている、その模様と兵士の盾や鎧に入っている模様が同一の模様である事から王国兵士達が働いているとジョーもサイリアも思っていた。


「あれが、王国軍の兵士か……、結構な数がいるな、300人のはずだろ?」

「工作兵がいるんじゃないの? 柵も作るし、迎撃するにも場所の設置は必要でしょ?」

「そうだな、サイリアの言う通りだけど、冒険者達はどこにいるんだ?」


 ジョーとサイリアは馬車から、辺りを見回すがそれらしい者は無い、疑問に思いつつ近づいて行くと、向こうから兵士達が2人駆け足でジョー達の元に来る。


「待て、そこの者、何用だ!?」

 1人の兵士が声をあげてジョー達に訊いてきた。

 それに反応してジョーは馬車を止める様に馬に合図を送り、そのまま兵士達の方を向いて説明をする。

「仕事だよ、“王様小鬼討伐”の依頼で来た冒険者だよ」

 それを聞いた国王兵士は「身分書を見せろ!」と高圧的に言ってきたので、仕方なくジョーは冒険者証明板(ギルドカード)を見せてやると怪しげにこちらを見つめて兵士達は「通れと」と、言って来た。


「どうも」

 と、ジョーは言って馬車を走らせようとついでに兵士達に訊いてみる

「冒険者の集まる所はどこにあるんだ?」

「ああ、それなら……」

 兵士の1人がこのテントとは違う離れた場所にある簡易テントを指差した。

 すると、兵士達はその場から離れてしまう。

「なによ、あの態度!」

 兵士達が離れた途端、サイリアが怒りの声を上げて、去っていく兵士の背中を(にら)んでいた、ジョーも気持ちは分かっている、傲慢な態度に腹を立てるのはサイリアだけでは無かった。

「落ち着け、行くぞ」

 ジョーはそう言って、馬車を引いている愛馬に合図を送ると素直に走りだした。

「ジョー! 怒らないの!?」

「俺だって、ムカついているよ! でも争っても意味は無いだろ、それに今回の戦の主力は国王軍の方だからな、それで、主導権を握りたいが為にわざわざ冒険者を“特別待遇”にしているのだろうからな」

 ジョーも苦虫を噛みしめる様に顔を歪ませて言う、その表情にサイリアの溜飲も下がっていく。

「それで、ジョー、主導権を握りたいってどういう意味なの?」

「ああ、あの連中はこの国の兵士達だろ、国民を守る義務が騎士にはあるんだ、それに、俺らは冒険者だからな、よそ者が多い、そんな奴らに主導権を取られる訳にはいかないだろ、“誇り”ってやつだな」

 

【どこにでも、ある問題だな】

 と、ジョーの話に丁寧な相槌を入れてくれるスネーク、それを聞いたサイリアも納得していた。

 

 今回の討伐戦はあくまで王国兵士主体で行われる、冒険者はその手伝いというのが兵士達の態度から現れていた、意地と見栄も当然入っている事は分かりきっている。

 ジョー達は腹の底にモヤモヤしたモノを抱えながら冒険者達が集まっている場所に急いでいった。


 ――、(随分と熱烈な歓迎だな)と、ジョーは簡易テントを見て思う、使われている布が妙にボロかった、先程あった向こうの布は綺麗で新しく、こちらはボロ、まさしく向こうの王国軍の意図が見える

お前達はこの程度の扱いで十分だ! と、言わんばかりの造りになっていた。


 ジョーとサイリアは辺りにあった馬止めに馬車を繋ぎとめ、後ろの荷台に積んである桶にサイリアが魔術で水を入れてやり、ジョーが馬のオヤツの干し草を用意してやる。

 そのままジョーとサイリアは愛馬を労い撫でていく。

 非常に嬉しそうに鼻を鳴らし、水と干し草で休憩を取るのをジョー達は確認すると、ジョーとサイリアは冒険者の集まっている方に歩きだした。

 

 ボロい布で出来テントの間を抜けると多くの冒険者達が集まっている、空の(たる)に座って休憩している奴、纏まって話し込んでいる冒険者もいる、各自、自由に息抜きや作戦会議、をしていた。

「随分といるわね……」

 人混みが苦手なサイリアの顔が引き攣る。

「そう、緊張するなよ、いつもの通りにすればいいんだから」

「わ、わかってる」

 と、声が上ずっているサイリアに、ジョーはまたかと、思いつつ辺りを見回すと、知っている顔を見つける。

 木材が積まれた上に座りながら休憩をする小柄な男を発見する。

 ジョーは近づいて行く、後ろにサイリアも付き従って。

「よう、ヒュール、久しぶりだな」

 ジョーのその言葉に、短刀を回しながら暇をつぶしていた小柄な男が振り返る


 男の名は『ヒュール=ネルン』と言う男で、小人族(ボビット)と呼ばれる種族の男性だった。

身長は140㎝と小さいが種族上これでも大きい方だった、顔は子供のように幼く、若い美少年のようだ、少し垂れ目が特徴的で、髪は茶と赤が混ざった色をしている、装備は軽装備で動きやすい様に革と鉄当てを混ぜたような装備だった、その他に投擲用の短刀を腰と肩から下げている革の帯に差している、それに短剣を2つ後ろの腰に差していた。

 ヒュールは『翼陽の団』の冒険者パーティの副団長をしている、それにジョー達の様に2人組みの様に少ないチームでは無く、30人以上もいる大所帯の団だった。


 基本的に冒険者の中では5人未満をチーム、それ以上をパーティと呼んでいる、さらにヒュールの様に複数のパーティが集まって結成させるのを“~~団”と呼んでいる。

 ランクが違う者同士が集まるって結成される事が多く、その中でギルドレベルの1番高い者がリーダーになっている、大所帯のパーティは冒険者達の中にも多い、利点も多いからだ、下位のギルドレベルの者が高位のレベルの者から指導を受けられる育成システムも人気だった、それに人数が多いと負担が減る為、安全に仕事をこなせる、なりたての冒険者はそういう大所帯で腕を磨く者も多かった。

 しかし、利点もあれば不利な事もある訳で、そこは自分で選ぶのが冒険者の自由となっていた。


 その大所帯の団の副団長であるヒュールであるが彼の所属する『翼陽の団』はベルンの町でも最大級の団となっている、ギルドレベルもAランクとハイレベルだった。


「よう、ジョー、サイリア、久しぶり、団長に用があるんだろ、今、奥にいるぜ」

 と、ジョー達を見ると挨拶を交わして、すぐさまジョーが訊きたかった事を口にする。

(……俺が思っている事が読めるのかこいつ)――と、ジョーは思っている。

 内心ドキリとしていた。

「なんだ、心が読めるのか? て顔だな」

 ヒュールはまたもジョーの心臓を跳ね上げる。

「……なんだ? 種族の能力か? ヒュール」

 思わず訊いてしまう、ジョーだが、ヒュールは首を横に振り、軽く笑いながら否定する、そして、「俺に用がある訳ないだろ?」と、自嘲(じちょう)気味な事を言い出した。


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