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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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暗中飛躍

 オジュール達は最後に記念写真を取るように参加者達と仲の良いアピールの写真(※政治家のように手をとって身体と顔はカメラ目線の事)を取っている最中であった。


 激しくたかれるフラッシュにまたも包まれる貴族達とブリューシュ王国の王様。


 ――(はた)から見てもいい笑顔である。


 ヒュールはその様子を見ながら酒を片手に安堵(あんど)していた。

 ソツなく質疑応答に答えるオジュールの姿を最後まで確認して、その様子にミスは無かったからだ。


「副団長、大丈夫でした?」

 綺麗なドレスに身を包んだエフレスカがヒュールのそばにきて質問した。

 それに彼は気がつき――

「ああ、大丈夫、問題無し」

 そう言うと持っていた酒をあおり飲み干した。


 やっと終わった――と、ヒュールは感じると一気に肩の力が抜けていく。


 しかし――貴賓館の扉から急いで給仕の女性が壇上の脇にいる王妃と王子の所に駆け寄るのを見た。


(何かあったのか?)

 ヒュールは女性の焦った顔からトラブルがあった事を感じる。


 そのまま目線を動かしてその女性の行動を見ていたヒュール、今度は王妃と王子が狼狽する様子を確認する。

 その異変を気がついたのはヒュールだけでは無かった。

[ガタッ]――と王妃と王子の椅子が倒れ。音が鳴り響く、そして会場中が注目し始めた。

 オジュール達を撮影していた記者もその異変を感じ始める。

 王様が壇上からニコやかに王妃の元に移動すると何やら小声で会話をして、そそくさと脇に移動して、そして扉から出ていってしまった。


(これは何か問題でも起きたんだな……)

 ざわつく会場の雰囲気もヒュールと同じ様に状況を受け止めていた。

 司会の男性が場の雰囲気の異様さに無理やり司会進行をして何とか気を()らそうとしていたが、ザワザワとした会場のうねりはとても止まりそうにはならなかった。


 それほどに式典の顔である国王夫妻が消える事は異常事態が発生していると言っていい。


 撮影会どころでは無くなった会場で貴族連中が噂話のようにゴニョゴニョと正誤判別の怪しい話しをすすめ始め。司会者の男性が音楽の音を大きくして「それでは(しば)しご歓談(かんだん)と美味しい食事に舌鼓(したつづみ)をどうぞ……」と額に汗をかきながら進めていたのも印象的であった。


 オジュールは撮影会も殆ど終わっていたのでヒュールのいる場所に駆けつける。


「ヒュール、どうしたんだと思う?」

「いや、判断できないな。でも……おれでも異常だとおもうから貴族にとっても異様なことだ。重大な事件でも起こったのかもな……」

「なにが起こったと思う?」

「わかんないね。それこそ考えるだけで邪推(じゃすい)ってもんだ」

「そうだな……」

「下手につっつくと問題がこじれるからな。ほら、(さと)い貴族達が早速部下かなんなりを使って情報を集め出したぞ」

 ヒュールが指摘すると貴族の集団が出来あがりそしてお付きの者が集まり外に出ていく様子をヒュールとオジュールは見ていた。


「俺達も情報を集めるか?」

「いや、オジュール、止めとけ。俺達の立場は冒険者なのは変わりない。貴族には貴族の領分がある。それを越えると厄介事だらけだ。だから情報が集まったらオジュールはさりげな~く出会った貴族にきいてみろよ。そっちの方が情報収集が楽だから」

「確かにな……」


 ヒュールの的確な読みは当たる――この後、15分後に「王女誘拐事件」の噂は広がりをみせ、少しずつ詳細が明らかになっていき。最後に王子が登場して事の経緯を話し始めた。


 ――閑話休題。


 オジュール達は集めた情報をヒュールに聞かせる。彼は悩ましい表情をしながら情報を絞り取捨選択をして正しい情報を取り出そうとしていた。

「それでどうだ? わかったのかヒュール?」

 オジュールは隣にいる相棒にそう訊いた。周りには翼陽の団があつまり情報を共有しようとしている。


「大体はな……。まず、考えつくのは王室側の事態の正確な把握は終わっていない。犯人も目星もついていないな。それが王子の説明からわかる。犯人と思われるのは王宮に忍び込んだヤツらだ。噂になっている男性2人組、こいつらが時間的に怪しい。そして、こっからが俺の推論だけど……王女は消えた事から誘拐は確定だな。そのことから身柄は無事だろう、暗殺だったら部屋で死んでいるからな。じゃあ、そっからだ……もう、半時(30分)くらい立つだろ? それなら王女の行方は大きく2つに分かれる」


「どこに行ったんだ?」


「あぁ、まず誘拐なら身柄の確保は安全な場所に限る。そう考えれば誘拐したヤツらの考えそうな事は2つ。1つはこの城内のどっか、裏をかいて潜む、それから脱出。そしてもう1つは……(はや)く城下町の外に出て王都を脱出しようとしているかのどっちかだな?」


「何でわかるんだ? ヒュール? お前が犯人なのか?」


「アホ、オジュール。そんな無謀な事はしねーよ。犯人にあげられるのは闇ギルドだろうな。それ『ユスリ・タカリ』専門のギルドだと思うね。そう考えれば隠れるのは城下町が一番危ない。なら裏をかいて城内に警戒が薄くなってから脱出を図るか連絡はつかない内に王都を脱出するかこの2つの可能性が高い。俺としては後者の方が圧倒的に可能性ありだな」


「なるほどね……王都を外に逃げ出すのか……それじゃあ犯人は門を目指しているんだな」


「まぁね。王都の門は全部で4つ東西南北のどれかだな……、それでどうする? もう遅いかもしれないけど助けにいくのか?」


「行くしかないな……お姫様を助けるって事をしないとな」

 オジュールはそう笑った。ほとんど即決に近い感覚で――それを見てヒュールを始め団員は笑う。

「わかった……オジュールらしいや。それなら“網”を張ろうか」


「なに、そんな準備もしてたのか?」

 オジュールは驚く、あまりのヒュールの手際に。

「いや。通信人形(ユーエーモ)で現在外にいる奴と連絡をとるだけ。近くにいれば繋がるだろ? 翼陽の団で4人くらい宿屋にいるし、ミック達とジョー達も外にいる。事情を話して探してもらう」


「おぉ、そうだった。その方法があったな! エフレスカ、早速連絡!」


「はい、団長、お任せを」――エフレスカは返事をする。


「エフレスカ。そっちは団員に説明してくれ。俺はミックとジョーに連絡をとるから」


「はい、分かりました」


 エフレスカの返事と共にヒュールは腰に下げた小さな皮鞄から通信人形を取り出した。






考察。

王妃や王子が騒がなかったのは宴の席ということでの配慮がありました。

なので悲鳴も狼狽も最小限です。


考察2。

情報の開示は小国ならではの事情も含まれます。大国などのおおきな国では、そのままはぐらかし、情報操作の可能性もありましたがこの国ではそのような事はしない(できない)という考えです。

本来ならどんな国でも暗部ということで隠密に処理する案件ですが予想外の情報流出の為やむなく王子が開示したという裏話があります。


考察3

ヒュールが犯人ではありません(本当のネタバレ)

単に彼は頭が回りますので短い時間の中で推論での答えを出しています。


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