絞首台の主4
おぞましき怪物が神々の王オーディンに組み付きました。
彼の血を吸い上げ、魂までも奪うためです。
奇っ怪な化け物、窮奇はその5つの頭についている10個の目玉をまばたきしました。
黒々とした膿疱の集まりが一斉に現れたり消えたりするようでした。
オーディンは抵抗しました。
水しぶきを上げながら、神と怪物は格闘を始めたのです。
オーディンは叫びます。
「化け物め、殺してやるぞ!お前達の先祖と同じように殺してやる!」
彼は尚も叫びます。
「私はそれをしたのだ!騙して、辱めて、切って切って、切り刻んで殺したのだ!お前にもそうしてやる!」
偉大なる神々の祖は叫びます。
「下らない、汚らしい、男妾の末裔め!殺してやるぞ!お前の先祖にしたことをしてやるぞ!殺してやるぞ!」
先祖を侮辱された窮奇は怒りました。
そして自らの鉤爪をオーディンの左目に突っ込むとそれをえぐり出し、宇宙の果てまで引き伸ばしました。
神の身体は震えました。
彼はその瞬間に、宇宙のすべての秘密の知識を垣間見たのです。
震える手でオーディンは、一本のハサミを取り出しました。
そして自分の、左眼の伸びた神経を断ち切ったのです。
神の左眼を掴んだまま、窮奇は宇宙の果てまで飛ばされました。
ミーミルの部屋にて、朝の日差しが家の中に差し込んでいました。
オーディンは左の眼窩を血で満たしていました。
彼はゆっくり起き上がると自分の胸に冷静さと、激しい喜びが満ち溢れていることに気が付きました。
彼は踊りました。
新しい知識と確信を得ることが出来たのです。
それは彼の喜びでした。




