学園祭準備期間シリーズ~風紀委員藤堂悠御の鎮圧~
総勢17人にも及ぶ男子生徒の行く手を阻む悠御の手には数メートルにも及ぶ細い針金が握られていた。
何の変哲もないただの針金。しかしその存在に気づいた男子生徒達は恐怖に顔を歪め、またある者は必死に退路を探す。彼達をおとりにし逃走を図った静寂の代わりに隊の指揮をとる今石興助の額には汗が見え始め、必死に打開策を探しているのが伺えた。
それに反してキュートな笑顔を見せる悠御。時折ちらつかせる針金と八重歯には恐怖を与えるのには十分な物だった。
「はっ、ははは……。悠御さん……?」
「なーにかなー? 風紀を乱す男子たちの代理リーダー?」
興助の呼びかけに対し、かわいらしく応える悠御。はにかんだ笑顔にそぐわない目をして彼達見つめる。
「あのですね。うるさいと言いますか風紀を乱すと言いますか……」
「うん?」
「「「ごめんなさいでした」」」
「俺達じゃなくて悪いのは静寂なんです!」
言い訳をしようと言葉を選んでいると、追い討ちをかけるように悠御の声が興助の思考をハウリングさせその考えを断罪する。
そんな姿を見た隊員たちはあやかろうと頭を下げ、罪を自分たちを裏切った静寂になすりつけるといったダブルパンチをおみまいした。
「そっかぁー、そうなのかー。てことは、君達は静寂に騙されたということかなー?」
意外とすんなり聞きいれられ驚く隊員一同。しかしそれを悟られればさらなる罰が下されると脳裏を走り落ち着いたなりで応えた。
「「「そうなんで……」」」
「でもー君たちにも一応処罰を下すよー」
にこっという笑顔とともに数メートルにも及ぶ針金を構えた悠御は男子生徒達に恐怖と心身の拘束というダブルミックスの罰を与えた。