第一話 ④
第一話はこれで終了になります。
気絶していた町田と山口は結構あっさり目に意識を取り戻した。
いやーよかったよかった。
あのまま意識が戻らないとかだったら澄夏の紫が傷害罪になってしまうとこだったからね。
ちなみに私も紫の衝撃からもう立ち直ったよ。
しかも目を覚ました二人は都合よく?気絶の原因になった衝撃シーンの記憶がないみたい。
うらやま…いや、けしからん記憶が消えてて結果オーライだ。
反省した永山が一応2人を保健室に連れてくと言って3人でとぼとぼと歩いて行った。
それを見送った私、澄夏、神崎くん。
それで澄夏がやっと気づいて
「神崎くん、鼻血出てるよ!?もしかしてもう殴られちゃってた?」
と神崎くんの鼻血を心配し始めた。
(いやいや、犯人はお前だ!)
って心の中でビシッと人差し指を澄夏に突き立てやったぜ。
澄夏に心配された神崎くんはまだ鼻血をたらしたまま
「心配は無用さ。大したことじゃない」
って右手の人差し指と中指をくっつけ立ておでこの前で一振りして立ち去ろうとしてた。
うん。 それができるメンタルのタフさというか鈍感さならきっと大丈夫よね。
私は澄夏に向き直り
「それじゃ、私たちも帰ろっか?」
と声をかけてそれぞれ帰路に着く…はずだったのだが…
私は今、モデルのような長身でスレンダーなのに出るとこは出て…いや、お尻はそこまで…むしろ引き締まってる…完璧じゃないか!チクショウッ!
さらには脚も長く顔は超絶美少女な上垢抜けた感じのギャル風味という完璧超人澄夏と一緒の方向に向かって並んで歩いていた。
なんと澄夏の家は私のマンションの入り口からなら徒歩5秒のところに住んでいた。
要するにマンションの隣に住んでたのだ。
たしかに言われてみれば数日前に引越し業者のトラックが停まってたわ。
澄夏が私の方を見て、 「まさかお隣さんだったなんてね。なんかすごく嬉しいなぁ」 と笑顔で言ってくれた。
私が男子なら間違いなくイチコロだ! 今この場で告ってるって!
「う、うん…私も澄夏と…お、お隣さんは嬉しいかも…」
前言撤回。
女の私もイチコロにされてるわこれ。
そんな恋する乙女状態の私を澄夏はじっと見つめて口を開いた。
「ねえ、あさひって…」
続く言葉を待ってるとなんか心臓が破裂しそうなんですけど…
「う、うん…」
なんとか言葉を捻り出したら
「さっき永山くんとのやりとりで気づいたんだ…あさひってさ、アクションものの映画とか好きだよね?」
って質問されてた…
いや、うん。 たしかに好きだけどなんで?
永山とのやりとり…うーん…そうか!
「ってことは澄夏も!?」
と私は嬉しさのあまり背伸びして澄夏に顔を近づける。
澄夏も嬉しそうに、
「やっぱり!だってさっきの『正中神経』とか絶対『イコライザー』好きなんだろうなって!マッコールさんのセリフからでしょ!?」
と早口で喋る。
さらに澄夏は止まらない。
「で、実際にマッコールさんでもそこまでしなかった『クソを漏らす』まであさひは小6の時に永山くんにしちゃってるんでしょ!?マッコールさん超えじゃん!」
さすがにその女神みたいなお顔で天使のような声で『クソを漏らす』とか言うのはいかがかと思うよ。
でも私も嬉しくなって
「いやさー、マッコールさんはあの後あいつら皆殺しじゃん。そういう意味では私は優しいと思わない?」
と自分はマッコールさん超えでないと謎の自己弁護してた。
そんなワイワイと話しながら歩いてたらあっさりと家に着いてしまった。
そしたら澄夏が
「ねえ、今度の土日どっちか空いてる?あさひと一緒に映画行きたいな」
と言ってくれた。
私は思わず
「どっちも空いてる!」
と即答してしまう。
あれ? 部活はあったっけかな?
でも今は澄夏との約束の方が最優先だ。
澄夏は私の返事を受けて嬉しそうに笑いこう言った。
「せっかくだし、名駅まで行ってドルビーシネマで観ようよ」
めいえき? 名駅とはあの名古屋駅のことですか?
知らぬ間に私の名古屋デビューがあっさり決定した瞬間だった。
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