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あ、俺そういうのいいんで

あ、俺そういうのいいんで ツー

作者: りんごさん

困った。どうしよう。やばいヤバいやばい。見つかった。

しくったー。油断した。ズレがここまでヒドくなるとは。

俺は今、名も知らぬ走り寄ってきたおっさんにガッチリ肩を捕まれている。

なにやらぎゃあぎゃあ言ってくるが耳に入らない。



俺の名前は横田(ヨコタ) 倫道(リンドー)。少し前にクラスごと異世界に飛ばされ、その時「転移」って力を手に入れた普通の学生だ。そう、俺は普通だ。周りは「指導者」やら「交渉人」やら「聖母」に「体力バカ」それに「代表者」なんていう能力じゃなく称号みたいな名前で、どうやら色んな力を複数持ってるようだ。

普通の俺は召喚した姫っぽい人の話も聞かず、能力を試して家に転移(かえ)ることに成功。国を救ってください、とか言われたけどほとんどのやつらは俺が連れ帰り、能力を隠したまま普通に暮らしてる。残りの何人かは、というかさっきの称号みたいなやつらとその他何人かは、週末だけ向こうに行ってなんかやってる。戦うようなことは少ないみたいだけど、なにをやってるかは知らない。興味ないから。俺はただ送るだけしてる。



で、帰ってみたらこれだorz。毎週、土曜の朝9時頃に学校の体育館と外壁の間に集まって送ってたんだけど、最近、行って帰るだけなのに30分~1時間のズレが出てきてた。

そして今回3時間もズレたようだ。

出かけるついでと駅ビルの屋上に出たのもまずかった。1時間のズレなら開店したばかりだったのに。お昼となれば、そら、人居るよね。

ん、くたびれたこのおっさんだけか。

「で、それってどこにでも行けるの?」

なにやら喚いてたおっさんと俺は肩ガクされてるうちに、無視した質問と生返事で会話が成立していたらしい。

「どこでもっていうか、頭に浮かべた範囲なら?」

「素晴らしい!!じゃあ、例えばピラミッドとか、マチュピチュとか、ウルルなんかにも?」

「試してないけどたぶん…」

そっか。どこでも行けるんだよなあ。全然使ってなかったや。

「じゃあさ、じゃあさ月、…なんかも、…行ける?」

異世界行けるんだし、

「たぶん」

「おおオオオオオオオオ」

おっさんおっさんうるさい。余りのうるささに耳を塞ぐ。

「あっ、ごめん。私は濃部(のうべ) 次春(つぎはる)。お金も技術もあるイケイケの民間宇宙開拓会社 JATM(ジャトム)の社長だ!」

だ!だ!だ!…なんか周りのビルにこだましてる。

「はぁ、えー少年R(18)です」

「ふむ、まだ不審がってるね。今をときめく民間宇宙開発の先駆け!人間を快適に宇宙へのコンセプト…」

なんかおっさんノリノリになってきたな。JATMか。一時期、画期的な燃料と空気循環がどうとかニュースになったかな。

「…で、あ、そうだ。これ見て。ホラホラ………ね、私でしょ」

おっさんはスマホを取り出しJATMのサイトから役員のページを見せてきた。

「へえ…、…で?」

「むー、君クールだね」

不信感と無関心に無愛想。分かってるだろうに。これを良く言えば「クール」か。大人って賢いのか、面倒なのか。

地球(ちじょう)の資源はいつ尽きるとも知れない。しかし、私たちには宇宙(そら)がある」

あー、なんかおっさん手振り始まった。

「…そしてこういう言葉を聞いたことはないかい?…宇宙、それは最後の「開拓地(フロンティア)」。そう!」

つられてしまった。

「ここではなんだな。時間があるなら昼食をどうだろう。もちろん奢るよ」

うん、お昼だしな…って朝飯食ったばかりだしな。でも奢られるチャンスは惜しい。ん~。

ズバリ顔に出てたようで。

「時間がないなら、夕食でもいいよ。ぜひじっくり話がしたい。これ、名刺」

サラサラと名刺の裏、なにやら役職が並んでる中に赤のボールペンで携帯番号を書いて渡してきた。

「これがプライベート用の番号。いつでもいいから、ぜひ、ご飯食べよ」

そう言っておっさんはエレベータに向かって行った。

そうだ。それより、これ以上時間がズレると週末だけってのが難しくなる。一旦帰ってこさせないと。

→↓

↑←

というわけで向こうでみんなを集めて説明。リスクの話をするまでもなく、どうやらあっちの救済(?)も終わりだったらしく。時間のズレもそれが原因かなあ。とにかく、もう送り迎えは不要となった。

で、俺は今、焼き肉屋に来ている!!へー、焼き肉屋って5時に開いてるんだ。カウンターに畳の机が5つ。お酒飲む人用の店なのか、お客は俺たち以外居ない。まだ5時だもんなあ。

しかしうまい。お金を気にしないっていいな。カルビ、上カルビ、特上カルビの食べ比べって初めて。あーでもタレがいいわ。

焼いたお肉をタレにつけ、それを白い宝石(ごはん)の上にチョンチョン。お肉を口に入れ二噛みくらいしたところでご飯が突撃。はあー、たまらん。

「で、どうだろう。月に行ってみないかい?うちの宇宙服を使ってさ」

月か。行ってみたい…かな?宇宙服あれば時間を気にせず自由に飛び回れるのかな。

ああ、月着陸船や無人探査機なんかの実物にも触れられるのかな。鷲の羽やゴルフボールを探してもいいな。

月か。科学者と詩人を兼ねた宇宙飛行士(パイロット)が降りた場所。

おお。なんか超楽しみになってきた。

「という感じにうちの新型の実証実験も兼ねて…」

やべ。また聞いてなかった。

「いいですね。なんなら木星の衛星に生物探しとか」

言っててたぎってくるわ。

「さすがにそこまではスーツの調整もデータも今から始めることになるかな」

「でも実際行って何するんです?月の石でも拾ったりするんですか?」

「いや、純粋にスーツのテストというか、もちろん安全は保証する。ただ回数をこなしたデータは何より欲しいからね」

「へー、でもそのデータ利用できるの?実験の詳細出せないでしょ」

「そういうのは、機密ってことで適当にどうとでもするさ」

今更だけど大事になってきてるのか。遊びで転移()って転移(かえ)ってじゃ済まなくなってきてるかな。

「あの、僕の立ち位置はどういう感じになるんでしょ。誰も信じないだろうし、そもそも広めたくもないですし」

「そうだね。知られたくないというなら、何人かの専属チームを作るとか、或いはスーツだけを持ち出して…そうなると解析チームを別に…あのサブのやつらを…」

なにやら一人頭の中で会議が始まったようだ。んー、スーツだけ貰って月で自由に遊んで帰って「はい、これどうぞ」ってなると最高なんだけどなあ。無理だろうな。それに月の石とか記念に欲しいし。持って帰って手元に置いといても安全かどうかとかも知りたいし、多少の顔バレは仕方ないかな。

→↓

↑←

JATM(ジャトム)。なんかそういう会社もあったねえ。着心地チェックとか言われてスーツを渡されたんだけど、専属の解析チームに会うことなく、そのさらに数日後には会社は解散した。燃料も空気循環も画期的だったけど、投資してた人は飛ばす方を期待していたとかで、毎日ニュースでいろいろやってるけどよく分からない。

行方不明の社長は元気でいるといいな。だって結局このスーツ、タダで貰ったことになるし。どこか逃げたいなら手伝ってあげてもいいね。

今考えると、怖い人に関わるかもしれなかったんだから、少年Rと公衆電話からの連絡。身バレに気を付けといて良かったー。

さて、静かの海基地、行ってみるか!!

ヨコタ リンドー lv.1

体力:20 導力:430

能力:転移

装備:耐極地スーツ

↓↓↓↓↓あとがき↓↓↓↓↓

えー、前作は召喚された時に貰ったチートで家に帰れちゃったら面白いんじゃね?

ってところから書きました。

ただそれだけを書きたかったのが、なんか筆が進んでクラスごとになったり、ちょっとイジワルな召喚者たちとか。


そもそもなぜ召喚されたとか、何から救ってほしいのかなんて考えてません。

あれはあれで終わって、個人的にしっくり来てるので、

続編?の今回は地球から宇宙を目指してみました。到達してないけど。

社長は、土曜日の昼間から一人で屋上に居たんだから、もともとそうだったんだろうね。

最後のステータス、本人は知りません。

導力upは使いまくって上がったって感じで。


読んでいただきありがとうございました。

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[一言] 主人公の性格にワロタwww 是非とも、連載を希望します。
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